とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

レッズ対セレッソはスコアレスドローながら興味深いゲーム。セレッソの可能性を感じる。

 サッカー評論家の後藤健生氏が「優勝争いから大きく後退した浦和レッズ―「完成度」と「成熟度」の違いを考える」で興味深いコラムを書いていた。そこで録画観戦した。
 確かに後藤氏が言わんとすることもわかる。いや、このように視点をはっきりさせわかりやすいコラムに仕立てるプロの評論家としてのコラムにさすがだなと思った。でも私としてはレッズ以上にセレッソのがんばりに眼を惹かれた。清武、キム・ボギョンなどこの夏に大量移籍したセレッソだったが、杉本を1トップに据える戦い方は可能性を感じさせた。
 前半序盤、セレッソが柿谷を中心にレッズのゴール前に迫る。7分、左SB丸橋のアーリークロスに柿谷が走り込むが、CH鈴木啓太がブロック。9分にはCB藤本のフィードを柿谷が受けて、右SH枝村とのワンツーで抜け出しシュート。さらに13分には枝村がパスカットからドリブルで前進してシュート。しかしGK加藤のスーパーセーブに阻まれた。
 セレッソの攻撃の中心は柿谷。この稀有のテクニシャンがバイタルエリアでボールを持つと、様々な可能性が感じられる。ただ彼をもっと生かすためには両SHとの連携やCHの縦パスが必要。このゲームではレッズの阿部・鈴木のCHがきっちり柿谷をマーク。このためこれ以降セレッソの攻撃が沈静化していく。
 しかしレッズの攻撃も沈静化したまま。1トップ2シャドーの原口、柏木、マルシオに動きが少なく、縦パスが入らない。この辺りがサンフレッチェとの差。サンフレッチェではCBから長いパスが2シャドーに入るが、レッズのCBはドリブルで持ち上がりたがる。このため両WBの位置取りがやや低め。サイドからのクロスも少ない。
 44分、柏木のスルーパスから左WB宇賀神が抜け出し、クロスにマルシオがシュート。バーを叩く。だが前半は、シンプリシオと山口を中心とするセレッソの組織立った守備がレッズ攻撃陣を抑え込んだ。
 後半に入りレッズの両WBが高い位置を取るようになり、攻撃が活性化する。5分、原口がドリブルでDFを抜き、ゴール前に迫る。12分には槙野のパスを受けて原口がシュート。GKキム・ジンヒョンがナイスセーブ。15分には鈴木の縦パスを原口が落とし、槙野のキープを原口が受けて抜け出す。が、GKキム・ジンヒョンが思い切りのいい飛び出しでナイスセーブ。
 ここでセレッソは動きが少ない柿谷に代えて吉野をトップ下に入れる。さらに28分には扇原と村田を投入。2列目の運動量を増やすことで、守備の位置を上げる。レッズは25分、原口に代えてポポを投入。
 32分、槙野が右サイドを持ち上がり、戻しを宇賀神がクロス。マルシオが落としたところを柏木が抜け出す。シュートがネットを揺すったが、オフサイドの判定。セレッソも45分、山口のスルーパスに杉本が抜け出しシュート。だがGK加藤のスーパーセーブに抑え込まれた。
 ゲームはその後、セレッソが押し込んだままタイムアップ。スコアレスドローに終わった。
 完成度という意味では後藤氏が言うとおりかもしれない。トップに収めて、2シャドー、両WB、CBまでが参加する攻撃は迫力がある。ただし、なかなかトップに収まらない。逆にセレッソは強力なCBがレッズのワントップをしっかり抑え、さらにシンプリシオと山口のCHも強力。攻撃に柿谷をサポートする選手が出てくれば、もっと楽しいゲームが見られずはず。吉野、村田といった若手に可能性は感じるが、まだまだミスが多い。でもクルビ・サッカーは面白いと改めて実感した。