とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

おめでとう!なでしこ 強い気持ちが世界一を引き寄せた

 私が生きているうちにW杯で優勝する日本を見ることができるとは思ってもいなかった。たとえそれが女子サッカーだとしても・・・。
 とは言っても、今回は最大のチャンスだった。イングランドに負けて準々決勝をドイツと戦うことが決まった時点でやや弱気になったが、「武藤文雄のサッカー講釈:女子代表の状況は悪くない」を読んで、「そうか!かえってチャンスなのか」と前向きに応援する気持ちになった。
 それにしてもアメリカ相手によくがんばった。アメリカの選手たちが勝利へのプレッシャーの前に硬くなる中で、逆になでしこたちは、勝利に向けた強い気持ちを持つと同時に、負けて元々とリラックスできた。五輪のたびにプレッシャーに負けていた日本人のメンタルが変わった。そう思わずにはおれない、メンタルの勝利と言える。
 1分、このゲーム2トップに入ったチェイニーが岩清水を振り切ってシュートを放つ。4分、澤がチェイニーからボールを奪いスルーパスを送るが、安藤に届かず。その後は圧倒的なアメリカ・ペースとなった。
 8分、ラピノのクロスにチェイニーがシュート。やられたと思ったが、サイドネット。9分、スローインを奪われ、ワンバクがミドルシュート。しかし浮く。11分、ボックスのクロスをワンバクがヘッドでつなぎ、ロイドが強烈なミドルシュート。これもバーのやや上。救われた。12分、チェイニーがドリブルで抜け出しクロスにラピノが滑り込む。わずかにポストの右。
 日本は22分の大野のミドルシュートが初めてのシュート。しかしゴールの上にふかす。日本もプレスはかけるが、アメリカのスピードが速く、付き切れないシーンが目立つ。だがアメリカも力が入りすぎか、シュートが上ずってコースを外す。一方、日本もボールをキープしてもDFラインで回すばかりで、なかなか前に収めることができない。
 29分、こぼれ球を拾ったワンバクがドリブルから強烈なミドルシュート。やられた!と思ったが、バーに弾き返される。
 それでも30分を過ぎてアメリカのプレスもようやく弱まり、日本がチャンスをつかめるようになる。31分、宮間から川澄へのパスをDFがカット、セカンドボールを拾った大野のスルーパスに安藤が飛び込むが、GKソロが難なくセーブ。38分、宮間のサイドチェンジを受けた大野が中央へドリブルからスルーパス。安藤に届かず。44分にも大野から安藤へ。しかしダメ。46分には安藤、宮間、澤、大野とパスを回し、最後は近賀のクロス。だが誰も飛び込めない。
 アメリカは再三のシュートを外し、いやな展開。だが日本もなかなかチャンスをつかめない。スコアレスのまま前半を終えた。
 後半早々、スピードで日本を脅かしたチェイニーに代えてモーガンを投入。チェイニーは捻挫をした様子。だが、モーガンがさらにスピードに乗って攻めてくる。4分、右SHオライリーのクロスにモーガンが飛び込んでシュート。ポストにはね返ったボールを澤が必死のクリア。7分、ロイドがドリブルからシュート。サイドネットを揺する。危ない。16分、澤のふわっとしたスルーパスに近賀がシュート。しかし大きくふかす。19分、オライリーの縦パスにワンバクがヘディングシュート。GK海堀、あわやファインセーブ。
 21分、日本が大野、安藤に代えて、丸山と永里を投入。丸山のリズムの違うドリブル。永里のポスト力で攻撃に変化をつける狙い。だが24分、ゴール前でボールをキープした永里を5〜6人で囲むと、こぼれ球をラピノが前線に大きくフィード。これにモーガンが走り込み、熊谷と交差しつつシュートコースを作ってのシュート。これはさすがに熊谷、海堀も届かない。
 しかし日本は粘り強く反撃する。35分、右サイド川澄から永里が深く入り込みクロスに丸山が飛び込む。DFが蹴り出したボールをクリーガーがクリアすると、宮間の前へ。これを冷静にコントロールして左足アウトでシュート。日本が同点に追い付く。
 44分には川澄から近賀のクロスに坂口がシュートを放つが枠を外す。アメリカもロスタイム、オライリーミドルシュートが枠を外れ、延長戦に突入した。
 延長戦もアメリカが攻めてくる。2分、左サイドからボックスのクロスにワンバクがヘディングシュート。しかし熊谷がよく競ってバーの上へ。5分、ワンバクの縦パスにモーガンがシュート。10分、オライリーのクロスにワンバク。しかしDFがクリア。粘った日本だが14分、ついにアメリカが得点を挙げる。左サイドからモーガンのクロスにワンバクがドンピシャのヘディングシュート。モーガンの勢いに熊谷が前に引き出され、鮫島との間がぽっかり空いた。
 しかし延長でリードされても日本はあきらめない。延長後半4分、川澄のポストプレーから丸山がミドルシュート。7分、宮間のクロス。が抜けていく。10分、澤のスルーパス。だが近賀のトラップが長い。そして12分、GKのケガの治療で時間があった中、綿密に打ち合わせをした宮間のCKに澤がニアに走り込み、右足アウトで流す絶妙のシュート。またもなでしこ、延長で追いつく。
 アメリカもその後、15分にはクロスにワンバクがシュートを放つが、岩清水が競って枠を外す。ロスタイムにはモーガンのドリブルに岩清水が深いタックル。レッドカードで退場となったが、FKは防いでドローのままPK戦に持ち込んだ。
 PK戦の前の円陣でなでしこたちの顔に笑みがこぼれる。佐々木監督も笑っている。その余裕に勝利を確信。硬い表情のまま蹴ったボックス、ロイド、ヒースを海堀が奇跡のセーブを見せると、日本は今大会思うように活躍できなかった永里が外したが、宮間、坂口と入れて、最後は熊谷が優勝を決めた。
 おめでとう!なでしこ! その粘り、あきらめない気持ち、チャレンジ精神、そして最後までゆとりを忘れない強い心。なでしこの勝利はその強い気持ちが手繰り寄せた神様からのプレゼントだ。この快挙は永遠に忘れられないだろう。おめでとう!なでしこ! やったね、澤とその仲間たち!