とんま天狗は雲の上

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FIFAワールドカップ2022 準々決勝 イングランドvs.フランス

 W杯の決勝トーナメントでイングランドとフランスが対戦するのは、実に40年ぶりのこと。どちらもグループリーグを圧倒的な強さで勝ち抜け、決勝トーナメント1回戦も3ゴールを奪って快勝し、準々決勝に上がってきた。どちらのチームも、プレミアリーグリーグアンなど、主要リーグで活躍する選手が綺羅星の如くいて、できれば決勝戦で観たかったカードだ。

 イングランドの布陣は4-3-3-。ケインをトップに、右WGサカ、左WGにフォーデン。中盤はライスをアンカーに、右IHヘンダーソン、左IHベリンガム。DFは右SBカイル・ウォーカー、左SBルーク・ショーマグワイアストーンズのCBに、GKはピックフォード。一方、フランスの布陣も同じ4-3-3。ジルーをトップに、右WGデンベレ、左WGエムバペ。中盤はチュアメニをアンカーに、右IHグリーズマン、左IHラビオ。ただし、ラビオは守備的に低く、グリーズマンは高い位置を取る。DFは右SBクンデ、左SBにテオ・エルナンデス。CBはウパメカノとバラン。GKはロリス。両チームとも決勝トーナメント1回戦と同じ先発で来た。

 前半は序盤からお互い交互に攻め合う展開。先にシュートを打ったのはフランス。11分、右IHグリーズマンから右に流し、右WGデンベレのクロスにCFジルーがヘディングシュート。お互いに攻めるが、無理はせず、緊張した感じでゲームは進む。しかし17分、左WGエムバペがドリブルで左から中へ運ぶと、右WGデンベレが下げたパスを右IHグリーズマンが中へ戻す。するとCHチュアメニが強烈なミドルシュート。これがゴールに突き刺さった。フランスが先制点を挙げた。

 先制されたイングランドは移転、積極的に攻め始める。21分、右WGサカのドリブルが左IHラビオのファールで止められると、左SBルーク・ショーが直接FKを狙うが、GKロリスの正面。22分には右WGサカの楔のパスを受けたCFケインがCBウパメカノをかわしてシュート。GKロリスがファインセーブ。さらに25分、右サイドからCFケインが仕掛け、PAギリギリの位置でCBウパメカノと縺れて倒れる。VARで確認するが、主審はPK、いやファールも取らなかった。

 29分、CHライスの横パスからCFケインがミドルシュート。左IHラビオに当たってコースが変わったが、GKロリスがファインセーブ。ゴールを許さない。フランスも39分、右IHグリーズマンがFKを横に流し、右WGデンベレが左に大きく展開すると、左SBテオ・エルナンデスのクロスに左WGエムバペがシュート。だがわくは大きく外した。前半はこのままフランス1点リードで折り返した。

 後半もイングランドが積極的に攻めていく。2分、左WGフォーデンのCKのクリアを左

SBショーが落とし、左IHベリンガムがシュート。だがこれもGKロリスがファインセーブした。そして8分、右WGサカの仕掛けから左IHベリンガムの落としを受けてさらに左へ動くサカに対して、CHチュアメニが足をかけて倒してしまう。PK。これをケインが決めて、イングランドが同点に追い付いた。

 すると今度はフランスが攻勢に出る。10分、右SBクンデのフィードに左IHラビオが抜け出して、ミドルシュートを放つが、GKピックフォードがナイスセーブ。11分には左WGエムバペがドリブルで右SBウォーカーを抜き去り、クロスに右WGデンベレ。だがトラップが流れた。攻めるフランスはグリーズマンをトップ下に上げ、4-2-3-1の布陣に変更する。16分、右WGデンベレがカットインからミドルシュートを放つも、DFがブロック。イングランドも17分、CFケインがミドルシュート。だがGKロリスがセーブする。

 その後は次第にイングランドが攻める場面が多くなってくる。25分、右IHヘンダーソンのFKにCBマグワイアがヘディングシュートするも、左ポストを掠めて外れた。27分、左SBショーがドリブルで上がり、クロスに右WGサカが詰めるが、手前で左SBテオ・エルナンデスがクリアする。フランスはパスもなかなかつながらず、守る場面が多くなってきた。だが30分、左SBテオ・エルナンデスのクロスにCFジルーがヘディングシュートすると、32分にはCHラビオのクロスを右WGデンベレがヘッドで落とし、CFジルーがボレーシュート。GKピックフォードがビッグセーブで弾き出す。そして33分、OHグリーズマンのCKは一旦はDFにはね返されたが、右SBクンデ、左SBテオ・エルナンデスと繋いで左に展開すると、OHグリーズマンのクロスにCFジルーがヘディングシュート。ネットを揺らした。フランスが勝ち越し点を挙げた。

 その直後の34分、イングランドはサカとヘンダーソンを下げて、右WGスターリング、右IHマウントを投入する。一方、フランスもデンベレに代えて右WGコマン。そして35分、左IHベリンガムの縦パスに右IHマウントが走り込むと、左SBテオ・エルナンデスがやや後ろからショルダーアタック。PAで猛然とマウントを倒してしまう。これを主審がVARで確認し、PKの判定。39分、CFケインがこのゲーム2回目のPK。だが今度はバーの上に外してしまう。直後の40分、イングランドはフォーデンを下げて、左WGラッシュフォードを投入。

 アディショナルタイムは8分。攻めるイングランドに対して、フランスも前からプレスをかけて、積極的な守りを見せる。43分、右IHマウントのミドルシュートは枠を捉えられない。45+8分には、足を痛めたCBストーンズに代えて、グリーリッシュを投入。45+11分、PA手前でFKのチャンスを得るが、ラッシュフォードの蹴ったシュートはわずかにバーの上を越えた。そしてタイムアップ。2-1。フランスが勝利。準決勝進出を決めた。

 いいゲームだった。どちらかが一方的に守るのではなく、お互い攻め合い、守り合う。クリーンで楽しいゲームだった。だが、勝敗を決めたのは個人の力だったような気がする。このゲームではゴールはなかったが、やはりエムバペの存在は大きい。そしてジルーががんばった。グリーズマンも効いている。次の相手はモロッコ。モロッコと言えば、かつてはフランスの植民地で、モロッコからの移民も多い。フランスとしては絶対負けられない相手だが、モロッコの勢いも油断はできない。かなり面白い試合になるのではないか。準決勝はどちらも目が離せない。