とんま天狗は雲の上

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高速道路の無料化と社会実験

 子供手当に続いて、民主党マニフェストの目玉、高速道路の無料化について。
 春からの高速道路1000円についても、環境施策に逆行しているとか、平日通行や貨物車両を対象としないのは片手落ちである、フェリー業界への影響が甚大などの批判があった。土日祝日の観光振興による経済効果をねらった施策だったと考えれば、他への配慮はさておき目的は理解できる。
 ただし、国管理の高速道路だけが対象だったため、地方道路公社などが管理する有料道路は取り残され、愛知県内では先月からようやく名古屋高速道路知多半島道路などが週末3割引となった。
 ここで興味深いのは、この施策が「社会実験」と銘打たれて実施されていることである。社会実験というからには、何らかの項目について効果測定がされ、実験終了後に検証結果が公表されると思うのだが、愛知県道路公社のHPに掲載されている社会実験の中間報告には当該有料道路の交通量しか掲載されていない。しかも実験前や前年度比で増加していない週や路線がある。もちろん天候の影響もあり一概には言えないが、通行料が安くなれば交通量も増加して当たり前。その結果、どういう効果があったのかが重要であり、経済効果が目的であれば、観光地での売上や企業の利益状況を計測する必要があるが、今回の社会実験ではどこまで計測しているのだろうか。
 ところで、民主党の高速道路無料化だが、同様にどういう効果を狙って無料化するのか。民主党案は貨物自動車も一律だから、運輸経費の縮減による経済効果が最大の目的かと思われるが、できれば期待する効果数値、例えばGNP引き上げ効果などを試算・提示してほしいところだ。
 また、渋滞の発生による輸送時間の増加は人件費増につながり、経済的にはマイナス要因となる。交通料金には交通量制御の役割もあるが、高速道路1000円はそうした面も全く考慮していなかったように思われる。無料化となればさらに交通集中による渋滞発生が懸念されるだけに、慎重な判断が要求される。
 今のところ全国一斉ではなく、地方から渋滞状況を見ながら順次導入ということなので、ある程度こうした面も考慮しようとする姿勢は見られるが、さて、高速道路無料化という看板が派手なだけに、実際にどう取り組んでいくのか。選挙のための集票対策ではない施策目的を明確にした取り組みが期待される。