今季のJリーグが終わった後、天皇杯の準決勝もそれほど興味が沸かず、しばらくサッカーを観戦しなかった。当然、フロンターレが勝ち上がると思っていたが、まさかトリニータが、PK戦とはいえ、フロンターレに勝利するとは。決勝の相手はレッズ。このゲームでトリニータを退任する片野坂監督に対して、レッズは阿部が引退、槙野と宇賀神が退団。どちらのチームとも、有終の美を飾りたいところ。来季、J2に陥落するトリニータにとっては、ACL出場は重荷かもしれないが。
レッズの布陣は4-2-3-1。キャスパー・ユンカーをトップに、トップ下に江坂。左SHに小泉が入り、右SHは関根。ボランチには柴戸と伊藤敦樹が並ぶ。DFは右SB酒井宏樹、左SB明本。CBはシュルツと岩波。GKは西川。対するトリニータは中盤ダイヤモンドの4-4-2。小林成豪と伊佐の2トップに、トップ下に下田。中盤は小林裕紀をアンカーに置き、右SH町田、左SHに渡邉新太。DFは右SB小出、左SBに三竿雄斗。CBはエンリケ・トレヴィザンとペレイラ。GKは高木が守る。
序盤、レッズが積極的に攻めていくと、開始6分、右SH関根がドリブルでスルスルと持ち上がる。DFの守備にこぼれたボールを左SH小泉が拾ってさらに仕掛ける。DFに詰まると、また関根が拾ってドリブル。DFに囲まれながらも中央へ戻すと、OH江坂がフリー。ミドルシュートがゴールに突き刺ささった。幸先よくレッズが先制点を挙げた。
その後もレッズがパスを回し、攻めていく。12分にはCH柴戸のパスからCH伊藤敦樹がミドルシュートを放つが、わずかにポスト左に外れる。トリニータはCH小林が江坂に引っ張られ、中盤が空いてしまう。15分過ぎ位から下田が下がって守備にも参加するようになり、ようやく守備が落ち着いてきた。21分、右SB小出の縦パスにFW伊佐が走り込み、クロスに左SH渡邉がミドルシュート。これがトリニータの初シュートだったが、GK西川が簡単にセーブした。
その後はトリニータがパスを回して攻めるシーンが増えてきた。35分過ぎには渡邉と町田の左右を入れ替えたが、なかなかシュートまでは行けない。逆に43分、レッズはCH伊藤のスルーパスにCFユンカーが走り込むと、正面で対応したCBトレヴィザンがPA内で倒してしまう。しかしVARで確認の末、ノーファールの判定。前半はこのままレッズの1点リードで折り返した。
後半はトリニータが最初から下田を小林と共にボランチに並べ、4-4-2の布陣を取る。すると2分、右SB小出のスローインから右SH渡邉が走り込み、クロスに左SH町田がシュート。その後もトリニータがパスを回してゲームの主導権を握る。15分にはCH下田のCKが直接ゴールに向かうが、GK西川がパンチングでクリアした。レッズも25分、右SH関根のスルーパスにOH江坂が抜け出し、GK高木をかわしてシュートするが、GK高木が粘り強い守備で横っ飛びセーブする。さらにCKからCFユンカーのミドルシュートをCB岩波が受けてシュート。ゴールを揺らすが、これはオフサイド。
28分、トリニータがFW小林成豪を野村に交代すると、レッズもユンカーを下げて、左SBに宇賀神を投入。明本を左SHに上げ、小泉がトップ下。江坂を前線に上げる。33分には右SH関根の突破をCBトレヴィザンが止めて、FKのチャンス。これをCF江坂が直接狙うが、ゴール右に外れた。34分、トリニータは小出と伊佐に代わり、右SB松本、FWに長身の長沢を投入する。一方、レッズは39分、関根と小泉を下げて、右SH大久保、そしてCBの中央に槙野を投入。5-4-1にして逃げ切りを図る。
槙野は投入直後、FKを直接狙うが、GK高木がキャッチする。攻めるトリニータは42分、CBペレイラがドリブルで持ち上がると、右SB松本のクロスにクリアを右SH渡邉がミドルシュート。しかしGK西川がパンチングではね返した。そして終了間近の45分、中盤深い位置のFKでリスタートしたトリニータは、CH下田が左サイドからクロス。これにCBペレイラが合わせてヘディングシュート。これが決まる。何と土壇場でトリニータが同点に追い付いた。
これは準決勝の再来、PK戦かと思ったが、アディショナルタイムの45＋3分、右SH大久保のCKのクリアをCH柴戸がミドルシュート。これをCB槙野がフリックしてヘディングシュート。GK高木はCH柴戸のシュートコースに動いていたのに、槙野のフリックには一歩も動けない。ゴール！ レッズが再び勝ち越した。そしてタイムアップ。終盤にとんでもないドラマがあったが、結果はレッズが2-1で勝利。今年の天皇杯、優勝を飾った。
このゲームで退団する槙野がレッズに置き土産の大きな仕事をやってのけた。さすが槙野。これでACL出場権も手に入れた。今季は6位に終わったレッズだが、来季はさらに大きな結果を手に入れられるだろうか。来季が楽しみだ。またトリニータは、なぜこれでJ2に降格してしまうのかと思うほど、いいサッカーを展開した。たぶん多くの選手が移籍した前半の成績を挽回できなかったのだとは思うが、天皇杯準優勝は立派な結果だ。この結果を糧に、1年でJ１に戻ってきてくることを期待したい。劇的な幕切れがいかにも天皇杯らしい。楽しいゲームだった。でもやっぱり天皇杯決勝は元旦の方がふさわしい、かな。今年の元旦は何をしたらいいのだろう。悩んでしまう。
