とんま天狗は雲の上

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ルヴァン杯決勝 浦和レッズvs.アビスパ福岡

 アビスパが2021年にJ1に昇格してきた時は、また1年でJ2に戻るのかなと思っていた。実際、開幕3戦未勝利で、まだJ1のレベルには遠いと思ったが、その後、6連勝を飾るなど、勝ち星を伸ばし、最終的には8位。ちなみにグランパスはこの年、5位。アビスパには2連勝している。昨年はアビスパが14位。グランパスは8位。だが対戦成績はやはりグランパスの2連勝。まだまだグランパスの方が強いと思っていた。

 だが、今年のアビスパは違う。Jリーグではここまでグランパスが5位に対して、アビスパは8位だが、対戦成績は1勝1敗。そしてルヴァン杯では準決勝で当たり、グランパスが2連敗。守備がしっかりしている。そして終盤に交代出場するウェリントンが脅威だ。Jリーグではまだ優勝争いとまではいかないが、天皇杯は準決勝まで進出。そしてルヴァン杯は決勝まで辿り着いた。相手はレッズ。リーグでも3位に付け、ACLでは見事優勝を飾った。そして7年ぶりに決勝まで進出したルヴァン杯では3度目の優勝を狙う。当然、レッズが優位。だがアビスパもけっして侮れない。いいゲームを期待した。

 レッズの布陣は4-2-3-1。ホセ・カンセをトップに、トップ下に17歳の早川。右SHに高橋利樹、左SH小泉。ボランチは岩尾と伊藤敦樹。DFは右SB酒井宏樹、左SB荻原。ホイブラーテンとショルツのCBに、GKは西川。中3日のACL、そして週末のヴィッセル戦と今後の連戦を考慮し、多少。メンバーを手加減した感も否めない。対するアビスパの布陣は3-4-3。山岸をトップに、紺野と前のシャドー。森山と井手口のダブルボランチに、右WB湯澤、左WB前嶋。CBは右からドウグラス・グローリ、奈良、宮。GKは永石。ベンチにはウェリントンや金森が控え、準々決勝のFC東京戦で大ケガを負った佐藤凌我のユニフォームが翻る。

 序盤、アビスパが積極的に攻める。4分、CF山岸からのパスをCH森山がミドルシュート。そして5分、中盤で左FW前が右サイドに大きくパスを送ると、走り込んだ右FW紺野がグラウンダーのクロス。前がそのまま走り込み、身体ごと押し込んだ。アビスパが幸先よく先制点を挙げた。ボールを持つ時間はレッズの方が長いが、アビスパの守備がしっかりしていて、なかなか攻め込めない。13分には左FW前の落としをCH森山がミドルシュート。積極的にシュートを放つ。

 それでも時間が経つにつれ、次第にレッズがゴールに迫るシーンが増えてくる。31分、左SH小泉の縦パスをOH早川がヘディングで落とすと、CH伊藤がミドルシュート。GK永石がセーブ。35分にはCH岩尾がミドルシュートを狙う。ゴール左上にわずかに外れた。36分にはCH岩尾の右サイドへのフィードに右SH高橋が走り込み、クロス。GK永石がパンチングではね返すと、OH早川がミドルシュート。CFホセ・カンテが受けて、反転からシュートを放つが、CB奈良が身体を張った。ナイスブロック。

 一方、アビスパも41分、CH井手口のFKからCB宮がヘディングシュート。しかしGK西川がビッグセーブ。続くCKを右FW紺野が蹴り込むと、再びCB宮がヘディングシュート。今度はGK西川がキャッチした。このまま前半を終えるかと思ったが、45+4分、再び右FW紺野がCK。DFがはね返すと、今度は左FW前がクロス。これもDFにはね返されたが、こぼれ球を拾った紺野がクロス。CB宮がシュート。3度目の正直。アビスパが追加点を挙げた。前半はアビスパの2点リードで折り返した。

 後半頭、レッズは早川と高橋を下げて、OH安居と右SH大久保を投入する。最初から彼らが出ていれば違っていたかも。アビスパは森山に代えて、左FW金森。前がボランチに下がる。後半もレッズがパスを回して攻め込み、アビスパはカウンターを狙う。8分、中盤でこぼれ球を拾ったCH前が落とすと、CF山岸が右に展開。右FW紺野が抜け出し、シュートを放つ。が、ホイブラーテンがブロックする。

 そして10分、右CBグローリが右FW紺野を追い抜いて、右サイドをドリブルで上がる。PA手前で立ちはだかったCBホイブラーテンをかわして中に入ろうとしたところをホイブラーテンが倒してしまう。PK。CF山岸が蹴ったPKはGK西川に止められてしまう。一方、レッズも14分、CBホイブラーテンの縦パスを右SB酒井がつないで、CFホセ・カンテが中へ折り返すと。そこに走り込んだのはCH伊藤敦樹。カンテのパスは後方を通過したが、帰ってきた左WB前嶋と交錯してPA内で伊藤が倒れる。だがVARで確認の上、ノーファールの判定。レッズにPKは与えられなかった。

 17分、レッズは伊藤と小泉に代えて、FWリンセンと左SH明本を投入。布陣を4-4-2に変更する。その後も攻め込むレッズ。20分にはCFホセ・カンテがミドルシュート。そして22分、右SB酒井が左サイドに大きくサイドチェンジのパスを送ると、左SH明本が走り込み、シュート。レッズが1点を返した。アビスパは26分、足を攣った紺野に代えて、CH中村駿を投入。金森が右FWに回り、前が再び左FWに上がった。さらに31分には湯澤に代えて右WB小田。小田は佐藤凌我と高校時代のチームメイトで大親友なのだそうだ。佐藤のためにもこの点差は守り切る。そんな思いを持ってピッチに出ていっただろう。

 34分、CFホセ・カンテのミドルシュートはGK永石がファインセーブ。35分、レッズは岩尾に代えてパンヤを投入。43分にはレッズがアビスパ・ゴールに迫るが、アビスパが守り切った。44分、宮と山岸を下げて、CB田代とCFウェリントン。高さのある選手を投入する。アディショナルタイムは8分間。攻め続けるレッズだが、アビスパの集中した守りは崩れない。45+6分、CFホセ・カンテのミドルシュートは左ポストを叩くが、はね返る。アビスパもはね返し、さらにレッズのコーナー付近で時間を使う。そしてタイムアップ。2-1。アビスパルヴァン杯初優勝、そしてクラブ史上の初タイトルを獲得した。

 おめでとう、アビスパ。やはり強かった、アビスパ。あとはJリーグ3試合を残すのみ。でもまずは今日の優勝を喜ぼう。本当におめでとう。長谷部監督の手腕も評価したい。