日本代表が日本国内でゲームをするのは実に一昨年10月のW杯2次予選モンゴル戦以来。しかも本来はミャンマー戦の予定が、政情不安により延期となり、代わって韓国との親善試合が行われることになった。コロナ禍で各国代表が強化や調整に支障をきたしている中、日韓ともにお互いありがたい話。海外でプレーする選手をどれだけ招集できるかというのは危惧したが、日本は堂安などケガで辞退した選手もいたが、大迫や南野、鎌田など、ほぼ主要メンバーは揃えることができた。一方、韓国はソンフンミンが辞退したのは残念。堂安とソンフンミンを比べれば、韓国の方が本来の実力よりもメンバー的には落ちていたと考えるのが適当かもしれない。
日本の布陣は4-4-2。大迫と鎌田を2トップに、右SHに伊東純也、左SHに南野。ボランチは守田と遠藤で組み、右SBに山根。左SBは佐々木。CBは富安と吉田。GK権田。こうして見ると、酒井宏樹や長友なども招集されていない。断られたのか、召集しなかったのか、どちらだろう? 一方、韓国も同じ4-4-2。ナムテヒとイガンインの2トップで、右SHにイドンジュン、左SHにササンホ。ボランチはチョンウヨンとウォンドゥジェ。DFは右SBにキムテファン、左SBホンチョル、パクジスとキムヨングォンのCBにGKはチョヒョヌ。昨季のACLで優勝した蔚山現代の選手が多い。
ゲームは序盤から日本が優勢。6分、左SH南野のパスをFW大迫が落とし、左SB佐々木のクロスにFW鎌田がシュート。10分には右サイドのショートCKから右SH伊東がクロスを入れると、CH遠藤がヘディングシュート。バーを叩く。そして16分、CH守田のスルーパスにスルスルと前線まで上がっていた右SB山根が抜け出そうとしたが、これはDFがブロック。しかしこぼれ球をFW大迫がヒールで前に落として、いったんは飛び出したがポジションを戻した山根が再び抜け出し、シュート。日本が先制点を挙げた。
最初こそ韓国選手の動きを見定めるため様子見な感じもあったが、球際の攻防でも互角に戦えるとわかって以降は日本の選手たちもノビノビとプレーをしだした。中でもCH守田の動きは出色。韓国側の中盤のプレスが甘かったのもあるが、常に前を狙い、それに呼応して、両SBも積極的に前に上がっていった。とは言っても、右SB山根があの位置にいたのはさすが。フロンターレ同士の連携があってこそのプレーと言える。代わりに大迫や伊東が空いたポジションを埋め、しっかりと連携も取れていた。21分にはCH守田の落としからCH遠藤が縦パス。左SH南野が右に流して、右SH伊東がクロスを入れると、そこに走り込んだのはなんとCH守田。DFが触って守田には届かなかったが、これもいいプレーだった。
そして27分、韓国の左サイドからの攻撃にCH遠藤がプレスをかけ、こぼれ球を右SH伊東が縦パス。FW大迫がドリブルで運んで時間を作り、右に流してFW鎌田が受けると、両サイドを伊東や大迫が上がっていく。彼らに注意が向いた瞬間に鎌田がミドルシュート。ゴール左隅に決め、日本が追加点を挙げた。韓国は38分、CH守田からボールを奪った左SHナサンホがミドルシュート。これが韓国最初のシュートだったが、大きく枠を外した。逆に39分には、右SH伊東のクロスのこぼれ球をCH守田がミドルシュート。まったく危なげなく2-0。余裕を持って、前半を終えた。
後半最初に日本はFW鎌田を下げて、OH江坂を投入。韓国もFWイガンインに代えてイジョンヒョプ、左SHナサンホに代えてチョンウヨン、さらにGKチョヒョヌを下げて、レイソルでプレーするキムスンギュを投入した。5分、日本はCH遠藤が高い位置でボールを奪い、右SH伊東が右サイドを駆け上がってクロス。これをFW大迫がヒールで落とすと、左SH南野がフェイントでDFを滑らせてのシュート。だがわずかにポスト右に外れる。8分にもOH江坂の縦パスに右SH伊東が走り込むと、クロスのこぼれを江坂がシュート。GKキムスンギュが身体に当ててセーブすると、こぼれ球を再び江坂がシュート。これもGKキムスンギュがファインセーブ。レイソル同士の攻防はGKキムスンギュが止めた。
後半になると韓国も多少は動きがよくなって、12分にはCHチョンウヨンがミドルシュート。15分、右SHイドンジュンがミドルシュートと積極的にシュートを放っていく。日本も15分、CH守田が強烈なミドルシュートを放ったが、これもGKキムスンギュがナイスセーブした。さすが普段レイソルでプレーするだけあって、日本人選手の癖を分かっているかもしれない。17分にはCHウォンドゥジェを下げてイジンヒョンを投入。そして20分、左SBホンチョルのFKはわずかにポストの右。さらに続くCKをホンチョルが2本続けてニアを狙う。GK権田がファインセーブ。
日本は21分、左SB佐々木に代えて小川諒也を投入。佐々木もよくアピールしようとがんばっていたが、やはり酒井や長友のレベルには遠い。25分、左SH南野のミドルシュートはポスト右。29分には右SH伊東を下げて、古橋を投入する。韓国も31分、CHチョンウヨンに代えてイドンキョン。32分にはCF大迫を下げて、浅野琢磨を投入。すると36分、CB吉田のフィードにCF浅野が抜け出す。シュートはGKキムスンギュがセーブ。はねかえりが浅野に当たったが、ゴール右に外れた。続く37分には右SH古橋がカットインからミドルシュート。GKキムスンギュがナイスセーブ。そして38分、左サイドからの南野のCKをCH遠藤がヘディングシュート。日本がダメ押しの3点目を挙げた。
韓国はその直後にFWナムテヒを下げてキムインソンを投入。40分には中盤の位置にいた山根(たぶん)からバックパスを右SHイドンジュンが奪い、ミドルシュート。GK権田がファインセーブする。41分には左SH南野とCH守田を下げて、脇坂と川辺を投入。45+4分にはOH江坂のクロスから右SH古橋がシュートを放つなど、最後まで日本がゲームを握り続け、そのままタイムアップ。日本が3-0と快勝した。日韓戦では実に10年ぶりの3点差での勝利だ。
ゲームを通して韓国の方がプレスも甘く、攻撃時の連携もできていない。久しぶりに選考されて、まだしっかりチームになり切れていなかった。これに対して、日本は国内組・海外組が分かれて行動し、ピッチ上でしかコミュニケーションを交わす機会がなかったと聞くが、その割にはしっかり連携も取れて、韓国を圧倒した。少し安心。30日のモンゴル戦はどんなメンバーが先発するのだろうか。それよりもモンゴル戦までの中4日をいかに使うかが重要だ。久しぶりの日本にリラックスするとともに、コミュニケーションを高め、さらなる連携の熟成に取り組んでほしい。