FIFAランク1位のアメリカ、2位のドイツが敗退した今、勝ち残っている中で最強なのは3位スウェーデン。できれば準決勝以降で対戦したかった。実質の決勝戦だったと言われるかもしれない。それほど今大会の日本はすばらしいサッカーを展開している。
日本の布陣は3-4-3。田中美南をトップに、右FW藤野、左FW宮澤。長野と長谷川のダブルボランチに、WBは右に清水。左には杉田が先発した。DFは右から高橋、熊谷、南。GKは山下。スウェーデンの右サイドを抑えるため、左WBに杉田を先発させたか。一方、スウェーデンの布陣は4-2-3-1。ブラクステニウスをトップに、トップ下にアスラニ。SHは右にカーネリド、左にロルファ。ボランチはルベンソンとアンゲルダル。DFは右SBにビヨルン、左SBアンデッション。イレステッドとエリクソンがCBに並び、GKはムソヴィック。平均身長は170㎝以上。高い。
いや、高いだけじゃない。序盤から早い寄せ。そして右サイドから積極的に攻めてくる。日本も前からプレスをかけ、CBが集中して守る。12分にはCF田中美南がドリブルで運ぶと、CHアンゲルダルに倒され、FKのチャンス。デザインしたセットプレーを披露するが、DFにはね返された。その後しばらく、日本がパスを回して攻めていくが、攻めきれず。またスウェーデンのペースに。
25分、右SBビヨルンの長いパス1本にCFブラクステニウスが走り込み、CB熊谷が対応するが、抜かれシュートを打たれる。ポスト右に外れた。パスを回すだけでなく、長いパスからの攻撃も脅威だ。それでも28分、日本は左FW宮澤から右へサイドチェンジ。右WB清水が仕掛け、クロスに左WB杉田。だがやや高く届かない。左FW宮澤が拾うが、折り返しはGKがセーブした。そして34分、左サイド深い位置からのFKをOHアスラニが蹴り込むと、GK山下がパンチング。これを右SBビヨルンが拾い、シュート。DFがブロックするが、はね返りを中へ送ると、CBエリクソンがシュート。これもDFがブロックしたが、ゴール前にこぼれる。これをCBイレステッドがシュート。スウェーデンが先制点を挙げた。
その後も攻めるスウェーデン。37分、CHルベンソンのフィードに右SHカーネリドが走り込み、シュート。38分、CHアンゲルダルがミドルシュート。42分には左FW宮澤から右SHカーネリドがボールを奪い、ドリブルから落としのパスを左SHロルファがつなぎ、OHアスラニがシュート。右ポストを叩く。GK山下がわずかに触っていた。ファインセーブ。さらに44分、CHアンゲルダルのスルーパスにCFブラクステニウスが走り込み、折り返しがDFに当たってこぼれたボールを左SHロルファが落とし、CHアンゲルダルがミドルシュート。GK山下がキャッチ。前半は1-0。スウェーデンの1点リードで折り返した。
スウェーデンの速い寄せと右SHカーネリドの突破に手こずっていた日本は後半最初、左WB杉田を遠藤に交代した。しかし後半も序盤はスウェーデンのペース。2分、左SHロルファからのパスを右SHカーネリドがミドルシュート。GK山下が横っ飛びファインセーブ。そして続くCKをCHアンゲルダルが蹴ると、競り合いの中でコースが変わったボールがCH長野の手に当たる。ハンド。6分、このPKをCHアンゲルダルが決めて、スウェーデンが2点目を挙げた。
なかなか攻め込めない日本は7分、CF田中に代えて、植木を投入する。15分を過ぎるあたりからようやく日本がパスをつないで攻め込めるようになってきた。18分、CH長野から左に展開。左WB遠藤のクロスに右FW藤野がボレーシュート。枠は捉えられなかったが、これがようやくゲームを通じて日本の初シュート。しかしそこから日本が攻めていく。23分、右FW藤野が仕掛けて、クロスにCH長谷川がシュート。25分、CF植木のスルーパスに左WB遠藤が抜け出すが、DFに追い付かれ、ゴール前に流すが、DFがクリア。さらに右WB清水のクロスから右FW藤野がボレーシュート。うまく当たらない。26分にはCH長野のスルーパスに走り込んだ右FW藤野がシュート。だがGKムソヴィックがナイスセーブ。
27分、スウェーデンはアスラニとロルファを下げて、OHヤノギと左SHフルティグを投入する。28分、CH長谷川のクロスに右FW藤野がシュート。藤野が積極的にシュートを放つ。直後には左WB遠藤のクロスをCF植木が落とし、CH長谷川がミドルシュート。だがDFに当たり、右に外れた。そして29分、右サイドからCF植木が仕掛けてPA内へ。対応したOHヤノギだったが、わずかに後ろから押したか、植木が倒れて、PKを得た。けっこう微妙な判定だとは思ったが、1点を返すチャンス。だが植木の蹴ったPKはバーに当たって、地面を叩き、戻ってくる。はね返りをCF植木がヘディングシュートしたが、枠には飛ばず。残念。
36分、日本は長野と宮澤を下げて、CH林と左FW清家を投入する。スウェーデンも39分、カーネリドとルベンソンに代えて、右SHヤコブソンとCHベニソンを投入。そして42分、右FW藤野がCBエリクソンに倒されて得た左サイドPAやや遠めのFKを藤野が直接狙う。バーに当たったボールがGKムソヴィックの背中に当たり、左ポストに当たって、ゴールライン上で撥ねて、右に飛んでいった。またもゴールならず。それでもその直後、CH長谷川が左に流すと、左WB遠藤のパスを受けた左FW清家が反転して仕掛ける。ゴール前にパスを送ると、DFのはね返しを走り込んだC林がシュート。ついに日本が1点を返した。
アディショナルタイムは10分。攻め続ける日本。45＋1分にはCKからCF植木がシュート。45＋2分、右CB高橋はなのフィードからCF植木がスルーパス。左FW清家が走り込み、切り返してシュート。だがポストの左。直後、日本は高橋に代えて左FWに今大会初出場の19歳・浜野を投入する。清水が右CBに下がり、清家が右WBに回る。45＋4分、左WB遠藤のFKのクリアから左FW浜野がミドルシュート。だがポストの右。その後も攻め続けるが、ゴールならず。2-1。スウェーデンが1点リードを守り切って、なでしこジャパンの挑戦はベスト8で終わった。
植木のPK、藤野のFK。いずれもバーに嫌われた。どちらかが入っていれば、同点に追い付いて、延長戦は日本が有利だっただろう。そしてもう一つの組み合わせはグループリーグで日本が勝利したスペインがオランダ相手に勝ち上がった。スペインとの再選だったらば、日本が決勝進出の可能性も十分あっただろう。組み合わせが残念だった。でもスウェーデンも強かった。間違いなく優勝候補。そしてそのスウェーデンをあと少しまで追い詰めたことは今後の自信になる。W杯は4年後だが、女子サッカーの場合は来年またパリ五輪がある。今の調子なら確実に予選突破できるだろう。そしてオリンピックではまだ銀メダルしか手にしていない。次は来年パリ五輪での金メダル。これを新たな目標に、もう一度がんばろう。よくやったなでしこ。2011年を上回る最高のチームだったと思う。
