とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

パリ五輪アジア2次予選(女子)グループC第2戦 ウズベキスタンvs.日本

 初戦、インドに7-0と大勝した日本。第2戦の相手は開催国ウズベキスタン。インド戦はガラガラだったスタンドもさすがに開催国のゲームだと、けっこうな観客が集まっている。初戦、ウズベキスタンは格上のベトナムに勝利し、グループ2位通過し、最終予選進出の可能性も見えてきた。このことがその後のゲーム内容に影響するとは、私はこの時点では想像さえしていなかった。

 日本の布陣は4-3-3。千葉をトップに、両WGは右に清家、左に宮澤。中盤は、熊谷をアンカーに、右IH林、左IH長野。DFは右SB清水、左SB遠藤。南と高橋のCBに、GKは山下。インド戦から9人を代えてきた。対するウズベキスタンの布陣は4-2-3-1。カラチクをトップに、トップ下にクドラトヴァ。アブリャキモヴァとゾノロヴァが左右のSHに開き、ボランチはエルガシェヴァとショイモヴァ。DFは右SBキクマトヴァ、左SBクツコロヴァ。ザリポヴァとナビクロヴァのCBに、GKはジョニムクロヴァ。

 開始17秒、左WG宮澤のスルーパスにCF千葉が走り込んでシュート。序盤から日本が猛攻を仕掛ける。しかしウズベキスタンも3分、カウンターでCFカラチクとOHクドラトヴァが縦のパス交換からCFカラチクがドリブル。スルーパスにOHクドラトヴァが抜け出し、飛び出したGK山下をかわしてシュート。わずかにポスト左に外れた。これが決まっていれば、その後の展開は全く違ったものになっていただろう。だが5分、左WG宮澤がミドルシュートを放つと、その後は日本が圧倒。

 そして10分、左SB遠藤のCKをCB南がヘディングシュート。日本が先制点を挙げる。8分には左SB遠藤がミドルシュート。そして15分、左SB遠藤の縦パスにCF千葉が走り込むと、仕掛けてシュートはDFに当たったか、フワッとGKの上を越えてゴールに吸い込まれた。幸先よく日本が追加点を挙げる。

 しかしそこからゲームは意外な展開になっていく。日本がパスをつないでボールを回すが、そこからシュートには行かない。ウズベキスタンも守備ブロックを作って守る。その後はただただ日本がパス回しを続けるばかり。何があったのかと戸惑っていた解説の安藤梢、そしてNHKのアナウンサーも次第に状況を理解し、最終予選に向けたレギュレーションを解説する。

 ここまでグループAのオーストラリアは大勝を続け2連勝で首位通過は確実。一方、グループ2位のフィリピンは1勝1敗で得失点差は-5。一方、この時点でグループCのウズベキスタンは得失点差-1。このまま負けても、次のグループ最弱のインドに大勝すれば、グループAの2位チームを上回る可能性が高い。問題は、中国、韓国、北朝鮮が集まったグループBで、普通に考えると、2位通過チームの中で最も強いのはグループBの2位のチームになるが、混戦となって3チームが2勝1敗や1勝1分1敗で並んだり、2位チームが1勝1分1敗となると、最終予選通過はグループAまたはグループCの2位チームが通過することになる。

 日本にとっては、グループBまたはグループCの2位チームが最終予選に進出した場合は、グループBの1位または2位チームとの対戦となるが、グループAの2位チームが最終予選に進出となると、オーストラリアとなる。グループBのチーム(中国、韓国、北朝鮮)はどこが進出しても難敵だが、W杯で4位となったオーストラリアと最終予選を戦うよりはマシだ。そこで、ウズベキスタンがグループA2位チームよりも得失点差で成績上位にとなるよう、これ以上の得点はしないようにした、ということらしい。よく計算したな。

 ということで、この後は単調なパス回しが続く。その時間、約75分間。ロシア大会のグループリーグで日本がポーランド相手に0-1の負けた状況のまま、敢えて攻めず、同様のパス回しを続けて賛否が沸き起こる事態になったが、それでも20分程度。今回はそれを上回る75分間。けっこう大勢が詰めかけた観客もこんなゲームを見に来たわけではないだろうが、結果の分かるゲームを最期までテレビで観続けるのも、けっこう辛い。でも、ひょっとして何か事件、例えば日本が耐え切れずゴールをしてしまうとか、ミスによるオウンゴールウズベキスタンのカウンターが決まってしまうとかといった事態があればまたゲームが動き出すかもしれないので、最後までじっと見続けた。そして何も起きなかった。

 あったのは選手交代。日本は後半頭に、林と長野を右IH猶本と左WG中嶋に交代して、宮澤が左IHに。17分には高橋と熊谷が下がり、CB三宅とCH長谷川。さらに38分には清家に代わって右WGに杉田が。だが誰もしっかり戦術を守り、PA付近まで攻め込んではバックパスを選択した。一方、ウズベキスタンも28分に、カラチクに代えてCFアジザ・ノルボエヴァ。38分にはアブリャキモヴァとエルガシェヴァに代えて、右SHザリナ・ノルボエヴァとCHフェルザを投入。そして何も起こらなかった。

 第3戦はベトナム。得失点でウズベキスタンを上回るために、ベトナムは必死に攻めてくるだろう。それをどうかわして勝利するか。また大勝してしまうかもしれない。問題は次の最終予選。そこに向けてどれだけチームの連携や可能性を広げることができるだろうか。次のベトナム戦も楽しく観戦したい。