とんま天狗は雲の上

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mobcastcup 決勝、リヨンが層の厚さでレオネッサを上回る。

 CL女子王者リヨンとなでしこリーグ王者レオネッサの対決となったmobcast cup 決勝。リヨンはベレーザ戦で途中出場のメンバーを多く先発させてきた。たぶんこちらがベストメンバーなのだろう。だがレオネッサは序盤、この世界選抜と言ってもいいメンバーに対して積極的に攻めていった。
 逆にリヨンの方がレオネッサをリスペクトし過ぎていたのだろうか。それでも守りから鋭いカウンターがレオネッサ・ゴールを脅かす。2分、右SBに入ったジョルジュからの縦パスをCHアビリが落とし、同じくCHアンリのスルーパスに左SHルソメがシュートを放つ。対するレオネッサも3分、CHチ・ソヨンから右に展開し、右SB近賀のクロスに高瀬がヘディングシュート。序盤はレオネッサが押し込んでいった。
 リヨンは前半、右SHトミスが何度もその快足を披露する。14分、ネシブからのスルーパスに抜け出しと、あっという間にライン際まで駆け上がりクロス。中でCFシェリン、ルソメが飛び込むが、わずかに届かない。20分にもあっという間の快速でゴール前まで迫る。CB田中明日菜がうまくボールをカット。その後のこぼれ球の競り合いも身体を張って場内の歓声を誘うが、速さと強さ、高さではリヨンが圧倒的に上回っている。
 レオネッサの武器は組織力と個人技。ワンタッチ・パスを回してはゴール前まで攻め込んでいく。しかし縦パスやクロスなどラストパスの精度が悪く、なかなかゴール前まで入っていけない。仕方なく遠目からのシュート。19分川澄。22分にはゴーベル・ヤネズループシュートを放つが、枠を捉えることはできない。
 次第にリヨン・ペースになっていく。30分、ネシブの落としからジョルジュの縦パスがシェリンに入るが、CB甲斐がクリアする。35分、中盤でのパスカットからトミスが高速ドリブルでゴール前に迫り、切り返し一発で甲斐をかわしシュートを放つが、わずかにバーの上。
 それでも何とか押し返した39分、近賀のクロスから川澄がシュート。CBルナールのクリアにチ・ソヨンが詰めてシュートを放つと、これがきれいに決まり、レオネッサが先制した。前半は1-0、レオネッサ、リードで折り返す。
 後半最初からルソメに代えてスイス代表ディッケンマンを投入。本気モードで反撃に出る。それでも5分、ルナールにプレッシャーをかけてゴーベル・ヤネズが奪うと、ドリブルでゴール前に迫り、ラストパスに高瀬がシュート。だがフランス代表GKブハディがナイスセーブ。直後の6分にはトミスがドリブルからクロスを入れると、DFにこぼれ球をディッケンマンがつないでCHアンリがシュート。こちらはGK海堀が抑えた。
 リヨンは6分、アガールに代えて右SBにフランコを投入。攻撃的な選手交代を行うと、さらに16分にはCHアンリに代えてFWトナッジを投入。ボランチを1枚削って反撃を試みる。20分、ディッケンマンがミドルシュート。ここから両チーム中盤が空き始め、早い攻守の切り替えから速い展開の応酬。21分、カウンターでアビリがドリブルで上がり、トナッジとのワンツーからアビリがシュート。24分、トミスがミドルシュート。26分、ディッケンマンのシュートはバーに当たる。レオネッサも27分、チ・ソヨンの長いスルーパスに大野が抜け出し、飛び出したGKの横を抜くシュート。だがわずかにポストの右に外れた。29分、レオネッサは左SBベッキーに代えて高良を投入。守備強化を図る。
 ライン際で常に野太い声で指示を送るレール監督。選手も必死の形相でゴールを奪いにくる。32分、FKにルナールがヘディングシュート。33分、DFからのフィードからトナッジがラストパスもシェリンにわずかに届かず。攻撃陣のがんばりに対してレオネッサの守備陣が身体を張る。
 ところが35分、CBルナールから長く正確なフィードがゴール前右に飛ぶと、右SBフランコが上がってシュート。ついにリヨンが同点に追い付いた。DF陣によるゴール。さすがにレオネッサの守備陣もDFからの攻撃はカバーしきれなかった。
 さらにリヨンの攻撃が続く。42分、トミスのドリブルからのクロスにシェリンがヘディングシュート。GK海堀がナイスセーブ。直後のCKからネシブがミドルシュート。レオネッサもロスタイム、大野のスルーパスに高瀬が抜け出しシュートを放つが、枠を外した。ここで90分がタイムアップ。勝負は10分ハーフの延長戦に持ち越された。
 延長に入ってもリヨンのプレスは衰えない。10分、ネシブのドリブル。ロスタイムCKからジョルジュのヘディングシュート。リヨンが猛攻を仕掛けていく。レオネッサは澤、チ・ソヨン田中明日菜、甲斐と必死で守る。そして延長後半2分、アビリから右に展開、トミスのクロスにトナッジが飛び込むと、堪らず甲斐がゴール前で倒してしまう。ファール、PKの判定。これをポンパストールが落ち着いて決めて、ついにリヨンが勝ち越した。
 その後、レオネッサは疲れたゴーベル・ヤネズチ・ソヨンに代えて中島と南山を投入。リヨンもCHにビュサグリエを入れて守備を固める。だがその後、レオネッサも有効な攻めを見せることができず、延長戦を終了。リヨンが見事欧州王者の実力を見せつけた。
 それでも前半の先制、後半のしのぎ方など、レオネッサはなでしこゆずりの粘りのサッカーを見せてくれた。惜しむらくは層の厚さの違い。リヨンは交代選手がことごとく代表選手でこれでもかと攻撃的な選手を繰り出したが、レオネッサのベンチメンバーに代表クラスは一人もいない。できるところまで先発メンバーががんばるしかない。それもさすがに後半終盤にはキレがなくなり、気持ちだけで戦っていた。
 この大会は来年以降も続けられるのだろうか。なでしこにとっても、もちろんレオネッサやリヨンにとっても意味のある大会だった。できれば来年以降はアメリカや南米からもチームを招待して大会を開催できるといい。なでしこリーグもさらに上の目標ができることはとてもいいことに違いない。来年の大会も期待したい。