とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J2に対してなお不安定な守備。後半のロアッソの失速に助けられてグランパス、準々決勝進出。

 天皇杯4回戦、グランパスの相手はロアッソ熊本。CFに北嶋、GKに南、CHに養父と、要所にJ1出身のベテラン勢を揃え、勢いのある若手がのびのびと活躍する積極的なゲームを展開した。
 グランパスも序盤から勢いがある。3分、CH田口がミドルシュートを放つと、5分、闘莉王のパスに金崎が抜け出し、クロス。永井に合わず。11分にも闘莉王の落としから田口が右に展開、金崎がドリブルで前進し、クロス。闘莉王に届かず。再三両サイドをえぐってはクロスを入れるものの中で合わない。
 するとロアッソは13分、左SB片山がドリブルで田中隼磨をかわし、さらに左SH大迫がダニエルをかわしてゴール前に迫る。最後は増川が立ちはだかるが、ロアッソのドリブル突破をスイスイと許してしまう緩さが気になる。
 14分には藤本のスルーパスに永井が抜け出しクロスを入れるも、またも金崎に合わない。それでも15分、小川がライン際まで前進しての戻しを藤本がゴール前にクロス。闘莉王が合わせてヘディングシュート。ようやくグランパスが先制点を挙げた。
 その後も22分、永井のクロスに小川がヘディングシュート。さらに小川のクロスに藤本がヘディングとサイド攻撃を仕掛けるが、どうしても中央で合わないシーンが続く。こんなことばかりやっていると、そのうち逆転されるぞと思った直後の23分。CH吉井から右サイドに展開。FW武富が抜け出しクロスに、右SH斎藤がきれいに合わせてシュート。ゆるゆるのグランパスの中盤をきれいに抜かれて、ロアッソは同点に追い付いた。
 その後もお互い交互に攻撃を仕掛けて、一見、派手な攻撃サッカー。だが守備はどうなっているのか。28分、金崎のボール奪取から闘莉王がシュート。GK南がファインセーブ。30分、藤本がパスをカットし右に展開。永井がシュート。ロアッソも36分、右SB藏川のクロスを武富が落とし、養父がミドルシュート
 そして43分、右SB田中隼磨アーリークロス闘莉王が胸で落とし、金崎が拾って持ち出しシュート。これが決まりグランパスが勝ち越す。いい時間帯の勝越し点、と思ったら今度はロアッソが45分、斎藤がバイタルエリアからスルスルとドリブル。誰も強く当たれないままゴール前まで侵入を許しシュート。またも同点に追い付かれてしまう。良く言えばロアッソの積極性。だが今シーズンの課題であるCH田口の両サイドの守備を問題を改善できないまま、まさに今シーズンを象徴するような失点だった。
 後半に入っても不安定なゲームが続く。7分、阿部の縦パスに抜け出した金崎がライン際まで前進、クロスを入れるがGK南が弾き、詰めた闘莉王がタイミングが合わない。ロアッソも9分、斎藤のスルーパスに藏川が走り込み、クロスに武富がシュート。グランパスは12分、阿部のスルーパスに金崎が抜け出しクロス、GK南がこぼしたところに小川が詰めるが、DFがブロック。ロアッソも14分、斎藤のドリブルからクロスに武富がシュート。同じような展開が続く。
 それでも何度もやっているといつかは結果につながる。20分、金崎が左サイドからDFの股を抜くシュートを放つと、GK南がナイスセーブで一旦は弾くが、小川が詰めてシュート。グランパスが今度こその3点目を挙げた。
 するとここでストイコビッチ監督が動く。阿部と田口に代えて、玉田とダニルソンを投入。闘莉王をCBに戻し3バックにして1点を守りにくる。対するロアッソも養父に代えて原田。こちらもCH吉井をCBに下げての3バック。31分にはDF高橋を北嶋に代えてトップに据えるパワープレーの布陣を取るが、これで却って守備が不安定になってしまった。
 33分、ダニルソンのスルーパスに永井が抜け出し、ループシュートで追加点を入れると、40分には田中隼磨のクロスに玉田がゴール前でフリーになってヘディングシュート。決定的な5点目を入れて、そのまま5-2でグランパスが勝利した。
 後半の大量点はロアッソの布陣ミス。ロアッソの失速に助けられた。だがそれまでの不安定な戦いぶりはいただけない。田口のワンアンカーは攻撃回数は増えるが、クロスを入れても中央で決められるFWがおらず、ゴールが遠い。そうこうしているうちに田口の両サイドを使われ、ふがいない失点を許す。今シーズンの負けパターン。J2のロアッソだから大量点差で勝ち越せたが、J1勢との対戦となる準々決勝はこうはいかない。ストイコビッチ監督は「守備をもう一度確認して次戦に臨みたい」とコメントしているが、このままではマリノスの強力DFを破れないまま、失点して敗退というゲーム展開が目に浮かぶ。期待はしないが、幸運だけを祈る。勝っても喜べないゲームだった。