とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

終了間際のゴールに喜ぶよりも、終了間際の失点を反省すべきでは? カナダとの第2戦は互角の勝負。第1戦先発メンバーとの差はまだあるなあ、残念だけど。

 カナダとの親善試合第1戦は2011年W杯メンバーが中心となり、3-0とカナダを圧倒したが、第2戦はCH阪口とCB熊谷以外、メンバーをガラッと変えてきた。それで第1戦と同様のゲームができればいいけれど、やはりそれは無理。個々には評価できる選手も多いのだが、全体の連携はW杯メンバーに及ばない。もちろんそれはしょうがないけれど、人工芝グラウンドが予想以上に足に堪えることがわかった以上、来年のW杯本番ではゲームごとに大幅に選手を入れ替える戦い方をせざるをえないかもしれない。現時点である程度、使える選手・使えない選手の見極めができたことはよかったんじゃないかな。まだまだ代表選手への門戸は開かれているという感じ。僕的には高瀬と永里、それに田中明日菜がイマイチ生きていなかった。田中は猶本に代えてもいいんじゃないか。
 ゲームは序盤から激しいプレスの応酬で始まる。4分、CHシュミットのスルーパスにFWシンクレアが抜け出すが、GK福元がナイス飛び出しでセーブ。しかしこぼれ球を拾った左SBクオンのクロスをFWレオンが落とし、CHシュミットがシュート。CB熊谷がブロックする。
 カナダは第1戦を負けているだけにホームで連敗はできない。そんな気持ちが伝わってくるような心意気で、第1戦とは打って変わって積極的に攻めてくる。7分にはFWシンクレアのスルーパスにCB岩清水がスライディングするが、クリアボールがOHフレミングに当たってクロスを入れられる。フレミングは若いながら、トップ下でゲームを作る。彼女の先発がカナダのサッカーを第1戦とは違うものにしていた。
 日本も10分、右SH岩渕のサイドチェンジから左SH永里がミドルシュート。16分にはOHフレミングの縦パスにFWシンクレアが抜け出すが、CB岩清水がブロックした。熊谷・岩清水のCBコンビはやはり落ち着いている。
 しかし高瀬と菅澤が入ったFWになかなかボールが入らない。岩渕はドリブル突破でカナダDFを破っていくが、そこから先がつながらない。それでも菅澤はまだ動いてボールを収めたが、高瀬はなかなかボールに触れない。前半30分頃からは岩渕とポジションをチェンジして右SHに回ったが、結局後半23分に退くまで、ほとんど彼女らしい仕事はできなかった。
 先制点は33分、上尾野辺のCKのクリアを永里が遠い距離からミドルシュートを決めた。だが、永里もこのシーン位であとはほとんどゲームに絡めなかった。やはり突然の抜擢、先発は厳しい。40分にも上尾野辺のCKからFW菅澤がヘディングシュート。逆にカナダもOHフレミングの縦パスをFWシンクレアが落とし、FWレオンがシュート。フレミングとシンクレアが怖い。
 後半に入り、日本は菅澤と岩渕に代えてFW大儀見と右SH大野を投入する。菅澤はケガ。岩渕もケガだろうか。彼女はもう少し見てみたかった。一方のカナダは左SBチャップマン、FWベーレーンガーを投入する。
 後半も序盤からカナダのプレスが厳しい。日本はなかなか攻撃の形が作れない。押し込まれて12分、スローインからFWシンクレアの落としをCHシュミットがスルーパス。OHフレミングにヘディングシュートは左SB上尾野辺がスライディング・クリアする。しかし直後のCKをシュミットがショートCK。FWシンクレアが落としたところをシュミットが詰めた大儀見をかわしてミドルシュート。CH阪口がヘディングするが、ゴールに吸い込まれた。カナダが同点に追い付いた。
 その後も互角の展開が続く。20分、FWレオンのクロスをCBズラーがヘディングシュート。23分にはついに高瀬に代えて宮間を投入。宮間はトップ下に入る。さらに28分にはCB岩清水が足を攣って川村に交代する。人工芝の負担はけっこう足に厳しい。そして31分、右SB有吉のフィードをCBブキャナンがクリアミス。FW大儀見が抜け出し、落ち着いてGKをかわすループシュート。日本がまた勝ち越した。
 38分には永里に代えて鮫島を投入。そのまま左SHに入る。42分にはOH宮間のスルーパスに左SH鮫島が抜け出し、クロスに右SH大野が走り込むが、角度が浅く、クロスはDFがクリアした。
 2-1のままアディショナルタイムに突入。うまく時間を使ってゲームを終えるかと思ったが、アディショナルタイム2分、GKラブのFKをFWシンクレアが競り合って落とすと、CHシュミットが受ける。CB熊谷が付くがバランスを崩し、落としたボールをFWベーレーンガーがシュート。GK福元が弾き返したがシュミットが詰めてゴールを挙げた。同点。
 だがゲームはここで終わらない。アディショナルタイム3分、左SBチャップマンのバックパスを追って左SH鮫島がCBズラーにチェックをかけると、奪って独走。GKとの一対一を落ち着いて決めて日本がまた突き放した。そしてタイムアップ。3-2で日本が勝利した。
 鮫島の復活はうれしいニュースだ。だがあの時間帯に同点に追いつかれてはいかんだろ。今後に課題を残す失点だった。だがこの2試合でだいぶ自信を取り戻したのではないだろうか。一方で人工芝が予想以上に選手の体力を奪うこともわかった。そのためには誰が出ても同じパフォーマンができる層の厚さが必要だ。課題もわかり、展望も見えた。いいカナダ遠征だったと思う。