とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フィギュアスケートはアマチュア競技だった!?

 もう先週のことになるが、羽生結弦がスケート競技をやめてプロへの転向を表明した。そのこと自体はそれほど驚くことでもなかったが、最も驚いたのは「プロに転向した」という言葉。ということは今までアマチュアだったのか! でも、羽生結弦だけでなくこれまでも多くの選手が、競技シーズンがオフの時にはアイスショーなどに出演していたではないか。何より、フィギュアスケートは競技を続けるのに大きな費用を必要とすると言う。彼ら・彼女らはどうやってそうした費用を捻出しているのか。競技大会で優勝しても賞金等は出ないのかもしれない。しかし、大会に出場するための費用は、スポンサー契約などで調達しているはずだ。それをアマチュアと言うのか。

 もう20年近く前、入社したばかりの社員を前に「オリンピックはアマチュアしか出られなかったんだよ」と言ったら、「えっ、そうなんですか!」と驚かれたことがあった。「オリンピックはアマチュアの祭典」というのはもうずいぶん昔の話。今ではプロが出場して当たり前。というか、本格的にオリンピック出場を目指そうとするのなら、その競技に専念できる環境を作ることが必要で、そのためには、競技をすることで収益を得る必要がある。それを世間はプロと言う。

 でも、フィギュアスケートの世界はそうではなかった。それだったら、むしろプロにも競技参加を解禁して、世界最高峰の競技が観られるようにすべきではないのか。一瞬そんなことを思ったが、どうやらフィギュアスケートの世界では、「アマチュア」とは各国のスケート連盟に登録している選手のことを言うようだ。そして世界選手権などの大会では賞金も出るらしい。さらに、選手登録している選手のことは、「アマチュア」ではなく、「エリジブル(有資格者)」と呼ぶのが正確らしい。

 19日の記者会見では、羽生自身が「甲子園で優勝した選手がプロに転向したら、引退とは言わない」と言ったそうだが、まさに核心を突いた言葉。結局、「プロ転向」も「アマチュア引退」も間違いで、羽生結弦は「スケート連盟の選手登録を取り下げ、スケート競技への出場をやめることにした」という表現が正確なところだ。ああ、びっくりした。まさかマスコミでは未だに「オリンピックはアマチュア競技の祭典」と思っている人が編集を牛耳っているのだろうか。余計な誤解を生むから、もうスポーツの世界から、「アマチュア」とか「プロ」という言葉はなくした方がいいのかもしれない。金銭とスポーツは本来、何も関係のない概念のはずだから。