とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

日本が滅びる前に

 先に読んだ「政治はケンカだ!」は面白かった。その後も、泉氏は何冊も本を出しているが、とりあえず本書を読んでみた。でもまあ、普段、Xなどで主張していることと同じことが書かれている。多少、目新しかったのは、「子ども施策は経済政策でもある」ということ。なるほど。自治体と国では、経済政策の中身も多少は違うかもしれないが、市民の側に立った政治、というのはまったく正しい。

 ところで、「日本が滅びる前に」というタイトルはどこから出てきたんだっけ。第5章が同じタイトルだが、そこでは、官僚制度や政治屋への批判、消費税やふるさと納税制度への批判、マスメディアへの批判など、第4章までで書き切れなかったことが詰め込まれている感じ。一方で、「子ども施策は経済政策」など、何度も言及されることも多い。たぶんまとめて執筆したのではなく、忙しい中でその時々に書き溜めたか、話したことを誰かが書き起こし、それに手を入れたか。いずれにせよ、構成などが十分固まっていないように感じる。なので、個々は理解できるが、全体像はよくわからない。これならXをフォローしていた方がいい。

 ただ、泉氏の政治への熱意が伝わることは確か。そして、若い世代がより良い政治家として活躍することを期待しているも伝わってくる。その熱意に応え、日本は変わるだろうか。変わらなければ、日本は滅びる。確かにそうかもしれない。

 

 

明石市は、子育て層をはじめ誰もが住みやすい街になったことで人口が10年連続で増え、出生率は上がり、その結果、税収増になりました。その間、街の商店街は売り上げがどんどん増え、移住者の増加によって至るところで建設ラッシュが起こっています。子ども施策は経済政策でもあり、街に住むすべての人にとってハッピーなものになることをしっかり証明しました。(P21)

○経済施策を考える際、モノを売る側と買う側、どちらの側に立つかで施策の内容は大きく変わってきます。…景気低迷にあえぐ今の日本社会では、法人税を減免しても大企業の内部留保になるだけなので経済はまわりません。…今、経済施策を打つならば…モノを買う側、消費者である市民の側に立って政策を考えていくことが何より重要です。まず負担軽減策を実施して市民にお金を使ってもらえるようにする。市民が地元の商店でお金を使えば、地域経済は活性化します。(P91)

○子どもたち一人ひとりの個性をしっかり伸ばす。それをサポートしていくのが学校の役割であり、あるべき姿です。…今の日本の教育現場には旧態依然とした一律主義が根強く残っています。そのせいで、子どもにとって非常に居心地のよくない場所になっています。…子どもたちをサポートするために、一人ひとりが生きるエネルギーを存分に発揮できる居場所をもっとたくさん整備していく必要があります。(P122)

○失敗の最大の原因は政府が「経済が国民を豊かにする」と勘違いしていることにあります。国民を豊かにするのは「政治の役割」であって「国民が豊かになってこそ、経済もまわる」のです。政府も閣僚も与党も官僚も、その順番を勘違いしています。/私は市長としてまず「市民を支援する」ことで、地域経済を活性化させ、税収増を実現しました。子育て世代…を支援すれば、可処分所得が増えて地域経済の活性化につながり、市の税収も増え財源が生まれます。…子ども施策を最初のきっかけにして、経済や地域の好循環が生まれ、さらなる子育て政策の拡充につなげたのです。「少子化対策には増税が必要」という考え方は根本的に間違ってします。(P166)

○多くの人が政治を揶揄したり、バカにしたり、あるいは自分の利益のために利用したりする中で、政治がとことん汚いものになってしまいました。でも本来の政治というのは、私たちの社会をよりよい形に変え、暮らしやすくすることです。その原点に立ち、まっとうなことをまっとうに行うだけの、きわめてシンプルなものです。…胸を張って将来、僕は政治家になりたいというような子どもを育てることが、みんなの未来をつくることになります。(P203)