とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

2000年1月1日 天皇杯決勝 名古屋グランパスvs.サンフレッチェ広島

 グランパス天皇杯優勝は2回ある。ベンゲルの下で初優勝を遂げた1996年とジョアン・カルロスの下で2度目の優勝を飾った2000年。いずれも決勝の相手はサンフレッチェだが、今回、再放送があったのはストイコビッチが華麗なドリブルからのゴールを挙げた2000年のゲーム。前年の天皇杯フリューゲルスの下で最後の優勝を果たした山口素弘と楢崎に呂比須ワーグナーも加入して、リーグ初優勝も期待されたシーズンだったが、田中孝司監督は4月早々に退任。ダニエル・サンチェス監督でも結果は残せず、セカンドステージ途中からジョアン・カルロス監督が就任。ようやく10連勝してリーグは2位でフィニッシュ。天皇杯も決勝まで進出した。

 グランパスの婦人は4-4-2。呂比須をトップにストイコビッチが自由にポジションを取り、右SHには望月、左SH平野。ボランチはウリダと山口。DFは右SB飯島、左SB小川誠二。CBに大岩とこのゲームでグランパスを離れるトーレスが入り、GKは楢崎。懐かしい名前が並ぶ。対するサンフレッチェは3-4-2-1。久保と森保がケガでいない中、ワントップは高橋泰藤本主税服部公太がトップ下に入り、ボランチは桑原と当時まだ高校生の森崎和幸。WBは右に伊藤哲也、左に古賀聡。CBは右からフォックス、ポポヴィッチ、上村。GKは下田が守る。藤本や服部、上村らは懐かしいが、記憶にない選手も多い。できれば久保や森保が健在な状況で戦いたかった。

 ということで、メンバー的には圧倒的にグランパスが優位。序盤はグランパスも攻めていったが、サンフレッチェが厳しいプレスで対応すると、右IH藤本が絶好調。序盤からフル回転でサンフレッチェの攻撃をリードする。受け身に回るグランパス。ようやく20分過ぎ位からCKで反撃すると、24分にはFWストイコビッチを起点に左SH平野が縦パス。ストイコビッチが走り込むが、DFにクリアされる。29分、サンフレッチェの左IH服部がミドルシュートを放つ。これが両チーム最初のシュート。その後は再びサンフレッチェが攻勢をかけ、右IH藤本のFK。CB上村のロングスロー。左IH服部公太のCKとセットプレーで攻め込むが、グランパスもCB大岩とトーレスを中心にしっかりと守る。45分には左IH服部公太のCKからCB上村がヘディングシュート。しかしポストの左。前半はスコアレスのまま折り返した。

 サンフレッチェは後半最初にCH森崎とCBポポヴィッチを下げて、CH大久保とCB川島を投入する。フォックスをCBの中央に下げて、川島が右CBに入る。グランパスは4分、FWストイコビッチのFKにCBトーレスがヘディングシュート。枠は捉えられなかったが、これがグランパスの初シュートだ。しかし後半に入ると、ストイコビッチが左サイドに張る場面も多くなり、ゲームは次第にグランパス・ペースとなってきた。そして12分、CHウリダがドリブルで前に運ぶと、左SB小川とのパス交換からFW呂比須にくさびのパス。DFがチェックしてこぼれたボールをウリダが右サイドに送ると、左WB古賀が処理しきれずにファーに流れていく。これをFWストイコビッチが絶妙なクロス。そこへFW呂比須が走り込み、ヘディングシュート。グランパスが先制点を挙げた。

 その後は完全にグランパス・ペース。23分にはFWストイコビッチのスルーパスにFW呂比須が走り込み、GKと一対一。シュートはGK下田がナイスセーブ。サンフレッチェは27分、CF高橋を下げて、右IH山口敏弘を投入。藤本をCFに上げた。同点に追い付くべく必死に反撃するサンフレッチェ。だがグランパスが集中して守ると、38分、有名なシーンがやってきた。サンフレッチェのロングスローをCBトーレスがヘディングクリアすると、FW呂比須がドリブルで持ち上がり、CHウリダからカウンターで駆け上がってきたCBトーレスに渡すと、GKと一対一の場面から左にパス。FWストイコビッチが中に切れ込んでGK下田をかわすと、さらに左WB古賀とCB上村を滑らせて、最後までついていったGK下田を抜くシュート。グランパスがゲームを決める追加点を挙げた。

 ロスタイム3分にはゴール前でFKのチャンス。ストイコビッチが直接狙ったが、これはバーに跳ね返された。そしてタイムアップ。2-0。グランパスが2度目の天皇杯優勝を飾った。

 こんなゲーム展開だったのかと改めて確認した。前半はほぼサンフレッチェ・ペース。だが後半に入ると、ストイコビッチが躍動して、2ゴールを挙げた。ベンゲルの時からチームを支えてきたトーレスはこれがラストゲーム。それにふさわしいプレーを見せた。そして2000年シーズンもこのメンバーで活躍するかと思ったら、なんとファーストステージ終了後に平野・大岩・望月が解雇される。グランパスの長期低迷はここから始まったと思うと、この年の天皇杯優勝は直前の輝きだったと思わざるを得ない。

 その意味では記憶に残すべきゲームだったとは思うが、やはりグランパスと言えばベンゲル時代のゲームを見たい。小倉が躍動し、デュリックストーレスらが組織的なサッカーを見せた1995年のシーズン。そして1996年の天皇杯決勝を見てみたい。再放送、やってくれないかな。過去のDVDでも探してみようかな。