「お試し外泊で退院後の問題を痛感する。どうなることやら。（その1）」の続き。
- 10月19日に記す。
18日の朝食はオープンサンド。食事、薬、そして歯磨きが終わったら、また「トランプをしよう」と言う。9時位に娘が妻を誘って、近くの用水路を散歩に行くが、30分位で帰ってきた。そしてまたトランプ。ええっ、またぁ！ 昼食は娘が「鶏のつくね」を作って食べた。この日は娘が13時から趣味の仲間のZoomでの集まりに申し込んでおいた。久しぶりに顔を見る友人たちとうれしそうに声をかわし、仲間の一人の死を知った時には涙を流して泣いた。だが、友人同士で話している時は参加できず、ただ聞いている。しばらくしたら「トランプをしてくる」と言って席を離れてしまった。一対一の対応はできるが、一方的に話を聞くような状況は苦手なようだ。
Zoomが終わった後、近くの植物園までクルマで行って、散歩をしてきた。帰ってきたら、すぐにまた「トランプをしよう」と言う。しばらくは付き合ったが、さすがに飽きてきたし、疲れた。娘は「夕食の準備」と言って早々と離脱した。
妻が一人でやっているトランプ遊びを見ていると、4つのグループに分けて、それぞれでペアを探して捨て、次は2つのグループ毎に合わせて同じことを繰り返し、最後は一つの山にしてペアを探す。こうして全て捨てたらまた4つのグループにして作業を繰り返す。「ペアを探して捨てる」という単純作業を繰り返す「一人ババ抜き」だが、こうした作業は飽きないらしい。病院でも夜眠れない時などイライラする時はこれをしていると言う。この遊びは自分で考案したそうだ。
また、「七並べ」も得意。ただし、勝つために「出せる札をあえて出さない」といった戦術は考えない。ただ出せる札を出していく。なので、「パス」は何回でもOKというルールにした。こうした単純なルールで、長く遊んでいられる「一人ゲーム」はないだろうか。延々と妻に付き合うのはさすがにしんどい。
夕食はワカサギのマリネとハムカツ。食べ終わると、薬を飲んで、歯磨き。そしてまた「トランプをしよう」と言う。19時半に娘と一緒に入浴。この日は洗髪もしたが、一人でできたとのこと。そして8時30分に睡眠導入剤を飲む。私が風呂から出たら、妻が食堂でトランプをやっている。娘に聞くと、一旦はベッドに誘導し、寝ようとしたが、「眠れない」と言って起きてきたと言う。「私はもう眠たい」というので、しばらく私だけで付き合っていたら、9時半にはカードを落とすなど、ミスが多くなってきたので、「寝よう」と誘い、ベッドに入った。するとすぐに寝入る。その日は23時頃にいったん目を覚まし、トイレに行って、一人トランプを始めたが、すぐにベッドに戻ってきて眠った。0時にもう一度同じことを繰り返して、また寝た。その日は未明の3時半頃に地震があり、娘が起きてきたが、妻は目覚めない。結局、6時半まで、よく眠った。
最終日の朝食はオムライス。そして最後のトランプ。10時頃に近くの用水路を散歩した後、忘れ物はないかチェックして、10半過ぎに家を出て、病院まで送った。「病院へ戻りたくない」ということは言いはしたが、いざ行くとなると、おとなしく従った。病院では、外泊中の出来事を細かく報告。特に支障はない（トランプを除いては）と伝え、妻と別れる。その後、いったん家に帰ったら、福祉用具ショップの担当者から電話があり、お試しで借りていた見本品を返却。浴槽の手すりはやめて、ベッド脇の手すりだけを借りることにした。
その後は昼食を食べながら、娘と退院後のことを話し合う。午後にはケアマネさんから、退院後の福祉介護サービスについて確認の電話があり、リハビリ病院の相談員からは病院併設の訪問看護ステーションが提供する訪問リハビリについて電話があった。それぞれ希望を伝え、翌週の24日（土）の退院カンファレンスの際に、最終確認をすることになった。いよいよ退院が2週間後に近づいてきた。
お試し外泊はやってもらってよかった。運動能力などはまだひ弱いところもあるが、動き自体はほぼ問題がないことを確認できた。しかし、高度脳機能障害については、あそこまでトランプに執着するとは思わなかった。これでは妻が起きている限り、読書やパソコンに向かうこともできない。何とか対応策を考えなければ。いろいろわかったこともあるが、やはり不安の方が大きい。少なくとも妻が病院へ帰った今夜の方が、娘も私もリラックスしている。そうは言っても、妻もいつまでも入院しているわけにはいかないし、退院は喜びでもある。来月には新たな日常が始まる。できるだけ早く、わが家のニューノーマルを作り、慣れていく必要がある。大丈夫かな。
「リハビリ病院に集まって、退院カンファレンス。いよいよ退院まで1週間。」
（https://tonma.hatenablog.com/entry/2020/11/14/092304）に続く。
