とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アジア杯 決勝 オーストラリア対韓国

 久しぶりにサッカーのゲームを観た。アジア杯で日本が敗退した後、準決勝も録画はしたが観る気が起きず、決勝もこのまま消そうかと思っていたが、ダイジェストを見たらかなり感動的なゲームだった様子。日本が出られなかった悔しさを持ちつつ決勝戦を観ることにした。
 前半2分、右SHソンフンミンがドリブルから中に切れ込んでミドルシュート。序盤、韓国が攻めていく。クジャチョルがケガで代わりに若手のFWイジョンヒョプを起用。ナムテヒと並べる4-4-2で、放送ではオーストラリア相手に守備的な布陣を取ってきたと言うが、韓国のゲームをアジア杯で初めて観るだけに、どういう意図かまではわからない。ただ序盤は韓国が押していく。
 しかし8分、CHジェディナックのFKがわずかにバーの上を通過すると、10分過ぎあたりからオーストラリアのプレスが強まり、次第に韓国を押し戻していく。大きなサイドチェンジからワイドに攻撃を仕掛ける韓国に対して、厳しいプレスからパスをつないで攻めていくオーストラリア。決勝らしい集中力と高揚感に満ちたゲームが続く。日本もこの雰囲気を経験してほしかった。
 24分、韓国がCHキソンヨンのFKからCBカクテヒがヘディングシュートを放つと、直後にはオーストラリアがカウンターで左IHミリガンが運び、右に展開して、右FWクルーズのクロスにCFケーヒルがシュート。GKキムジンヒョンがナイスセーブ。しばらく互角の展開が続いたが、37分、左SHパクチュホの縦パスにFWナムテヒがキープして、左サイドを上がった左SBキムジンスのクロスに右SHソンフンミンがボレーシュート。39分、FWイジョンヒョプのキープから右サイドを右SBチャドリが上がり、クロスにまたも右SHソンフンミンがシュート。さらに43分にはPAライン手前からCHキソンヨンがFK。だがGKライアンがナイスキャッチ。韓国が前半終了間際に押し込んでいく。
 ところが45分、オーストラリアのスローインからCBセインズベリーの縦パスを右IHルオンゴがうまく反転して前を向きシュート。これが決まり、オーストラリアが先制点を挙げる。残り1分、韓国の選手に一瞬の集中力の緩みがあったか。韓国にとっては残念な一瞬だった。
 後半に入ると、韓国が必死に攻めていく。しかしオーストラリアの守備は堅い。攻めあぐねる韓国。互角の展開が続く。14分、キソンヨンのFKにCBカクテヒがヘディングシュート。GKライアンがキャッチ。オーストラリアも15分、左IHミリガンのスルーパスに左FWレッキーが抜け出しシュート。しかしGKキムジンヒョンがナイスセーブ。その後もお互い互角のナイスゲームが続く。韓国のベテラン右SBチャドリのがんばり。両チームのGKが速く高い飛び出しを見せて、お互いのチャンスの芽を摘む。
 19分、オーストラリアはCFケーヒルに代えてユーリッチを投入。韓国はFWナムテヒに代えてイグノ。さらに26分、オーストラリアは右FWクルーズが足を痛め、トロイージに交代。韓国も左SHパクチュホに代えてCHハングギョンを投入。ソンフンミンを左FWに上げて4-3-3の布陣にして攻めていく。オーストラリアは29分、右SBフランジッチもケガで交代。ミリガンを右SBに下げ、マッカイがMFに入る。
 韓国は43分、CFイジョンヒョプに代えてCBキムジュヨンを投入。CBカクテヒをCFに上げるパワープレーに出る。勝利を目前に大声援を送るオーストラリア・サポーター。ところが、アディショナルタイム1分、韓国CBから前線に放り込んだフィードをオーストラリアのCBセインズベリーがクリア。これをCHハングギョンが拾って、縦パスを左IHキソンヨンがワンタッチパス。ソンフンミンが抜け出してシュート。なんとギリギリで韓国が同点に追いついた。ソンフンミン、恐るべし。執念で決めた同点ゴールだった。
 しかし延長戦に入って、CHチャンヒョンスが足を攣る。カクテヒも思うように動けない。チャンヒョンスをCFにイグノとソンフンミンが両サイドのFW。ハングギョンをアンカーにカクテヒを上げて、キソンヨンと並べる。二人に負担をかけない布陣。オーストラリアが攻めて、韓国が守る。両チームのGKが好プレーを連発する。そして12分、MFキソンヨンから左FWソンフンミンのスルーパスに左SBキムジンスが上がる。クロスにCFチャンヒョンスが走りこむが、その前でGKライアンがナイスセーブ。14分には左SBデイビッドソンのクロスにCFユーリッチがヘディングシュート。
 そして15分、ゴール右のエンドラインぎりぎりでCFユーリッチが粘ると、左SBキムジンスの股を抜いて中に抜け出し、クロス。GKキムジンヒョンが弾き返すが、FWトロイージが詰めてシュート。ついにオーストラリアが勝ち越した。
 延長後半は両チームともバテバテ。気力を振り絞ってのプレーが続く。CBキムヨングォンも動きが悪くなり、途中出場のハングギョンをCBに下げて、同じく途中出場のキムジュヨンの二人で守る。そして必死の反撃。特に右SBチャドリのがんばりが感動的。アディショナルタイム、MFキソンヨンのスルーパスが左FWソンフンミンに渡る。がオーストラリアがクリア。そしてタイムアップ。ついにオーストラリアが自国開催のアジア大会を制して初優勝を飾った。韓国はまたも決勝戦で敗戦。55年ぶりの優勝を逃した。
 やはり決勝戦は出るべきだ。いいゲームだった。そして若手が活躍した両チームにとってはいい経験になった。これを観ると改めて日本がベテラン勢に固執し、4戦連続して先発させた末に準々決勝で敗退したことについて苦言を言いたくなる。若手の成長、チーム再生のための大会にすべきではなかったかと。
 アジア大会敗退後、アギーレ監督の去就論がよく聞かれる。私自身はこれまでアギーレ擁護派だったが、決勝戦を観るとアギーレの思惑は何だったのかと疑問が湧く。まだ次のW杯までには時間があるので、現時点での解任による違約金を考えれば、しばらくはアギーレに任せるという協会の判断もわからないではないが、韓国、オーストラリアに比べて世代交代が1年遅れていることは否めない。うらやましい。やはり決勝は経験しておきたかった。たとえ負けたとしても。残念だった。