プレミアリーグも残り4試合。第35節アーセナルvsチェルシーは、ゲーム展開とは異なり、4-1という得点差でチェルシーが圧勝した。
マンUとのCL準決勝に敗れたアーセナルは、アデバヨール、デニウソンを控えに置き、ファン・ペルシーのワントップ、ウォルコット、ディアビを両サイドに置く布陣でスタートした。アルシャービンが体調不良で欠場、GKのアルムニアも怪我のためファビアンスキーが先発出場したが、振り返ってみれば結局この二人の欠場が勝敗を左右したと言えるかもしれない。
しかし、アーセナルのスタート・ダッシュはすばらしかった。いや、全体を通じて、アーセナルがゲームを支配していた。前半7分、ファブリガスからナスリを経てウォルコットのシュート、8分にも同様にファブリガスからファン・ペルシーを経てウォルコットがシュート。さらに12分サーニャからのクロスをディアビ、14分ファブリガスとファン・ペルシーのワンツー。17分ディアビからウォルコットがシュートと圧倒的に攻め立てる。ワンタッチでつなぐパス回しは美しく、見るものを惹きつけワクワクさせたが、テリー、アレックスのCBコンビを決定的に崩すまでには至らず、またウォルコットも再三のスピード突破は魅せたが、最後のシュートで精度を欠いた。
ほとんどなすすべなくアーセナルのパス回しに翻弄されていたチェルシーは28分、ファブリガスがドログバの足を踏みFKを献上。ドログバのふわっとしたFKをアレックスがヘッドで決め、あっさり先制してしまった。シミュレーションだというファブリガスの抗議がゲームのペースと緊張感を乱したかもしれない。またゴールのバーに当たりはずんだボールをGKが見守ってしまったこと、30分にもチェルシーのCKをファンブルする場面があり、GKの差が現れたかなとも思われた。
39分のアネルカのゴールは、中央がぽっかり空いた中をドリブルで切れ込み、ミドルレンジから見事にシュートを決めたもので、決定力の差をまざまざと見せつけるものだった。
後半に入って早々の4分、ミケルからA・コールが左サイドを抜け出し、コロ・トゥーレのOGで3点差とさらに引き離された。この場面でも中途半端に飛び出し、DFと交錯したGKのポジショニングに問題があったのではないかと思われる。
これでさらに攻勢を強めるアーセナルは、後半5分にファン・ペルシー、8分にはウォルコットからファブリガス、12分、ソングからウォルコットとシュートシーンを演出するが、チェフの好守備もありどうしても得点が入らない。ようやく後半25分に、ディアビに替わって入ったベントナーがサーニャからのクロスをヘッドで決めるが、その直後の同様なシーンはチェフの好ポジショニングもあって得点にならない。そして41分にはランパードからのパスに抜け出したマルーダがアネルカへのパスとシュートの跳ね返りをゴールしてトドメの4点目を献上。ゲームセット。
振り返れば、ディアビとウォルコットをアデバヨール、ベントナーに交替した後にこのゲーム唯一の得点をしたことから、最初からこの二人が先発していたらどうなっていたかとも思わないではないが、もう一つチェフとファビアンスキーのパフォーマンスの違いも目立っており、結局、最後のシュート場面における決定力の違い、GK守備力の違いが結果にそのまま出てしまったという感じがする。
人生も一緒。どんなに途中でがんばってもここぞという場面で決められないと結果が大きく異なる。勝ち組と負け組。でも、その努力、美しいサッカーはたとえ勝てなくてもファンを魅了するのも間違いのない事実。ということで、勝ったチェルシーもすばらしい、敗れたアーセナルも美しいと、両チームを称えたいと思う。