とんま天狗は雲の上

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アベノショックで疲弊した日本にコロナショックが襲う

 中国の武漢市で始まった新型コロナウイルス感染症だが、中国の発表によれば武漢市の感染者数は5万人程度であり、人口は1000万人を超えるから、単純に計算すれば感染率はわずかに0.5%。中国特有の情報操作も疑われるが、感染率を20倍にしても10人に一人。しかも致死率はその数%ということであれば、ある程度気を付けて行動すればそれほど恐れることはない。

 また、イギリスやドイツが当初、集団免疫説に基づく対応を発表したこともあり、日本もあえて検査数を抑えることで、意図せず(若しくは公表せず)、同様の対応となっている可能性もある。さらに、BCG予防接種が自然免疫力を高め、感染拡大に一定の効果があるという情報もあり、それならなおのこと大丈夫かなと思っていた。

(以上、多くは「新型コロナの免疫とワクチンの話をしよう」参照)

 しかしその後もネットに流れる様々な情報を見ていると、事態はさらに進んでいるようだ。「『新型コロナ感染症』:一刻も早い強力な『接触規制』を~データサイエンスの専門家が警鐘」によれば、新型コロナウイルスには、「S亜型」と「L亜型」があり、最初に武漢で爆発的感染を引き起こしたのは「L亜型」だが、その後、東南アジアで感染が広がったのは「S亜型」。しかしイタリアを始め、欧州で爆発的な感染拡大を引き起こしているのは「L亜型」。こちらの方が「S亜型」に比べ感染力が強く、強毒性で、そして今、欧州からの帰国者を中心に、「L亜型」のコロナウイルスが日本で爆発的な感染を引き起こしつつあるのではないかと言う。

 「『現実』と『情報』」で書いたとおり、今のところ私の周りで感染者は出ていない。それでも同じ市内で感染者が発生し、同僚が住む町ではクラスターも発生した。テレビを見れば、小池都知事が外出自粛やバーなどの利用自粛を訴え、安倍首相も負けずと不要不急な会見をしている。昨日は専門家会議が医療体制の切迫を訴え、日本医師会は「医療危機的状況宣言」を発表した。小池都知事らの会見は「やってる感」だけが前面に出て、どこまで真に受けていいのか迷うが、これらのパフォーマンスとは別に、「現実」はじわじわと身近に迫ってきているのかもしれない。

 いよいよ、日本での感染爆発が始まる? 本物の「コロナショック」だ。日本では昨秋の消費増税で多くの企業や商店が消費減退という傷を負った。さらに2月末、突然の全国一斉休校要請という「アベノショック」により、観光業や飲食店を中心に売上が激減し、一部の業種では致命的な状況となっている。その上に「コロナショック」が襲う。「アベノショック」がボディブローのように効いてくる。しかし未だに政府は「緊急事態宣言を発令する状況にはない」と言う。いや、緊急事態宣言を発令したところで、生活支援という点ではできることは限られている。ようやくマスクを2枚ずつ配布する程度のことだ。

 イタリアでは財政危機に伴う医療費等の削減で、医療崩壊の危機を迎えたという。日本はバブル崩壊以降、新自由主義に基づく自己責任と小さな政府論により、生活支援のセーフティネットが小さくなっている。加えて、アベノミクスによる野放図な金融政策等により財政的にもさらに厳しい状況になっている。このままでは国民の生活は欧米以上に悲惨な状況になっていくかもしれない。