とんま天狗は雲の上

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令和2年の死亡数は前年よりも減少傾向という事実をどう解釈すべきか

 コロナ禍が続いている。毎日のように感染者、そして死者数がカウントされ、新型コロナ感染症の恐怖が喧伝される。一方で、インフルエンザの患者は極端に少ないという話も聞く。少し前に、昨年の月別死亡数が実は、新型コロナの感染拡大にもかかわらず、前年に比べ減少しているという話を聞いた。もう年も明けたことだし、年間死亡数が公表されているだろうかと、厚労省のHPで確認をしてみた。

 すると1月12日付で、昨年8月までの人口動態統計が公表されていた。1月から8月までの累計で死亡数(推計)は986,660人、前年同時期に比べ17,124人の減少となっている。ちなみに令和元年の死亡数(確定値)は1,381,093人で、2009年から年々増加している。2009年が若干減だったのは前年のリーマンショックが原因だろうか? 年が明けたらすぐに前年の集計数字が発表されるかと思ったら、そういうものではなく、だいたい5ヶ月後に月別の推計値が発表されるもののようだ。

 では、年間死亡数はと言えば、例年だと12月下旬に推計値が公表され、確定値は翌年9月頃に公表される。だが、令和2年については年間推計をしない旨の発表がされている。そこには「年間推計を機械的に算出した場合には、算出した推計値が実態と乖離することが想定されるため、…年間推計をいたしません」と書かれていた。しかし、これまで用いてきた推計式は提示されており、推計式に代入すべき数値も参考資料として明らかにされているので、算出は可能だ。

 また、10月の速報値までの傾向として、①死亡数は、これまでの増加傾向に反し、減少していること、②婚姻件数・離婚件数に大きな変動があること(令和元年の天皇即位・改元とコロナの影響か)、③出生数・死産数についても、妊娠届け出件数の減少や死産数の減少がみられること、といった例年との違いも挙げられており、これまでのような機械的な推計値の公表はしないという判断をしたことも理解できる。ちなみに10月までの速報値でも14,315人の減少。10月は前年よりも死亡者が3750人ほど増えている。

 また、月別の概数をよく見ると、新型コロナの感染が拡大する前の1月・2月の死亡数が前年から10,526人も減少している。となると、昨年の死亡数の減少は、新型コロナの感染拡大で、手洗いやマスクの着用などこれまで以上に健康に留意する人が増えたとか、外出が減って交通事故などで事故死する人の数が減ったなど、コロナ感染拡大に起因する原因ばかりではないということになる。

 ということで、公表された統計値を詳細に確認してみると、令和2年の死亡数が減少していることを、厚労省として隠蔽したいがために年間推計を中止にしたわけではなさそうだ。最初、この記事のタイトルを「年間死亡数が減少した(かもしれない)という不都合(かもしれない)な真実」と書いたが、修正しておこう。だが、どうして減少したのだろう。9月の確定値の公表の際にはその要因も提示されるだろうか。調べてみたら、死亡数もなかなか簡単ではないということがよくわかった。なあんだ、つまらない。新しく書き直したタイトルの答えは「わからない」。でも「わからない」ことが「わかった」ということだけでも重要なことだとは思うけどね。