とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

引分けの罠。プレーオフの難しさ。まさか6位のトリニータがJ1昇格を決めるとは。

 J1とJ2の入れ替え戦が廃止になって何年経つのだろう。けっこう熱くなって面白かったが、今年はJ2の3位から6位の4チームによる昇格プレーオフが行われた。先週日曜日に行われた準決勝ではホーム・引分けで勝ち上がりの上位チームがともに下位チームに0-4と惨敗する意外な結果で、決勝戦はリーグ5位ジェフ千葉と6位大分トリニータの対戦となった。場所は国立。ジェフにとってはよりホームに近く、しかも引分けでも昇格という条件。だが準決勝での経験を踏まえて、守ることなく序盤から積極的に点を取りにきた。
 5分、左SH谷澤のダイアゴナル・パスを受けて米倉がミドルシュート。7分にも谷澤がミドルシュート。パスを回しては攻めあぐねるトリニータに対して、ジェフがカウンターからシュートを放っていく。13分にはトリニータの右CB土岐田とGK丹野の連携ミスから左SB渡邊のクロスに米倉がヘディングシュートを放つ。GK丹野がわずかに触ってバーに当たる。さらにCKにGK丹野が中途半端な飛び出し。CB山口がシュートを放つが、GK丹野の正面を突いた。トリニータがバタバタ。ジェフがパスをつないで攻め始めると、トリニータは一方的に押し込まれ、守備に回る。
 25分、トリニータの左WBチェ・ジョンハンのクロスにFW森島がヘディングシュート。これがトリニータ初めてのシュート。だがジェフのボランチ・コンビ佐藤健太郎佐藤勇人トリニータの攻撃の芽を悉く摘んでいく。37分にはトップ下兵働のFKが枠に飛ぶ。GK丹野がナイスセーブ。さらにCKに山口がヘディングシュート。わずかにポストの右。トリニータは攻められながらも左CB安川、そしてCB阪田のがんばりで何とか前半を無失点で抑えた。
 後半に入ってもジェフが攻勢。2分、FW藤田のポストプレーから佐藤勇人ミドルシュートトリニータも3分、森島がミドルシュートを放つが、GK岡本が正面でキャッチした。12分には谷澤のFKにCB竹内がヘディングシュート。GK丹野がキャッチ。
 両チームとも懐かしい顔が多い。特にジェフにはCB竹内、左SB渡邊が元グランパス。CB山口は元ガンバ。右SB高橋峻希はいつのまにかレッズから移籍していた。逆にトリニータには元ジェフの村井がいる。何度か厳しいブーイングが鳴らされた。
 だがお互いチャンスは少ない。ジェフはカウンター気味に速い攻撃を仕掛けるが、CF藤田に収まらず、引っ掛かってしまう。バイタルエリアを支配されるトリニータはサイド攻撃頼み。だが中央でクリアされる。それでも29分、久し振りにFW藤田に収まると、兵働がミドルシュートトリニータも直後、チェ・ジョンハンのクロスのこぼれ球を村井がミドルシュート。だが枠を外す。
 ここからジェフが猛攻を仕掛ける。31分、藤田のスルーパスに米倉が抜け出す。左CB安川が堪らず肩を引っ張る。イエローカードPA直前のFKは兵働が蹴ったが、壁に当たる。33分、トリニータも村井から中で待つCH宮沢が左に展開。森島のミドルシュートはわずかにポストの右。35分、スローインから藤田が反転して持ち出しシュート。GK丹野がナイスセーブ。37分、米倉のクロスに藤田がヘディングシュート。だが叩き切れず。ジェフに決定力がない。
 トリニータは28分、FW木島に代えて林を入れる。林も元ジェフの選手。39分にはミスター・トリニータ高松を投入。すると41分、スローインから前方へのフィードを安川がヘッドで前へ送り、森島が浮かしたスルーパス。これに林が抜け出しGKと一対一。落ち着いてループシュート。ゴールに送り込む。ゴール。終始守勢に回っていたトリニータが残り4分、先制点を挙げた。
 追い付けば昇格のジェフは43分、2mを越える長身オーロイを投入しボールを集めるが、トリニータの集中した守備の前になかなか収まらず、5分のロスタイムもそのまま経過。タイムアップ。6位トリニータプレーオフを勝ち上がり、J1昇格を決めた。
 86分間攻めていたジェフには悔やむに悔やみきれない失点。何度か訪れた決定機を決めていれば・・・。だがそれがプレーオフ。昇格プレーオフの怖さ、引分けの罠によく分かっていたはずのジェフも落ち込んでしまった。
 おめでとう、大分トリニータ。だがこのサッカーでは今シーズンのコンサドーレの二の舞になることは確実。厳しい経営状況の中、どうやってJ1の戦力を整えていくか。喜びとともに大きな課題も抱え込んだ。トリニータの再挑戦が始まる。