とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

今、するべきことは生活困窮支援。ハローワークを活用すべき。

 月曜日の羽鳥慎一モーニングショーで、コメンテーターの玉川徹と石原良純が支援は「人か、企業か」を巡り、声を張り上げて論争をしていた。翌日、石原良純のいない場で、「財務省の知人から、今は人への支援を優先すべき」と言われたと玉川氏が勝ち誇ったように言っていたが、今、「人か、企業か」と言われれば、「人」に決まっている。そもそも「人への支援」は生活困窮支援で、「企業への支援」は景気対策。違う対策を混同して言い立てているのは政治家も同じ。

 今はまず、生活困窮者の支援を至急実施するべきだ。店舗などの営業自粛によって、非正規雇用の人々がこれまでのような時間数だけ働けず、収入が落ち込んでいる。飲食店経営の自営業者やミュージシャンなどのフリーランスの人々は客が激減し、イベントを開催できず、収入が絶たれた。派遣切りや突然の内定取消で困っている人もいる。

 政府では収入減になった人を対象に現金支給をする等の案が検討されているようだが、収入減の基準や実施主体などはどうなるのだろう。素人考えだが、雇用者も自営業者も、収入が途絶えたのであれば、失業したのだから、全部まとめてハローワークで対応したらどうか。失業の判定は通常業務で行っているはず。雇用保険の加入の有無に関わらず、月々一定額の失業手当を支給することにすれば、地方自治体等に事務委任するよりもはるかに簡単に対応できるのではないか。

 一方、全世帯一律で定額給付金を支給する案なども出されているが、これは生活困窮者対策ではなく、景気対策。玉川vs.石原論争で言えば、「企業」への支援の類だ。あれ、ふと思ったが、石原氏は、景気対策は「人か、企業か」ということで議論をしていたのかな? そうだとすれば、石原氏が正しい。「人」への支援では、麻生財務相が言っているとおり、貯金が積み上がるだけだ。

 と思っていたら、昨日、小幡績「消費刺激は不要、それどころか社会に危機をもたらす:転機の日本経済」という記事をアップしていた。それによると、今回のコロナショックはリーマン・ショックなどと違い、一過性のもの(これは浜矩子も書いていた)だから、感染が収まればすぐにも勢いよく経済は回復する。下手に景気対策で莫大な公費をつぎ込むことは、国家財政を悪化させるばかりだ。だから新型コロナに対する経済対策はこの一過性の危機にだけ対応すればよいのであって、中小企業に対しての無担保無利息による長期融資で足りる。「失業補償は手厚く」というのも上に書いたとおりの内容だ。この記事を紹介すれば私の書くべきことはなかった。ぜひ読んでほしい。特に政治家諸氏には。財務省官僚はこれ位のことは十分理解しているのだろうが。