とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

筆談ならできた!

 「リハビリ病院について決める」からの続き

  • 6月15日に記す

 10日、一人で面会に行ったものの、妻とうまく意思疎通ができず、半分喧嘩別れのようにして帰ってきてしまったのはショックだった。翌日は娘と一緒に行ったが、やはりすぐにズボンを脱ごうとして困らせる。「暑い」のだと言う。

 金曜日は電車で名古屋へ向かう途中で病院から電話がかかってきた。目的地へ着いてから折り返し電話をした。リハビリ病院への転院日が決まった。来週の火曜日の10時に先方の病院の方が迎えに来るそうで、その前に9時に来て、退院の手続きをしてほしいと言う。また、転院にあたり、次の病院への提出書類や衣類など準備すべきものなどを記したパンフレットを病室内に置いておくので、準備をしてほしいとのこと。リハビリ病院への転院の話が出てからわずか10日。早い。その日は仕事で私が面会に行けず、娘が一人で行った。聞くと、妻はうとうとしていて楽だったと言う。私も面会に行かない方が楽だなあと思う。

 土曜日、病院へ行くと、妻は看護ステーションの中でベッドに横たわっていた。気が付くとすぐに起き上がり、トイレに行くと言う。娘が連れていっている間、病室へ行って、リハビリ病院のパンフレットなどを受け取る。引き出しの中に病院からの請求書が入っていた。看護ステーションに戻ると、中のカウンターの上に妻のコップが置いてある。病室へ戻そうと近付くと、その横に蛇がのたくったような字が書かれている。ひょっとして妻が書いたのか? けっこう難しい漢字も書かれているので半信半疑。そうしているに娘が妻を連れて帰ってきた。その後はまたズボンとおむつを脱ぎたがる。ダメだと邪魔をすると、妻が怒ったのか、私を指差して、殴りつける真似をする。あーあ。ショック。その後は娘に任せ、時間を過ぎて面会を終えた。

 日曜日。リハビリ病院のパンフレットを見ると、日中は普段着に着替えるということで、日常着とパジャマを各5枚。下着とバスタオルも各5枚。タオルは10枚。他に洗面器や歯磨き、シャンプー・石鹸、イヤホン、置時計など。そしてそれらにすべて名前を書け、と。

 妻が入院して以降、これまで2階に置いてあった妻の衣類を、1階の寝室に移す作業を進めていた。そして土曜日にようやく概ね終了。タオルなども併せて整理をしたので、必要枚数を揃えるのは簡単だったが、そのすべてに名前を書くのは大変。ゆるくなったパジャマのゴムを入れ替えるなどもしつつ、何とか夕方までには準備を終えた。転院の前に土日があってよかった。

 そして面会に行く。前日の状況を踏まえ、メモ紙とボールペン、中山式快癒器、そして下着と携帯電話を持って行った。快癒器を見せると嬉しそうな顔。そしてメモ紙とボールペンを渡すと、さっそく字を書いた。「今日は何曜日? 読み書きはOK、話が×。理解はOK。」など、字はのたくっているが、十分読める。「曜」なんて難しい漢字も書ける。すごい。こんなことならもっと早く渡してあげればよかった。その後、またズボンとおむつを脱ぐが、代わりにパンツに履き替えた。「おむつが痒くて我慢できない」ということらしい。夜、トイレに行くことができれば、敢えておむつを穿く必要はないんじゃないか。この旨、看護師さんに伝えて家に帰った。

 それにしてもよかった。まだ手指が思うように動かないようだし、すぐに疲れるみたいだが、それでも筆談なら意思疎通が図れる。明日、火曜日にはリハビリ病院へ転院となる。新しい環境で、妻がどのように回復していけるのか。それでも「意外に早く退院できるかもね」と娘と話をした。コロナ禍が続く中、リハビリ病院の面会規制がどうなっているかわからないが、妻にとっても、そして私たちにとっても、火曜日からまた「新しい生活様式」が始まる。

 「リハビリ病院へ転院」に続く。