とんま天狗は雲の上

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PCR検査抑制論の欺瞞とドライブスルー方式に対する疑問

 個人的にある問題が発生して、ブログをしばらく書くことができなかった。問題はまったく解決していないどころか、さらに別の問題も発生して、泣きっ面にハチ状態だが、心は少し落ち着いてきたので、この間に感じたことなどをまとめて書いておく。

 まず、PCR検査について。日本におけるPCR検査が非常に少ないことについて、長いこと、検査拡大派と抑制派の議論が続いてきた。最近は専門家会議が「検査数が伸びなかった理由」について説明する位だから、政府の姿勢やマスコミの論調も「もっと増やすべき」という方向に変化してきたようだが、少し前までは「医療崩壊を起こすから、PCR検査のやり過ぎはよくない」という意見がまことしやかに言われた。(「日本がコロナで『PCR検査抑制』を決めたロジック」など)

 いわゆる「PCR検査抑制」論は、「PCR検査のやり過ぎ」が「医療崩壊」を起こし、結果的に「死者の増加」につながることを懸念するものだが、一方で、「PCR検査の抑制」が「コロナ患者の見逃し」を起こし、結果的に「死者の増加」につながる懸念に対しては応えていない。「医療崩壊」を何らかの方法、例えば「自宅や施設での待機」などで回避し、「死者の増加を抑制」する方策等について検討することを放棄しており、医療の本来の目的である「死者の抑制」よりも「医療崩壊の回避」をより優先するための理屈だ。

 また、「PCR検査抑制」論の中でもっとも理解不能だったのが、「偽陽性偽陰性の恐れがある」というもの。しかし、「10人の陽性患者がPCR検査も受けられずに感染を拡大するリスク」と「10人のうち偽陰性とされた患者(例えば3人)が感染を拡大するリスク」を比較すれば、前者の方がはるかに大きいのは自明だ。また「偽陽性」についても、無症状者をも野放図に検査をするのでない限り、何らかの症状があるのであれば、診療拒否するというのは間違っている。

 8日には疑いがある人の「相談の目安」が改正され、また13日には抗原検査の検査キットが承認された。これでようやく新型コロナ感染症の検査も円滑に実施されるようになるだろうか。PCR検査と言えば、ドライブスルー方式の検査が大阪市を筆頭に始められている。大阪市によれば、検査対象者は「新型コロナ受診相談センターへの相談により、発熱等の症状から新型コロナウイルス感染症が疑われる患者(できるだけ軽症または無症状の疑い例)のうち、保健所長が検査を必要と判断した者」というのだが、「軽症とはいえ、症状のある者に自動車を運転させて大丈夫か」と心配になる。実際は濃厚接触者を対象とした検査手法なのだろうか。それにしてもなぜドライブスルーなのか。現状のPCR検査におけるどの課題への対応なのか。ウォークスルーではいけないのか。韓国などで効果を挙げたからといって、それをそのまま持ち込む理由がわからない。新たな手法の紹介は、「不安な現実からの目くらまし」ではないかと気になる。

 いずれにせよ、GW後、感染者数はかなり減少してきた。一部の県では今日にも、緊急事態宣言解除の方針が示されるようだ。しかしGW後、「人との接触」は明らかに増えており、自粛緩和による第二派の到来も懸念される。再び感染拡大が起こった時には、今度こそ検査をしっかりと実施して、感染者及び死者の増加を抑え込みたい。そのためには理屈に合った合理的な対応を期待したい。