とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

シービリーブス杯 スペインvs.日本

 オリンピックを間近に控え、今年もシービリーブス杯に参加したなでしこジャパン。初戦の相手はスペイン。昨年のW杯では日本と同じベスト16で敗退。FIFAランキングは日本より低い13位。東京五輪はヨーロッパ予選で敗退している。五輪に向けては勝っておかなくてはいけない相手だった。

 スペインの布陣は4-3-3。エルモソをトップに、右WGカルドナ、左WGカンデンテイが左右に開く。中盤はトレシージャをアンカーに、右IHギハロ、左IHプテジャス。ただし、左右のIHとWG、そしてCFも含めてかなり流動的にピッチを動き回る。DFは右SBにコレデラ、左SBバリャ。CBにはペレイラアンドレス。GKはガジャルドが守る。日本は4-4-2。菅澤と岩渕の2トップに、中島が左SH。右SHには池尻が入る。ボランチは杉田と三浦。遠藤を左SBに置いて、右SBは清水。CBは熊谷と南。GKには山下が入った。

 序盤からスペインのプレスが早い。攻守の切り替えも早く、日本はなかなか攻めの形を作れない。さらに前線が流動的に動き回り、守備対応も混乱する。そして8分、CBペレイラからの縦パスを左IHプテジャスがワンタッチで右サイドに送ると、右WGカルドナが走り込んでクロス。CFエルモソが引きつけて左に流すと、左IHプテジャスがシュート。スペインがきれいに日本のディフェンスを崩して、先制点を挙げた。

 日本も14分、FW岩渕のスルーパスにFW菅澤が抜け出し、GKと一対一。だがシュートはGKガジャルドがファインセーブする。17分には左SH中島のCKにFW岩渕がニアでヘディングシュート。ゴール前でDFがブロックした。さらに23分には左SB遠藤の縦パスに走り込んだCH三浦のパスをFW菅澤が落とし、FW岩渕が走り込む。だが一瞬早く、スペインのDFがクリアした。

 スペインの早いプレッシャーに、日本はパスも思うように繋げない。ボランチにしっかりプレスが入るため、そこから先へはなかなか進めず、FWがボールに触る場面も少ない。逆にスペインのプレスにミスも発生する。33分、CB南から左SB遠藤への縦パスがわずかにズレると、右WGカルドナが奪い取り、横に流して、右IHギハロがミドルシュート。GK山下がファインセーブする。35分には右SBコレデラが左SB遠藤の裏に縦パスを放り込むと、WGカルドナが走り込んでクロス。CB熊谷がブロックするが、左SB遠藤が次への展開を迷っているところに再び右WGカルドナがプレスをかけて、こぼれ球を左IHプテジャスがミドルシュート。わずかにポスト右に外れて、助かった。

 なかなか攻められない日本。だが44分、右SB清水が前にアーリークロスを入れると、走り込んだFW岩渕が足を伸ばしてボレーシュート。これがうまくGKの上を越えてゴールに飛び込んだ。ビューティフルゴール。前半終了間際、日本が同点に追い付いたところで前半が終わった。

 後半最初、日本は守備面で苦労していた左SB遠藤に代えて宮川、トップでボールに触る機会が少なかったFW菅澤に代えて田中美南を投入する。スペインもアルデンテイに代えて右WGシェイナ・ガルシア、右IHギハロに代えて左IHルシア・ガルシアを投入する。すると3分、CB熊谷に左に回ったWGカルドナがプレスをかける。下がったCH杉田に出したボールを左IHルシア・ガルシアに奪われ、シュート。後半早々、スペインに勝ち越し点を許した。日本も6分、CH杉田のフィードに左SH中島が抜け出す。ボールキープをしてサポートを待つが、他の選手の上がりが遅く、放ったミドルシュートは枠を外した。

 日本は12分、右SH池尻に代えて籾木を投入。池尻もほとんどボールに触ることができなかった。16分には中盤からの縦パスを受けた右IHプテジャスがCB南をかわしてシュート。右SB清水が何とか下がってクリアする。19分にはそのCB南を下げて、三宅を投入。21分、FW岩渕のミドルシュートも枠を捉えられない。スペインはその直後、エルモソを下げて、ルシア・ガルシアをトップに上げ、サンペドロを右IHに入れる。

 日本はDFラインを高く保つもののプレスが効かない。24分には左IHプテジャスのクロスにCFルシア・ガルシアがヘディングシュート。30分にはCHトレシージャの縦パスがCB熊谷の頭を越え、CFルシア・ガルシアに走り込まれてシュートを打たれる。GK山下のビッグセーブで失点は防いだ。32分、FW岩渕に代えて上野を投入。しかし直後にはCH三浦からボールを奪った左IHプテジャスがシュート。そして33分、DFからのフィードにCB三宅、CB熊谷が抜かれ、CFルシア・ガルシアがシュート。スペインに3点目を献上する。

 日本もようやく37分、右SH籾木の縦パスからFW田中がシュート。39分には右SH籾木がカットインからミドルシュートを放つが、DFに当たったボールはポスト左に外れる。42分にはFW上野のスルーパスにFW田中が抜け出すが、飛び出したGKガジャルドにセーブされた。そして45分、CB三宅の縦パスにFW田中美南が反転してミドルシュート。しかしこれもGKガジャルドがナイスセーブする。終盤こそ多少チャンスも掴んだが、結局ゴールなし。3-1。ゲームはスペインの完勝で終わった。

 東京五輪まであと7ヶ月となってもなお、選手のセレクションなのか。左SB遠藤は守備面では使えなかったし、右SH池尻もFWタイプで、使われて光る選手。スペインの中盤前目二人のIHに日本のダブルボランチが封じら、CBからのパスを狙われて、攻撃の形を作っていけない。後半になってFW田中美南が下がったり、右SH籾木がスペースに受けに行って、何とか打開していこうと努めたが、その他の選手の動き出しは少なく、最後まで運動量の落ちないスペインのプレッシャーをかわすことができなかった。シーズンオフで選手のコンディションも悪かったのだろうが、それにしても今まで何をしていたのと思うくらい連携ができていなかった。籾木や鮫島らが入れば、これまで培った連携はいつでもできるという感じなのか。スペインを格下とみて、選手を試したせいなのか。それなら次のイングランド戦ではベストメンバーで勝利を挙げてほしい。五輪を前に不安を感じさせるゲームだった。もっとも本当に7月にオリンピックが開催されるのか。いっそ、オリンピックの開催延期を期待したくなる。そんなダメダメな内容のゲームだった。