とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

新型コロナワクチンは接種すべきか否か

 ようやく新型コロナワクチンの接種が日本でも始まった。ただし、われわれ一般人に順番が回ってくるのは早くても6月以降。下手をすれば、来年かもしれない。と思っていたら、先日、友人から届いたメールには、「来年3月31日までに65歳になる人は高齢者枠」と書かれていた。彼も私も、今はまだ63歳だが、早生まれなので、来年3月末には65歳になっている。ワクチン接種の順番がもう少し早く回ってくるかもしれない。

 私よりも1歳上の会社の同僚が「早くワクチンを接種したい」と言っていたが、みんなもそう思っているのだろうか。中日新聞の「学ぼう!ワクチン 新型コロナと闘う」シリーズの第2回「ファイザー製 効果は?」では、「発症率95%減」について「2回目の接種から7日目以降に発症した人数を見ると、偽薬で162人、ワクチンを打った人で8人。発症リスクは20分の1…これが『発症を予防する効果は95%』の意味だ」と書かれている。なるほど、ワクチン接種をした方が、しない場合よりも発症率は低いようだ。だが、そもそもワクチンを接種しない場合の発症率はどれだけかと言うと、この記事の前半には「同社の臨床試験では、参加者約4万4千人を無作為に分け、ほぼ半数にワクチンを、半数に生理食塩水の偽薬を打った」とある。すなわち、22,000人に対して偽薬投与者の発症者は162人。発症率は0.74%に過ぎない。

 一方、2月23日時点の感染者累計は全国で約425千人だから、その割合は0.34%。ただしこれは何らかの症状が出たり、濃厚接触があったりしてPCR検査をした結果の割合だから、無作為に検査をすればもう少し感染率は高いかもしれないが、感染しても発症しない人も多いというから、偽薬投与者の発症率0.74%というのはかなり高いようにも感じる(ひょっとして新聞に載っていたデータはアメリカでの臨床試験の結果なのか? その点はよくわからない)。ちなみに、ファイザー製ワクチンについては「発症を抑える効果はあるが、感染を抑える効果は未定」とされている。

 一方、ワクチン接種による副反応については、アナフィラキシーショックの発生率はそれほど高くないが、発熱や頭痛・疲労などの症状はよく発生するようなので、ある程度の覚悟は必要だろう。また、多くの国民がワクチンを接種することにより、集団免疫を作り、感染の拡大を抑えるという期待に対しては、「ワクチンによって、集団免疫の効果があるかどうかはわかっていない」と厚労省のHPも否定的だ。

 ちなみに、こちらの厚労省HPによれば、感染症と診断された人の重症化率は約1.6%(60歳以上では8.5%)、死亡率は約1.0%(60歳以上では5.7%)とされている(ただし、これは6~8月に診断を受けた人の割合だから、現在は多少変わっているかもしれない)。例年、65代後半の人の年間死亡率は約1%なので、新型コロナで死亡する割合は全体の死因からすればごく小さい割合となることはほぼ間違いない。

 以上、中日新聞の掲載された発症率95%減を皮切りに、様々な数値を挙げてみたが、これらをどう評価したらいいのか。結論から言えば、日本で接種が始まったファイザー製ワクチンには、感染しても発症する割合を下げる効果があるようだから、「市町村から案内があれば自然体で接種すればいい」のではないか。

 だが、「集団免疫形成のため、ワクチン接種は国民の義務だ」とまで思う必要はない。マスクの着用や密状態を避けることで感染リスクを下げることは可能だし、万一感染しても、発症したり、重症化して死亡する可能性も恐れるほどには高くないようにも感じる。だから、「新型コロナに感染し、発症して死亡しても、それも運命」と思える人は接種する必要はない。そもそも新型コロナ感染症がそこほど恐れるべき病気なのか、ということについては、京大の藤井教授が否定的な見解を発表しているが、特に若い世代については、この指摘は正しいようにも思う。現にワクチン接種は無料だが「任意」。私としては、上に書いたような方針で臨もうと考えているが、接種しないという考えもアリだと思う。そうした選択を尊重するためにも、ワクチンの接種状況を監視する「ワクチン自警団」が登場しないことを願いたい。

プレミアリーグ第25節 リバプールvs.エヴァートン

 前節、レスターに衝撃的な逆転負けを喫し、リーグ3連敗となってしまったリバプール。ホームでも3連敗で仮に4連敗すれば、なんと1923年以来98年ぶりのホーム連敗記録を更新することになる。一方、マージーサイドダービーは2000年代に入って以降、ホームで負けていない。こちらのジンクスを信じたい。一方、エヴァートンは前節マンCに敗れて連敗中。リバプールとの勝ち点差は3。EL圏内を目指すためにも負けられない。

 リバプールは前節ケガで前半に交代したミルナーに代わり、チアゴ・アルカンタラが先発出場。他は前節と同じメンバーが揃う。一方、エヴァートンは前節ベンチスタートだったハメス・ロドリゲスを先発から起用。布陣は3-5-2。ハメスはリシャルリソンと2トップを組み、中盤はトム・デービスをアンカーに、右IHドゥクレ、左IHアンドレ・ゴメス。WBは右にコールマン、左にディニュ。3バックは右からホルゲイト、マイケル・キーン、ゴッドフレイと並ぶ。

 序盤、リバプールが前からプレスをかける。しかし3分、右IHドゥクレの縦パスがDFにはね返されて再びドゥクレの下へ。これをヘディングで前に送ると、FWハメス・ロドリゲスがスルーパス。FWリシャルリソンがうまく抜け出して、そのままシュート。エヴァートンが幸先よく先制点を挙げた。一方、リバプールも9分、右IHドゥクレからボールを奪ったCFフィルミーノが縦パス。右WGサラーの落としを左WGマネが縦に持ち込み、ゴール前にクロス。フィルミーノとカーティス・ジョーンズが走り込むが、手前でGKピックフォードがキャッチした。

 その後もリバプールがパスを回して攻める展開が続く。19分、右WGサラーの縦パスを左WGマネとDFが競って落とすと、CFフィルミーノがシュート。だがCBマイケル・キーンがブロックする。続くアレクサンダー・アーノルドのCKのクリアをCBヘンダーソンミドルシュート。だがGKピックフォードがファインセーブで弾き出す。21分には左WGマネの落としから右SBアレクサンダー・アーノルドがミドルシュート。だがこれもGKピックフォードがナイスセーブした。

 その後、リバプールのCBヘンダーソンが右足鼠径部を抑えて座り込む。30分、フィリップスと交代となってしまった。31分、PA手前で得たFKをアレクサンダー・アーノルドが狙うが、バーの上。逆に33分、エヴァートンは左WBディニュのクロスに右WBコールマンがダイビングヘッド。GKアリソンのファインセーブで何とか追加点は許さない。35分、左IHカーティス・ジョーンズがミドルシュート。38分には左SBロバートソンのFKにCBフィリップスがヘディングシュートを放つが、枠の外。前半はエヴァートンの1点リードで折り返した。

 後半もリバプールが序盤から攻勢をかける。2分には左SBロバートソンのクロスに左WGマネがヘディングシュート。5分にも左IHカーティス・ジョーンズのクロスにマネがヘディング。押し込んでいくリバプールだったが、エヴァートンの中央の守備は堅い。さらに14分には前半にイエローカードを1枚もらった左IHアンドレ・ゴメスに代えてシグルズソンを投入。17分にはFWハメス・ロドリゲスも下げて、カルバート・ルーウィン。守備を固める。リバプールも18分、左IHカーティス・ジョーンズに代えてシャキリチアゴ・アルカンタラがワイナルドゥムとボランチで並び、シャキリはかなり高い位置を取る。両SBも上がって、実質2-4-4のような感じ。

 24分、CFフィルミーノの縦パスを左IHシャキリがつないで、右WGサラーがシュート。だが、GKピックフォードがナイスセーブ。28分には右SBアレクサンダー・アーノルドがドリブルで仕掛けて、DFストップのこぼれ球をCFフィルミーノがシュート。だが枠を捉えられない。後半ここまでのボール支配率はリバプールが80%を超える。圧倒的にリバプールが攻め込むが、決定機を作れない。すると38分、カウンターでCHトム・デービスが縦に送ると、FWリシャルリソンがドリブルで持ち込み、左を駆け上がったFWカルバート・ルーウィンへパス。シュートはGKアリソンにストップされるが、はね返りを狙ってさらに走り込んだが、スライディングした右SBアレクサンダー・アーノルドにかかって倒れる。PK。これをシグルズソンが決めて、エヴァートンが追加点を挙げた。

 追うリバプールは40分、CFフィルミーノが仕掛けてシュートを放つが、枠に決まらない。41分、エヴァートンはFWリシャルリソンに代えてイウォビ。前線から追いかける。リバプールもチアゴを下げてFWにオリギを投入。4-1-1-4のような布陣で攻めるが、エヴァートンが中央を固めて守る。45+2分、CHワイナルドゥムのミドルシュートはGKピックフォードがファインセーブ。アディショナルタイムは6分と長かったが、そのままエヴァートンが最後まで守り切り、2-0。アンフィールドエヴァートンが2000年代初めての勝利を飾った。

 これでリバプールは屈辱のリーグ4連敗。何と98年ぶりの記録を更新してしまった。しかもヘンダーソンが負傷。ただでさえケガ人続出のCBがまた一人いなくなった。後半の攻撃停滞もヘンダーソンからのパスが無くなってしまったことも大きい。リバプールにとっても守備面だけでなく、攻撃面でも大きな痛手を負うことになった。次のリバプールの相手は最下位シェフィールド。さすがにここで連敗を止めることができるだろうか。ここまで大崩れするとは思わなかった。いよいよクロップ監督の解任も近づいてきたかもしれない。

恥ずかしい人たち

 「恥ずかしい人たち」について書いたと言うのだが、読み終えて、何が、誰が「恥ずかしい人」だったのか、判然としない。本書は「週刊新潮」での連載コラムをまとめたものだが、ただただその時々の世間の状況をネットニュース編集者という第三者的な位置から観察し、書き連ねたというに過ぎない。しかも、中立的という立場を守るためか、社会批判的な言動をする人を「恥ずかしい人」と冷笑する。正直、読みながら、すごい時間のムダという思いを否定できなかった。だからなおのことなかなか進まなかったのだが、ようやく読み終えることができてよかった。

 何となく、筆者を武田砂鉄氏と同一視し、客観的な視座で世間批評を行っていると勘違いしていた。だが、結局筆者は「広告業界出身で広告業界の暗部を口汚く指摘できる」(P200)存在にすぎなかったのかもしれない。それはそれで面白く、これまでも「ネットのバカ」「ネットは基本、クソメディア」は面白く読んできたのだが。

 本書を機にネットニュース編集者をセミリタイアすると言う。これからはどうやら文筆業で食べていこうとしているようだが、ネット業界から離れたら、筆者の優位性はなくなってしまうのではないかな。もう二度と筆者の本は読むことがないかもしれない。筆者のためにも、そうならないことを願いたいのだが・・・。

 

 

恥ずかしい人たち(新潮新書)

恥ずかしい人たち(新潮新書)

 

 

ドレスコードの重要性は認めるものの、正直、きちんと仕事さえしてくれれば、背広は着ないでもかまいませんし、ヒゲだってあっていいと思うのです。…ついでに言うと不思議なのが野球の監督です。…なぜ選手と同じユニフォームを着て帽子までかぶっているのでしょうか。他のスポーツでは、選手と同じユニフォームを着た監督はとんと見ない。背広や普段着の監督だらけです。(P32)

○2019年末、私は突然憂国の士になってしまいました。あまりにも安すぎる日本の賃金と物価を放置しておけば我々は世界での競争力を失い、海外資本から買い漁られる! と様々な連載で書き続けたのです。…その後タイ・バンコクに来て「こりゃ本気でマズい」と思うに至りました。…日本人はもはやカネづるではなくなったのです。(P144)

○常に時代はネガティブなのです。/高度成長期とバブル時代は明るかったと識者は言いますが、これも怪しい。高度成長期には進学できない人が多かったし、バブル期は一部上場企業社員や金融関係者…はウハウハだったでしょうが、その他の人は格差を感じ…ていた。「明るい時代」など、人間の有史以来、滅多にないのです。いつでも不満はあるのです。(P157)

○のんべんだらりと生きている私のようなノンポリからすれば、別に安部氏のことは「それなりに安定した政権を運営している総理大臣」や「毎年総理が代わった時代よりはずっといいわ」としか思えない存在なのです。/実際問題として、2012年の第二次安部政権発足以来、政権運営のせいで弾圧されたり殺された人なんているんですかね?(P168)

○結局良書に登場する人物や、魅力的な人というのは「恥ずかしいことを自ら言える」人々なんだな、と思いました。…「恥ずかしい人」と自覚していることは本質的には「恥ずかしくない人」であり「立派な人」にもなり得るのかな、と…感じました。(P221)