とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

オミクロン入学って言われるよ。

 今朝の新聞を開いて驚いた。1面トップに「文科省通知 共通テスト コロナで受験不可 『2次のみで判定を』」という見出しが躍っていた。新型コロナに感染し、または濃厚接触者となり、共通テストを受験できなかった者に対して、二次試験のみで合否判定をする救済措置を取ることを可能とする通知を文科省が発出したという記事。年末に、新型コロナの濃厚接触者に対して、共通テスト受験不可の通知を出して大騒動となり、後日撤回するというドタバタ騒ぎを起こした文科省だが、今度は大きく逆ブレし、共通テストを受験しなくてもOKという通知。

 今朝の中日新聞は、同じ1面に、愛知県が発表したオミクロン株感染者に対する調査結果が掲載されていたが、感染者のうち「軽症・無症状」が97.3%で、肺炎等の「中等症」が2.7%、人工呼吸器などを装着する「重症」は0.1%という内容。年齢別の状況は掲載されていないが、30歳未満の感染者が52.4%という結果も掲載されており、受験年代のほとんどは「軽症・無症状」だと思われる。

 自分がもし受験生で、共通テストに自信がなかったとしたら、オミクロン株に感染するか、感染者と意図的に濃厚接触して、共通テストの受験をやめ、二次試験に賭けようか、ということも考えるのではないかなと思った。もっとも共通テストはこの週末に予定されているから、2・3日のうちにそうした行動を取ることは難しいかもしれないが、朝令暮改とも言える突然の通知はやはり違和感がある。

 各大学では、現在はまだ、共通テストの対応で忙しく、突然の通知に対してどう対応していいのか、現段階ではまだ検討すらしていないという状況のようだが、「共通テストを前提に二次試験の問題を作成しており、新たな試験問題の作成や実施は難しい」という声もあり、実際、各大学がどういう形で対応するのかわからない。ましてや、共通テストだけで合否判定を行っている私立大学などは頭を抱えているかもしれない。

 考えてみれば、かつては各大学で個別に入学試験を実施していたのを、無理やり共通テスト(共通一次センター試験)を導入したのは文科省。本来であれば、新型コロナで共通テストが受験できなかった学生に対しては、別途、時間を空けて、共通テストを実施するのが筋だろう。だが、それを放棄して、各大学に対応を丸投げというのは、あまりにあまり、というか、いかにも国の役人がやりそうなこと、というか。とにかくびっくりした。

 もっとも、共通テストを受験せず、二次試験のみで受験する学生に対して、合格ラインを共通テスト受験者と同じにするとは限らない。合格ラインをかなり高くするかもしれないし、最近は国公立でも推薦やOA選考による面接だけの入試も実施しているから、多様な学生に門戸を開くという意味ではいいのかもしれないが、やはり突然の通知に対しては、驚きを隠せない。

 1年に1回だけの一発勝負による共通テストが大学進学に影響するというこれまでの方法自体が問題だったという気がする。年に数回、少なくとも年2回、共通テストを実施し、各大学も秋季入学を積極的に実施するようにすればいいのかもしれない。大学の講義は基本、前後期それぞれ半年15回の講義で単位を与えている。であれば、半年ごとに新規入学者を受け入れることは十分可能だし、現に実施している大学もある。

 新型コロナの感染が始まった一昨年の夏頃には、「学校の入学時期を9月にしたらどうか」という意見があった。今はすっかりそんな議論があったことも忘れられているが、今回のコロナ禍は入学制度を大きく見直す機会になるかもしれない。いや、是非とも検討をしてほしい。大学に限らず、今回のコロナ禍は、閉塞した日本が大きく変われるチャンスでもあると思うから。