とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

AFC女子アジア杯準決勝 中国vs.日本

 3連覇に向けて準決勝に進出したなでしこジャパン。中国に勝てばグループリーグで引き分けた韓国との決勝戦が待っている。準々決勝のタイ戦で田中美南がケガをして、先発メンバーをどうするかと思ったが、ワントップに植木、トップ下に岩渕を置く4-2-3-1の布陣で来た。SHは右に長谷川、左に宮澤。ボランチは長野と林。猶本や隅田はベンチに置いた。DFは右SB清水、左SB乗松。熊谷と南のCBにGKは山下。対する中国は4-4-2。タンジャリとチャンシンの2トップに、右SHウーチェンシュー、左SHチャンリンヤン。ボランチはマージュンとヤオリンウェイ。DFは右SBロウジャフイ、左SBヤオウェイ。ワンシャンシャンとワンシャオシュエのCBにGKはジューユー。キャプテンでこれまでCFでプレーしてきたワンシャンシャンをCBに起用した。

 開始1分、左SH宮澤がミドルシュート。4分にはOH岩渕がDFと競り合いながら右に流して、CF植木がシュートを放つ。序盤から日本が攻めていく。13分、CF植木のパスを受けたOH岩渕がうまく持ち出し、DFをかわしてシュートを放つが、ポスト右に外した。一方、中国も19分、左SH宮澤のドリブルをカットしてカウンター。FWチャンシンの縦パスに右SHウーチェンシーが持ち込んでシュートを放つ。これはCB南が対応する。

 21分、OH岩渕が右サイドから縦とのワンツーを繰り返して正面まで来ると、左に流して、左SH宮澤のパスからCF植木が抜け出してシュート。しかしGKジューユーがセーブする。中国のプレスが早いせいか、日本の攻撃もパスミスが多く、なかなかチャンスがつかめない。それでも26分、CH長野の縦パスから左SH宮澤がクロス。これにCF植木がニアに走り込んでフリック。これがネットに突き刺さる。見事なヘディングシュートで日本が先制点を挙げた。32分には右SB清水のクロスがファーに流れたところをCF植木がシュート。45分にはCF植木から左に流し、左SH宮澤がカットインからミドルシュートを放つが、ポスト右に外れた。前半は日本の1点リードで折り返した。

 後半最初、中国はマージュンとチャンリンヤンを下げて、左SHシャオユーイー、CHチャンルイを投入する。すると開始早々の1分、左サイドのスローインからFWチャンシンがキープして、走り込んだ左SBヤオウェイがつないで、左SHシャオユーイーのクロスに右SHウーチェンシューが走り込み、シュート。中国が同点に追い付いた。立ち上がり早々、日本はやや集中力を欠いていた感じだ。

 日本は8分、左SH宮澤のクロスからOH岩渕がミドルシュートを放つ。しかしどこか攻めが物足りない。抜け出しで勝負するCF植木だが、連携の中で生きてこない。またボランチからの球出しも不満。特に林から効果的なパスが出ない。猶本が決勝へ温存か。19分、OH岩渕を下げて、左SH遠藤を投入。宮澤をトップ下に移す。中国も20分、右SBロウジャフイに代えてガオチェンを投入する。

 28分、右SH長谷川のクロスに左SH宮澤がヘディングシュートするも、バーの上。29分、左SH遠藤のクロスが右に流れて、右SH長谷川のクロスにCF植木がシュート。しかしポスト左に外れる。その後も日本が攻めていくが、ミスも多く、なかなか決定機を掴めない。30分過ぎ位から長谷川をトップ下に移し、宮澤が右SHに変わった。34分、CH林のパスを左SH遠藤が右に展開。右SH宮澤がミドルシュートを放つが、枠の外。36分、中国はウーチェンシーを下げて、左SHにワンヤンウェイを投入。シャオユーイーが右SHに回る。

 その後も攻める日本だが、中国が守備を固めて、ゴールが遠い。41分、CH長野の縦パスからOH長谷川がスルーパス。植木が抜け出し、クロスに左SH遠藤が合わせるが、バーの上に外す。いや、そもそも植木のポジションがオフサイドだった。結局このままタイムアップ。勝負は延長戦に移った。

 しかし延長に入っても日本は選手交代をしない。延長6分、右SB清水の落としに右SH宮澤がフリー。ミドルシュートを放つが、ポスト右に外す。かなり疲れているのではないか。7分、CH長野の縦パスをCF植木が落とし、OH長谷川がミドルシュート。これはバーを叩く。8分にはCH長野のクロスにCF植木が持ち出してミドルシュート。だがこれもポスト右に外す。その直後、日本はようやく二人目の交代。右SH宮澤に代えて、成宮を投入した。

 そして13分、左SH遠藤の仕掛けが奪われた後、CH林が対応して、中盤深い位置でFKを得ると、長谷川のFKにCF植木がヘディングでフリック。これが決まる。日本が勝越し点を挙げた。植木は本当にこういうヘディングが上手い。その後も攻める日本。15+1分、OH長谷川のミドルシュートはGKジューユーがファインセーブ。15+2分、長谷川のCKにCF植木がヘディングシュートを放つが、これもGKジューユーがファインセーブ。延長前半はこのまま日本の1点リードで終わった。

 延長後半に入ると中国は遠目からゴール前にロングボールを放り込むようになってくる。5分にはCHヤオリンウェイが遠めのFKを直接狙うが、ゴール右に外れた。直後にはヤオリンウェイとタンジャリを下げて、FWリーイン、CHヤンリーナーを投入する。日本も7分、植木を下げて、左CB高橋はなを投入。5-4-1にして守りを固める。そのまま時間が過ぎて、延長後半も14分。左サイド深い位置からのFKをFWチャンシンがゴール前に放り込むと、日本のDFがクリアするも右SHシャオユーイーに拾われ、シュート。これはブロックするが、はね返りを拾ったFWチャンシンがクロス。ニアにCBワンシャンシャンが走り込み、シュート。何と、中国が同点に追い付いた。その後、日本は15+4分、左SH遠藤がシュートを放つが、DFがブロック。結局、PK戦に持ち込まれてしまった。

 PK戦は最初にCB熊谷が失敗するが、中国も1番手のチャンシンが失敗。その後は長谷川、清水、長野と成功するも、中国も3人が成功し、5人目。日本はCB南のPKがGKに止められる。中国は土壇場で同点ゴールを決めたキャプテンのワンシャンシャンがしっかりと成功。4-3。中国がPKを勝利して、決勝進出を決めた。

 キャプテンのワンシャンシャンを中心に守り、そしてゴールを挙げる。勝負への執着心が違っていたかもしれない。振り返ってみれば、日本のゴールは植木のフリックによるヘディングシュートが2発。連携の中で中国を崩すことはできなかった。田中美南や菅澤であればポストプレーからの連携もあったはず。猶本や成宮がもっと早く登場していれば、ミドルシュートやセットプレーからのゴールがあったかもしれない。中2日の日程が続く中、選手たちの体調面もあっただろうし、決勝戦へ戦力を温存したかもしれない。それにしても、攻撃面がまだまだ。欧米のチームに対して組織的な守備面を重視した高倉監督だったが、池田監督に代わり、さらなる攻撃力の向上を期待したい。W杯出場権は手にしたが、多くの課題が見えたアジア杯だった。