とんま天狗は雲の上

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家計調査

 総務省が実施している統計調査で「家計調査」がある。テレビなどで、「一番、○○の消費が多いのは○○県だ」などとやっているデータの根拠がこの「家計調査」だったりする。全国で約9000世帯が抽出されて調査をするというが、このうち単身世帯が1000世帯あり、二人以上の世帯では約8000世帯。現在の日本における二人以上の世帯数は約3500万世帯だから、抽出率は4500分の一。その一つに当たってしまった。もっとも調査期間は6ヶ月なので、45年も夫婦をしていれば、50分の一で当たる計算になる。それでもすごい確率だけど。

 4月に突然、調査員がやってきて、調査への協力の話があった。法で定められた基幹統計調査なので、たぶん拒否はできないだろうけど、それ以上に「面白そうだな」という思いが勝って、すぐに引き受けてしまった。受諾と同時に、キッチンスケールと電卓、鉛筆と消しゴム、鉛筆削りなどを渡された。それとそれらが入ったビニールケース。キッチンスケールは少し前に購入したばかり。もう少し早く欲しかった。

 調査内容は、家計簿を付けると同様、毎日、専用サイトにアクセスして、その日に購入したものとその価格を入力するというもの。スマホでレシートを撮影して、読み込むという方法もあったが、読込認識の精度は悪く、結局、手で修正しなくてはいけないので、パソコンからキーボードで入力をした。また、調査票に記入して、半月毎に調査員が回収するという方法もあるようだが、手で書き込む方が大変そうだし、やはりパソコンの方が楽。

 調査は5月1日から始まった。ちょうどGWの真っただ中。うちは妻の介護もあって、旅行へ行ったりしないからいいけれど、ちょうどGWに遊びに行く予定のあった世帯は大変だっただろう。また、5月1日の初日に、財布の中の金額を入力すると、毎日の入力後、現在の財布の中の金額を自動計算してくれる。これはけっこう便利で、入力後、財布の中身とパソコンで提示される金額を比較して、間違いがないか確認した。また、最初の1ヶ月、食料品についてはその重さを量り、記入しなくてはいけない。そのためのキッチンスケールだったが、これは少し面倒だったかな。

 ちなみに収入も入力するが、基本、財布ベースで、預金からATMで下ろした時は収入に計上。一方、クレジットカードなど銀行口座から引き落とされるものも入力する必要があり、合わせて、電気代やガス代、水道代、携帯電話代等も入力する。これはクレジットカードの明細から支払いがあったことを確認し、それぞれのサイトへ行って、電気使用量やガス使用量なども入力する。これは少し面倒だったが、1ヶ月が過ぎたところで調査員が、毎月の支払項目を書き出したメモをくれて、これは役に立った。

 また、収入は給与や年金の振り込みがあるたびに入力する。振り込まれた金額は通帳記入や銀行のサイトで確認すればいいのだが、所得税なども記入する必要があり、そうなると給与明細があるものはよいが、年金は少し前に送付されてきた給与支払通知書を確認しなくてはならない。これは面倒だった。6月には年収と貯蓄の調査もあった。私の場合は65歳になったばかりで年金額の改定通知がなかなか来ず、焦ったが、調査員に確認すると過去1年間の収入を記入してほしいとのこと。退職したばかりだと、「今はそんなに収入はないのに」と思ってしまう。

 ということで、7月になるとだいぶ慣れてきた。買い物から帰るとすぐにパソコンを開いて、品名と金額を入力する。そしてサイトに提示される金額と財布の中身を確認する。ところが数回、金額が合わないことがあった。その時は焦って、何とか思い出そうとする。一度は、コンビニでコピー機を使用した際、おつりを取り忘れていた。慌ててコンビニへ向かったが、既に無くなっていた。仕方なく「紛失」と入力する。もう一度はどうしても1000円が合わない。それが2ヶ月程経って、ある日突然思い出した。マナカにチャージした金額を記入し忘れていた。領収書をもらわないと忘れてしまう。コインパーキングで支払った時もレシートをもらい忘れ、金額が合わないと焦ったことがあった。

 また、クレジット払いでガソリンを給油した際に、レシートをクルマの中に置いたままにして、しばらく入力を忘れたこともある。半月毎に入力結果をまとめて提出する。提出した後で気付いても、訂正はできないので調査員に連絡したら、先に提出した分は既に集計分析等が始められているので、「修正は結構です」と言われた。また、高速道路をETCで利用すると、領収書が手元に残らないので入力を忘れやすい。クレジットカードの明細を見て気付いても、もう後の祭り。もっとも私の場合は何とか期限内に思い出した。

 半年間、いろいろあったが、先月末で調査は終了した。東京都で調査員を務めた人のブログを見たら、毎月、お礼の品が送られてきたと言う。でも私の場合はそんなことはない。月に一度、調査員が来訪し、家計調査ニュースを置いていく。その際に一度、エコバッグをもらったが、それだけ。その代わり、最初の訪問の際に、月3500円の謝礼が支給されると言っていた。でも調査が始まったらその話題は一切出ない。振込先の照会もない。記憶違いかなと少し心配していたら、10月の半ばに調査員が振込先の調査票を持ってきた。すぐに記入して郵送。大した金額ではないが、品物でもらうよりは、やっぱりお金の方がいいかな。安いかもしれないが、けっこう楽しませてもらった。今では買い物から帰ったあと、レシートをどう処理しようかと考えてしまう。何かちょっと寂しい。煩わしかったけど、まあいい経験をしたかな、と思っている。