東京五輪が終わった。私は、開会式も閉会式も観なかったが、各競技はよく観たほうではなかったか。最初の日曜日に実施された男子スケートボード・ストリートは面白く、堀米選手の金メダルを喜んだ。日本が金銀を獲った翌日の女子も観たが、男子ほどの迫力はない。こちらは岡本選手のチャレンジが見所だったかもしれない。新種目のスケートボードが意外に面白かったのに気をよくして、サーフィンも観たが、こちらは波を待つ時間ばかりが長く、つまらない。波の状態に左右されるのは仕方ないが、可哀そう。BMXフリースタイルも期待して観戦したが、中村選手がメダルを獲ればもっと楽しめたかもしれない。
楽しかったと言えば、女子ボクシングの入江選手がよかった。入場の際に満面の笑顔を振りまき、思わず釘付け。試合中も常にキビキビとしていて気持ちがよかった。他にも、柔道の阿部兄妹の金メダルや女子レスリングなど、金メダルを獲った試合はそこそこ観戦したが、いつ日本人選手が出てくるのかわからず、気が付いたら終わっていることも度々あった。それでも卓球の混合ダブルスやバドミントンの銅メダルを決めたゲーム、自転車競技の女子オムニアムなどはしっかり観戦。そう言えば、マラソンは男女とも、女子は急遽スタートの繰り上げがあったにも関わらず、朝の新聞でそれを知って、スタートから観戦した。
もちろん男女のサッカーはすべて観戦。でも日本以外のゲーム、スペインとブラジルの決勝や、女子もカナダが優勝を決めた試合など、放送をしているのは知っていたが、観なかった。やはりどうしても日本選手の活躍が中心となってしまう。そう言えば、野球や体操やバレーボールなどはほとんど観なかった。ゴルフは邪魔にならないので、流しっ放しにしていたが、女子最後のプレーオフ位しか観ていない。でも意外に肝心の場面は生で観ていたのは、運がいいのか、長い時間観ていたからか。
でも、総じてつまらなかった。オリンピックってこんなにつまらないものかと思った。その理由の一番はテレビ放送がダメダメだったから。中でもNHKの放送が酷かった。競技中継はいいとして、競技の間に解説者が並んで話す時間があまりにつまらない。つまらないと言えば、相場くんが出ていた夜のハイライトも酷かった。競技を観たいのに、どうでもいい解説をダラダラとやって、内輪で喜んでいる。「あなたの感想を聴きたいわけではない。自分の感想を持ちたいのだ」と思った。ということで、ほとんど観ていない。なので、批判は当たらないかもしれないが、あまりに酷かった。民放も同じだが、松岡修造のパフォーマンスの方がまだ楽しい気分になれた。
酷いと言えば、女子サッカーの放送チャンネルが急遽変更になったり、BSと地上波で同じ競技を放送していたり、卓球女子団体の際に、他競技の表彰式をダラダラと放送して、ダブルスを生で放送しなかったりと、不手際も多かった。ちなみに男子スケートボードの際も、金メダルを獲った堀米選手のインタビューを放送せず、3位のアメリカ選手を追いかけていたのは、何かの手違いだとは思うが、酷かった。
大会を通じて思ったのは、「オリンピックはスポーツのショーウィンドーだ」ということ。たくさんの競技をぎゅっと凝縮して観戦できる。それで興味が沸けば、今後、そのスポーツをもっと観戦すればいい。だが、無観客の中、ショールームを見るのはテレビ放送を通じるしかない。そのテレビが酷かった。色々な店が並ぶ商店街を紹介するのはいいが、見せ方が中途半端でどうでもいい感想を挟むので、次第に観る気が失せる。「商店街を知りたいのではなく、商品を見たい」と思ってしまう。開会式や閉会式を長々と放送するのも、「商品よりも商店街」という勘違いがあるからではないか。
正直、開会式も閉会式も面白くなかった。そして、実施時間も良くなかった。なぜ20時から始まるのか。競技も終了が夜22時を回るものもあったが、はっきり言って健康的でない。コロナ感染が危惧される中、国民の快眠を妨げるのはいかがなものか。わが家では21時以降は極力、テレビを消した。次回からはテレビではなく、ネットを中心に観戦した方がいいかもしれない。NBCも期待ほど視聴率が上がらなかったようなので、次回からは放映権料も大幅に下がるかもしれない。IOC自体がテレビに頼らず、自前でネット中継する方向に動くのではないか。DAZNで観られればずっと良かった。
それでも今日からようやく、いつもの日常が戻ってくる。よかった。確かに多くの感動もくれたが、喧噪も多かった。外食ばかり食べていると、家での食事が恋しくなる。そんな気分。おいしい外食を食べて、家でも作ってみようかと思う。オリンピックってそんなものかな。でも思った以上につまらなかった。そしてオリンピックが終わったら台風がやってきた。一気に現実に引き戻される。夢よりも現実。やはり日常を地道に生きることこそ重要だ。
