とんま天狗は雲の上

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J1リーグ第37節 セレッソ大阪vs.名古屋グランパス

 残り2試合。勝ち点5の差を付けられた3位は正直期待しないが、天皇杯の結果いかんではACL出場が可能となる4位は死守したい。そのためにも負けられないゲームだったが、相手は先日、今季限りの引退を発表した大久保義人が先発したセレッソ。大久保にとってはJリーガーとしてスタートした古巣にして、ホーム最終戦。当然、他の選手たちも、大久保を勝利で送りたいと思っているはず。グランパスにはセレッソから移籍してきた柿谷や木本もいる。彼らが大久保に恩返しの活躍をしてくれればいいのだが。

 セレッソの布陣は4-4-2。トップには大久保と並んで、弱冠21歳の山田寛人が先発する。中盤は藤田と奥埜のボランチに、右SH坂元、左SH清武。DFは右SB松田陸、左SB丸橋。CBに瀬古と西尾という若い二人を置き、GKはキムジンヒョン。対するグランパスは4-2-3-1。シュヴィルツォクをトップに、トップ下に柿谷。前田と相馬が左右のSHに張り、ボランチは木本と稲垣。DF・GKは前節と変わらない。柿谷と木本が先発した。

 序盤はグランパスが積極的に入っていく。3分、左SH相馬がCH奥埜からボールを奪い、OH柿谷がつないで、CH木本の縦パスにCFシュヴィルツォクが走り込み、切り返しからミドルシュート。GKキムジンヒョンがセーブする。セレッソも8分、左SH清武がゴール前に放り込むと、CBキムミンテの頭を越えてFW大久保の元へ。大久保はミドルシュートを狙うが、わずかにポスト左に外れた。

 その後はセレッソが積極的に攻める。10分、左SH清武のFKをCB瀬古が落として、左SB丸橋がミドルシュート。11分、右SH坂元のクロスに左SH清武がシュート。13分にはCH奥埜の縦パスを積極的に中でプレーする右SB松田が右に展開。FW大久保がミドルシュートを放つ。さらに16分、CH奥埜の縦パスをFW大久保がヘディングシュート。セレッソはFW大久保にボールを集め、シュートを放っていく。

 序盤の勢いもすぐにセレッソの盛り返されたグランパスは10分過ぎ位から前田をFWに上げて、柿谷が右SHでプレーする4-4-2の布陣に変更した。26分にはFシュヴィルツォクの仕掛けから、こぼれ球を右SH柿谷がミドルシュート。これはGKキムジンヒョンのファインセーブで弾かれた。一方、セレッソも29分、CH奥埜の縦パスで抜け出したFW山田がシュート。GKランゲラックが右足一本で止めるファインセーブ。続く丸橋のCKはCB瀬古がヘディングでフリックするが、これもGKランゲラックが弾き出す。スーパーセーブだ。」

 33分にはFW山田がドリブルで運び、FW大久保がシュート。これもGKランゲラックがファインセーブ。さらに丸橋のCKからCB西尾がヘディングシュートするも、右に外す。グランパスは30分過ぎ辺りから柿谷を左IHに下げて、4-3-3の布陣。守りを固めて、そのまま前半を終えた。前半はセレッソが多くのチャンスを掴んだが、何とかスコアレスで折り返す。

 すると後半最初からグランパスは木本と前田を下げて、CH長澤と右SHマテウスを投入。布陣も再び4-2-3-1に戻す。後半序盤はセレッソが攻勢をかけるが、再三のピンチをグランパスが集中した守りで切り抜けると、10分には相馬とシュヴィルツォクを下げて、左SHに齋藤、トップに山崎を投入する。これを機に再びグランパスの攻撃にスイッチが入る。15分、CH長澤がCH藤田に倒されて得たFKを右SHマテウスが直接狙うが、壁に当たる。セレッソも17分、FW大久保のスルーパスにFW山田が抜け出すも、トラップがやや流れてGKランゲラックが抑えた。

 そして22分、セットプレーの流れからCH長澤からのサイドチェンジをCF山崎がヘディングで落とすと、CB中谷が繋いで、OH柿谷が自ら浮かせてバイシクルシュートを放つ。これが決まった。グランパスが先制点を挙げた。大久保への恩返しのゴールだ。するとセレッソは直後、FW山田を下げて加藤を投入する。27分、FW加藤が倒されて得たFKをCH藤田が直接狙うが、バーを叩く。しかしその後も攻め続けるセレッソ。そして35分、左SB丸橋のFKはDFがはね返したが、それをCH藤田がダイレクトでボレーシュート。ゴール右隅に飛んだボールはバーに当たり。はね返りがGKランゲラックに当たってゴールに吸い込まれた。セレッソがついに同点に追い付いた。

 押され気味のグランパスは38分、柿谷を下げて、左SHに森下を投入。齋藤をトップ下に移す。一方、セレッソは40分、大久保を下げて、豊川を投入。すると42分、左SH清武からゴール前に絶妙のクロス。FW加藤とFW豊川が飛び込むが、わずかに届かず。それでもゴール左下に向かったボールはGKランゲラックがファインセーブで弾き出す。すると続く清武のCKにCB西尾がヘディングシュート。これが決まり、ついにセレッソがリードした。大久保に送る祝福のゴール。その後、グランパスはキムミンテをトップに上げてパワープレーをかけるが、ゴールならず。2-1。セレッソが勝利して、大久保の引退を祝った。

 しかしグランパスにとって、この敗戦は痛い。これで最終戦を残し、5位に転落。4位アントラーズとの勝ち点差は1だが、得失点差が大きい。そして相手は6位レッズ。一方、アントラーズの相手は19位で既に降格が決まったベガルタ。手倉森監督の退任に奮起し、セレッソが最終戦を勝利できるだろうか。その上で、グランパスには勝利が求められる。絶体絶命。まあしかし楽しいシーズンではあった。順位に関係なく、ホームでの最終戦は選手たちに伸び伸びとプレーしてもらい、来季のさらなる飛躍に繋げたい。昨日のゲームは「大久保義人に捧げるゲーム」として諦めよう。その代償はあまりに大きかったという気がしないでもないが。