とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

もしもゼレンスキーがロシアの侵攻に対して無抵抗でいたら・・・

 最近はいつも、朝何気なくテレビをつけると、ウクライナ紛争のニュースが流れている。「しまった。見たくない」と思い、すぐにチャンネルを変える。Eテレならこの種の放送はないだろうと思っていると、手話ニュースが始まったりする。やれやれ。しばらく私の腰の痛みは治まりそうにない。

 先日の記事で「ゼレンスキーよ、ウクライナ国民の痛み、そして私の痛みのことも考えてくれ」と書いたが、そもそもロシアが侵攻を始めた時に、ウクライナ軍が全く対抗せず、無抵抗であったならどうなっていただろうか。たぶんロシアが早々に制空権を確保し、チェルノブイリ原発を抑え、主要な軍事拠点を攻撃し、とそこまでは簡単に進んだろうが、そこから先は、少なくともキエフや主要都市への攻撃はなかったのではないか。一般国民に被害が及ぶようなことは現状に比べればはるかに少なかったはずだ。

 ロシアのウクライナ侵攻の後、世界各国がロシア非難の声明を出し、各地でデモが起こり、ウクライナへの経済的・軍事的支援を呼びかける声も聞こえる。だが、それらはどこまで有効だろうか。日本で「ロシアの侵攻反対」とどれだけ叫んでも、プーチンの耳には届かない。日本の地方議会で「ロシア非難決議」を採択したとしても、しょせんそれは市民向けのアピールでしかない。

 ロシアに対して侵攻を止めるように呼び掛けるよりも、ゼレンスキーに抵抗をやめるように呼び掛けたほうが、はるかにウクライナ国民への被害は少なくなるような気がする。そもそもロシアはウクライナの占領を目的に侵攻を始めたのではなく、NATOの東方拡大とウクライナ国内での親ロシア派国民への虐殺停止(非ナチ化)を理由に挙げている。前者は現在では「ウクライナの非武装化」と言い改められているが、そもそも無抵抗であったなら、紛争がたとえ勃発しても、はるかに限定的であったはずだ。しかしゼレンスキー大統領は、ロシア侵攻が始まった後、「60歳未満男性の国外退去禁止」の命令を出し、徹底抗戦を叫んだ。結局、それがウクライナ国民の被害を大きなものにしたのではないか。

 ロシア侵攻が始まった後、橋下徹が「ウクライナ国民の国外退避」を述べて批判を受けている。私はこれまで橋下徹の言動には批判的でいたが、今回のウクライナを巡る発言は正しいと思っている。昨日ツイッターで発した「今回の西側の対応はウクライナを犠牲にして自分たちの安全を守る行為だ」という発言も完全に正しい。そもそも欧米諸国は今回のウクライナ紛争をどうやって収めようと考えているのか。このまま紛争が長期化してロシアが疲弊し、プーチン失脚を待っているのかもしれないが、その間にどれだけのウクライナ国民が犠牲になると思っているのだろう。

 もちろんこうした考えに対しては「お花畑」という批判があることはわかっている。だが、ロシアへの反対デモやウクライナ支援をすることでウクライナ紛争が止まると思うことも同じ程度に「お花畑」ではないか。ましてや、ゼレンスキーを英雄視し「徹底抗戦しかない」などと煽る人々はどういう結末を考えているのか。彼らのお花畑にはどんな花が咲くと思っているのだろう。

 今年の冬は長く寒かったが、ようやく春がやってきたようだ。ロシア・ウクライナ両軍の軍事行動が止まったら、ウクライナの豊かな国土にも明るい太陽がいっぱい届くだろう。ウクライナの国花はヒマワリだという。その時に咲くひまわりの花は、反対デモで掲げられる国旗の黄色よりもはるかに美しいだろう。