とんま天狗は雲の上

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アジア杯 グループD第2戦 イラクvs.日本

 アジア杯第2戦の相手はイラクFIFAランクは63位だが、もちろん簡単な相手ではないし、スタジアムは完全アウェイ状態。とは言っても今の日本代表なら、難なくはね返し勝利してくれると思っていた。

 イラクの布陣は4-2-3-1。アイメン・フセインをトップに、トップ下にイブラヒム・バイェッシュ。SHは右にユセフ・アミン、左にアリ・ジャシム。ボランチはフランス・プトロスとアミル・アル・アマリ。DFは右SBにフセイン・アル、左SBはアフメド・ヤヒヤ。レビン・スラカとサード・ナティクのCBに、GKはジャラル・ハッサン。一方、日本も同じ4-2-3-1。浅野をトップに置き、久保がトップ下。伊東純也が右SHに入り、南野は左SH。守田と遠藤のボランチは変わらず。DFは右SB菅原、左SBに伊藤洋輝。板倉と谷口のCBに、GKは鈴木彩艶。ベトナム戦から二人を代えて、浅野と久保が先発した。

 イラクの布陣を確認するためか、フワッとした感じでゲームは始まった。4分、左SHアリ・ジャシムが強烈なミドルシュート。GK鈴木が横っ飛びのパンチングではね返すが、明らかにイラクの方が積極的に攻撃してくる。そして5分、CBサード・ナティクからのフィードをCFアイメン・フセインがフリックすると、左SBアフメド・ヤヒヤの縦パスに左SHアリ・ジャシムが走り込み、クロス。GK鈴木がパンチングしたボールをCFアイメン・フセインがヘディングシュートして、イラクがゲーム早々に先制点を挙げた。ベトナム戦でもGK鈴木のはね返しをゴールされたが、今回も同様。4分のシーンもキャッチできたのではないかと思ったが、今大会、GKの層が薄いのが、唯一の不安事項だったが、それが早々に露呈されたような気がする。

 その後も日本の攻撃がなかなか機能しない。14分には、OH久保がPA手前でDF数人に囲まれながらもキープして、左SB伊藤洋輝が左SH南野とのワンツーから駆け上がり、シュートを放つが、枠は捉えられない。18分には右SB菅原のスルーパスに右SH伊東が抜け出し、ファーサイドまで流れたクロスを左SB伊藤が今度は左からクロス。だがGKジャラル・ハッサンにキャッチされる。一方、イラクは長いボールをCFアイメン・フセインに預け、カウンター気味に攻めていく。そのロングボールが前線で収まる。

 22分、CKの流れから、CH守田のクロスにCH遠藤がアクロバティックなボレーシュートを狙うが、うまく打てない。26分、OH久保から左に流し、左SB伊藤洋輝のクロスにCF浅野が走り込むが、手前でGKジャラル・ハッサンがクリアする。この後、イラクは攻撃陣の立ち位置を変更。アリ・ジャシムをトップ下に移し、イブラヒム・バイェッシュが右SH、ユセフ・アミンを左SHに回す。

 31分、CHアミル・アル・アマリの強烈なミドルシュートが右のポストをわずかに掠めて飛んでいく。危ない、危ない。日本も32分、OH久保のスルーパスにCF浅野が走り込む。ゴール前に右SH伊東が走っていくが、浅野はシュートを狙って、枠を大きく外した。ここまで日本のシュートは14分の伊藤のミドルシュートくらいか。浅野が狙いたい気持ちも分かるが、伊東に預けていたら、決定的なチャンスだった。

 そして45+4分、左SBアフメド・ヤヒヤが右SB菅原をかわして抜け出すと、クロスにCFアイメン・フセインがヘディングシュート。カウンターからイラクが追加点を挙げた。ああ! 日本はCF浅野にボールが渡ることも少ないし、左SH南野が中に絞るため、OH久保と重なり、さらに浅野もいて中央が混みあい、日本の攻撃はサイドに偏る。左サイドは左SB伊藤の駆け上がり、右も伊東と菅原の連携からサイドを上がっていくが、中央でクロスが合う気配は少ない。前半はこのままイラクの2点リードで折り返した。

 すると後半頭、日本は谷口を下げてCB冨安を投入。前線も伊東純也を左SHに回し、トップ下に南野、久保を右SHに移した。一方、イラクもアイメン・フセインフセイン・アルに代えて、CFモハナダ・アリと右SBメルチャス・ドスキを投入する。

 これで多少は日本の前線の攻撃も整理されたか。6分、右SH久保のFKのクリアを左SB伊藤洋輝がミドルシュート。しかし枠は捉えられない。イラクは後半もロングボールで前線を走らせる。9分、CHアミル・アル・アマリからの長い縦パスに左SHユセフ・アミンが走り込むと、右SB菅原が寄せて、GK鈴木も飛び出し、アミル・アル・アマリをストップ。こぼれ球をCFモハナダ・アリがシュートするが、これは右SB菅原がブロックした。GK鈴木と右SB菅原のプレーがPKを取られないかと心配したが、主審の判定はノーファール。直後の11分、今度は日本が攻める。CH守田のスルーパスに左SB伊藤洋輝が抜け出し、クロスにCF浅野が走り込むが、後ろからCBレビン・スラカの足が伸びてクリア。主審がVARで確認するが、こちらもノーファールの判定でPKは得られない。

 15分、右SH久保のCKにCB板倉がヘディングシュートするも、GKジャラル・ハッサンがキャッチする。16分、日本は浅野と久保を下げて、CF上田、右SH堂安を投入。イラクもフランス・プトロスをCHオサマ・ラシドに交代した。18分、OH南野のスルーパスにCH守田が走り込み、戻しを右SH堂安がシュート。堂安は21分にも直接FKを狙うが、いずれもゴールには遠い。直後、イラクはユセフ・アミンを下げて、左CBアリ・アドナンを投入。布陣を5-4-1にして守備を固めた。イブラヒム・バイェッシュが右WBに下がり、メルチャス・ドスキが左Hに上がる。アリ・ジャシムが右SH。

 22分にはCBアリ・アドナンのFKからCFモハナダ・アリがうまく反転してミドルシュート。わずかにポスト左に外れた。28分、日本も右SH堂安が左SH伊東とのワンツーからシュートを放つが、DFがブロック。後半になってもなかなかCF上田が触る場面が少ない。すると29分、日本は守田と伊東を下げて、左IH旗手、左WGに前田を置き、4-3-3の布陣に変更する。31分、イラクは右SHアリ・ジャシムのパスからCHオサマ・ラシドがミドルシュート。ゴール左に外れる。

 32分、イラクはアリ・ジャシムに代えて、右WBザイド・タセンを投入。イブラヒム・バイェッシュを右SHに上げた。37分、日本は左IH旗手のスルーパスに左SB伊藤が走り込み、クロスに右WG堂安がヘディングシュート。38分には右IH南野のクロスに左WG前田がヘディングシュートするも、枠は捉えられず。44分には右SB菅原のCKにCB冨安がヘディングシュート。だがこれも枠は捉えられなかった。

 それでもアディショナルタイムに入った45+3分、左IH旗手のCKにCH遠藤がヘディングシュート。ようやく日本が1点を返した。さらに45+6分には右WG堂安のミドルシュートで得たCKを右SB菅原が蹴り込むと、ゴール前の混戦から右WG堂安がシュートを打つが、枠は捉えられず。そしてタイムアップ。2-1。イラクが勝利して、先に決勝トーナメント進出を決めた。日本代表の連勝は10試合でストップした。

 前半は南野と久保、浅野の同時起用が攻撃を停滞させた。かと言って、伊東純也を左サイドで起用するのももったいない。結局、日本は、久保、南野、伊東純也、堂安と、上田や浅野、前田らのFW陣の起用がいまだにうまく整理できていない。いっそ、大迫のようなポストプレーヤーがいれば違うサッカーもできるのだろうが、森保監督は将来を見据えて、大迫の代表招集は考えていないようだ。代わっての細谷だろうが、ベトナム戦ではイマイチ機能しなかった。南野と久保を同時起用あいたこのゲームこそ細谷が有効だったのではないかとも思うが、やはりイラク戦での起用は躊躇したのかもしれない。

 何はともあれ、これで1勝1敗。次のインドネシア戦はよもや負けることはないだろうが、グループリーグ2位通過だと決勝トーナメント初戦はE組1位チーム。ヨルダンか韓国。1位通過なら、3位通過チームとの対戦だが、その後はたぶんオーストラリアやカタールらと対戦することになる。そう考えれば、2位通過もいいのではないか。決勝トーナメント1回戦の韓国(ヨルダン)戦に向け、インドネシア戦はいい状態でゲームに臨んでほしい。このゲームを教訓に、久しぶりのアジア杯制覇に向かってほしい。