先日、NHKの「所さん!大変ですよ」で、発達障害の特集を放送していた。どうやら先週位からNHKでは色々な番組で発達障害に関する番組を集中的に放送するようだ。そういえば去年もちょうど今頃、NHKでは「発達障害キャンペーン」をやっていた。その時は「外国人労働者の次は発達障害者?」なんて、ひどい内容の投稿をしてしまったが、しかし今年もまた「所さん!大変ですよ」を見て、「自分も発達障害かも?」って考えてしまった。
発達障害は「自閉スペクイトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」、「限局性学習症(LD)」の3つのタイプに分類される。このうち、「注意欠如・多動症(ADHD)」の特徴として、「忘れ物が多い」「片付けられない」が挙げられていたが、私もとにかく「忘れ物が多い」。今日も昼食後、財布をクルマの中に置き忘れて、慌てふためいた。一緒に同じ番組を見ていた娘は、「まるで私の事じゃん!」と言って、途中で席を外した。娘も忘れ物が多い上に、部屋の片付けは苦手だ。私の場合はそれだけでなく、けっこう集中力高く、他人よりも速く間違いを見つけられることがたびたびある。「自閉スペクトラム症(ASD)」ではないか。また、英語だけが極端にできないのは「限局性学習症(LD)」の可能性もある。
でもそんなことを言い出したら、誰でも発達障害の諸症状のいずれかには当て嵌まりそうだ。そう思ってネットを検索したら、「発達障害『困ってないなら診察不要です』:PRESIDENT Online」という記事に辿り着いた。脳科学者の茂木健一郎と医師の桑原斉の対談記事だが、そこには「その症状で本人が困っていれば診断する」と書かれている。タイトルにあるように、「困ってないなら診察不要」というわけだ。この記事では茂木氏が自分の幼少時代の変わった行動を告白しているが、今なら発達障害と診断されていたかもしれない。「何か変だよ、日本の発達障害の医療:CHILD RESEACH NET」という記事では、発達障害の診察において、過剰検査・過剰診断が行われ、過剰治療が行われているのではないかという危惧が述べられている。
もちろん、「所さん!大変ですよ」で紹介されたとおり、特定の行動に長時間、集中力高く従事することができる能力を持った人が、その特性を活かした職に就けることはいいことだとは思うが、この番組を見ながら「しかし彼は、仕事量に見合った報酬を得ているだろうか」と疑問に思った。これは先の私の記事「外国人労働者の次は発達障害者?」に通じる懸念だが、発達障害の患者を安価に雇用できる新たな労働者と見ていなければいいのだが、と心配になる。
「困ってないなら診察不要」ということで言えば、ずいぶん前に「社長はアスペルガー?」という記事を書いたが、そこで紹介した社長もH氏も、「本人は」困ってないから診察不要で、そのまま60歳近くまで過ぎてしまったのだろう。そうなると、発達障害は病気ではなく、性格だということになってしまう。先の記事(「発達障害『困ってないなら診察不要です』:PRESIDENT Online」)で茂木氏も「本来人間の特性は『スペクトラム(連続体)』であり、『正常』と『障害』の明確な線引きなどできない」と言っている。たぶんそのとおりだろう。ちなみに今は、「アスペルガー」は「自閉スペクトラム症」の障害の中の一つという整理がされているようだ。
いずれにせよ今月中、NHKでは発達障害について集中的に放送すると言う。そのことの是非も含めて、発達障害とは何だろう、ということを私も考えていきたい。