とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

新型コロナの第二波でまた音信途絶

 「ようやく気管カニューレが取れる!」から続く

  • 7月24日に記す

 気管カニューレが取れて、話すことができるようになり、さっそく「携帯電話が欲しい」と言う。覚悟はしたが、持って行った夜にはまた妻から電話がある。「何とかして」「来て」などと訴えるが、眠れないのが原因。それで手元にあった本を少し読んであげたら、収まった。翌日は午後に病院から電話があり、「コロナの感染拡大に伴い、明日から再び面会禁止とします」とのこと。「今日は大丈夫ですね」と念押しして、夕方、最後の面会に行った。

 比較的機嫌はいいが、相変わらず車イスで「あっちへ行け、こっちへ行け」と指示をして走り回らせる。15分の規定のところ、大幅にオーバーして、最後は疲れたのか病室のベッドに寝て、「それじゃ帰るね」と告げた。「最後かもしれない」と不穏なことを言うが、現状でそんな状況にはないので一笑に付した。しばらく会えないので念のため、携帯電話の充電器を持っていくが、本体が見当たらない。電話がないなら、その方がいいかと思いつつ、病室を出た。

 ところが9時過ぎにやはり電話が入る。「どこから帰ったの」と言うので、「普通にエレベータで」と言うと、「一緒に連れていってほしかった」と言う。「眠れない」というので、用意しておいた本を読むが、すぐに「もういい」と言って、電話を切った。しかしそれで終わらない。その後、4~5回ほども電話があり、10時半を過ぎてようやく電話が入らなくなった。ホッとして11時過ぎに寝る。ところが深夜の3時半にまた電話。「眠れない」。「本を読もうか」。「うん」。…でも読み始めると「もういい」と言う。そうして結局5時過ぎまで、何度も電話が入る。家電話の子機を枕元に置き、寝たまま話をするが、こちらも眠い。妻の側も電話だけして、こちらが出るとすぐに切る、なんてことが続いた。「もう外も明るくなってきたよ。このまま起きていればいいよ」。そして最後の電話は5時47分。どうも近くに男性看護師がいるようで、「危ないから横になって」という声が聞こえ、妻の「すいません、もうしません」というような声が聞こえる。何が起きているのか。わからないまま電話を切った。

 翌日は4連休の初日。その後、いつ電話があるかとひやひやしたが、日中は寝ることを強要されることもないし、食事などもあるので、それなりに気が紛れるのか、電話はない。コロナの影響で面会が禁止になったことは伝えなかったので、夕方にいつものように面会に来てくれると思っているかもしれない。それでも電話がないまま、夜になった。

 消灯は9時なので、9時過ぎに電話が入る可能性が高い。「何で来てくれなかったの」と言われるかもしれない。また「帰りたい」とか「先生に言って」とか「助けて」とか「すぐ来て」とか言うだろうなあ。そう思うと、すごく気が滅入る。電話があったら、まずは娘が対応してほしいと伝え、9時前に風呂に行った。そして9時半位に風呂から出るが、「電話はない」と言う。でもまだこれからあるかもしれない。電話があったらどうしようかと思いつつ、10時半近くまで、娘に居間にいてもらったが、かかってこない。やっぱり深夜か。それなら早めに寝よう。すぐに眠りに落ちた。

 しかし2時半に目が覚める。いや、電話はない。電話があるのではと思うと、深く眠れない。どうしよう、どうしようと思いながら電話を待つが、電話が鳴らない。いつまでも鳴らない。朝が近づく。電話がなければないで、また心配になる。携帯電話を紛失してしまったのか。看護師に取り上げられてしまったのか。「電話番号を忘れてしまう」と言っていた。そうなのか。自宅の電話番号はワンタッチダイヤルに登録してあるはずだが、私や娘の携帯電話にはかかってこないので、毎回、電話番号を押して電話しているのか。そしてついにその番号を忘れてしまったのか。まだ充電が切れるには早いと思うが、何度も間違い電話をして、充電が切れてしまったのかもしれない。色々考えるが、電話がない理由がわからない。

 しかしこちらから電話をするのは憚れる。面会にも行けない。病院にいるわけだから、何かあれば連絡があるだろう。しかし治療病院では、リハビリ病院に比べ、入院患者に対するケアが十分ではないようだ。拘束具を付けられて放っておかれる。刺激がないとますます痴呆が進みそうな気がする。もうリハビリ病院へは連絡をしているのだろうか。木・金と連休で連絡や調整が遅れているのかもしれない。明日には何か連絡があるだろうか。その後、リハビリ病院が満室となって、受入が困難なんてことはないだろうか。色々心配になる。でも今日は休日。延期された東京五輪の開会式のための休日。なんてことだ。オリンピックなどなければよかった。そうすれば4連休もなく、転院もスムーズに進んだのではないか。なんて思うのは、とんだ八つ当たりだが、そんなことでも思わねば平静でいられない。いやそんなことを考えること自体が平静ではない。

 ついに妻との音信も途切れてしまった。世間では「Go To トラベル」とか言っているが、ただ家で待つばかりの4連休だ。やることもないので、こんなブログを書いている。