とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

高校女子サッカー 藤枝順心vs.十文字学園

 高校サッカーの準決勝は面白かった。今日は決勝。その間に行われる高校女子サッカーは例年、やはり男子に比べると技術力等が低く感じることが多い。それで本当に観戦するのか少し迷いもあったが、観てみたら例年以上に面白かった。女子の技術レベルも相当に高くなっていることを実感した。

 藤枝順心の布陣は4-3-3。濱野をワントップに、右WGに伊賀FCへの加入が決まっている正野、左WG山田。中盤は浅田をアンカーに、右IHに久保田、U-17代表の左IH下吉。右SB加島、左SB中井にCBは安藤と1年生の柘植。GKは菊地。対する十文字学園も同じく4-3-3。浅香をトップに、右WG村山、左WG三宅。中盤は1年生の新井をアンカーに、右IH早間、左IHにベレーザ加入予定の氏原。DFは右SB野村、左SB小島に、CBは岡田と杉山。GKは長谷川。岡田は鼻骨骨折があると言う。

 開始3分、右IH早間がロングシュート。十文字が序盤から積極的にゴールを狙う。5分にはCB杉山の縦パスに右SB野村が駆け上がり、クロスのこぼれを右WG村山がシュート。GK菊地がファインセーブを見せる。藤枝順心も10分、CKのチャンスを得ると、なんと数人が手をつないでグルグル回る。トルメンタ。右WG正野のヘディングシュートは枠を外したが、女子サッカーでもトルメンタをやるチームがあるんだ。と思ったら、今度は13分、十文字もCKのチャンスにトルメンタを繰り出した。何だ? 女子サッカー界では今ブームか? しかしその後は両チームとも、このプレーは見せなかった。

 14分、GK菊地の縦パスを右IH早間がカットして、クロスに左IH氏原がヘディングシュート。しかしわずかにバーの上に外れた。お互い目まぐるしく攻守が変わる面白い展開。特に十文字のプレスが早く、高い。藤枝順心は18分、右IH久保田がミドルシュート。25分にはCB柘植のフィードをCB岡田がはね返すと、右WG正野が奪ってドリブルからシュート。CB杉山がブロックした。この後、藤枝順心はWG正野と山田の左右を入れ替える。41分、CB安藤のフィードの処理をCB杉田がもたついたところを右IH久保田が奪って、シュートを放つ。さらに42分、CH浅田の縦パスに右WG山田が走り込み、GK長谷川をかわしてシュート。だがわずかにポスト左に外れた。藤枝順心がやや優勢。だが互角の展開はスコアレスのまま前半を折り返した。

 すると後半早々、十文字がデザインされたキックオフから右IH早間がフィード。左IH氏原が走り込み、シュートを放つ。7分には右SB野村のクロスにCF浅香がヘディングシュート。GK菊地がファインセーブで弾いたボールは右ポストに当たってはね返された。16分には左WG氏原がカットインからミドルシュートを放つ。後半序盤攻勢をかけた十文字だったが、藤枝順心の守備は堅い。すると17分、浅香を下げて、左IH長行司を投入。氏原をワントップに上げる。

 しかし19分、DFのフィードをCF浜野とCB杉山が競り合い、こぼれ球を右WG正野が拾って、縦パスに右IH久保田が走り込んでシュート。GK長谷川がナイスキャッチした。十文字も20分、CB岡田がドリブルで持ち上がり、縦パス。だがこれを右WG正野がカットすると、そのままミドルシュートを放つ。これは枠の左。そして23分、DFからのフィードを左WG山田がヘディングするもフリックする形になる。これを右SB野村が収めようとするが、トラップを山田が奪い、ゴール前に斜めのパス。右WG正野が走り込み、GKをかわしてシュート。一瞬の隙を突いて、藤枝順心が先制点を挙げた。

 その後は十文字が必死に反撃。25分、右IH早間のCKにCF氏原がヘディングシュート。続くCKをGK菊地が弾くと、CB岡田が頭から飛び込んでいく。だがDFがブロックした。鼻骨を追っているはずの岡田が決死のプレーだ。直後の26分、十文字は村山を下げて、左WG安西を投入。三宅が右WGに回った。さらに28分には左IH長行司に代えて梅本。29分、右WG三宅がドリブルでDF二人をかわし、クロスを左WG安西がシュート。しかしCB安藤がブロック。こぼれ球を左IH梅本が狙うが、今度はCH浅田がブロックした。

 その後も攻める十文字。だがしっかり守備を固めた藤枝順心の守備を破ることができない。終盤には長いキックで十文字陣地の深くに蹴り込んだり、コーナー付近で時間を使うなど、藤枝順心が時計を進めていく。45+1分には右IH久保田が切り返しでDFをかわしてミドルシュート。U-17代表らしい技術を見せる。そしてタイムアップ。結局、後半の1点を守り抜き、藤枝順心が1-0で勝利。2年ぶり、6回目の優勝を遂げた。

 攻守にしっかり整備された藤枝順心の強さもあったが、十文字も積極的に攻めて、その差はわずか。非常に面白いゲームを見せてくれた。今年は女子W杯もある。彼女らの幾人かは次回以降のW杯で主力になるだろうか。日本の女子サッカーの未来に明るいものを感じた楽しいゲームだった。