とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

異端の時代☆

筆者は神学者・宗教学者であって、宗教としての異端を論じている。しかしそれは同時に現代社会における危機を論じることでもある。現代はまさに異端の時代であり、正統が消失してしまった(しつつある)時代だからだ。 「みんな違ってみんないい」。そんな多…

政治の哲学

タイトルを見て、政治とは何かについて、考察する本だと思っていた。しかし冒頭の第1章で、政治の定義が披露されている。 ○[定義]政治とは、人びとを拘束するようなことがらを、決めることである。(P016) さらに、続く文章の中で、本書の目的が書かれている。…

天上の葦☆

この本を私は「決意をもって書かれた作品 太田愛著 『天上の葦』(KADOKAWA) ネタバレ注意:街の弁護士日記 SINCE1992at名古屋」を読んで知った。上下800ページ近い大部だ。内容は、公安により一人のジャーナリストが社会的に抹殺されようとするのを阻止する3…

これが答えだ!少子化問題

○筆者は少なくとも現状のような少子化対策の傾向が継続するならば、出生率の十全な回復は難しいという見込みをもっている。多少の出生率向上があったとしても「焼け石に水」であり、少子高齢化や人口減少がもたらす弊害とされる経済成長の鈍化や、年金・医療…

戦国日本と大航海時代☆

正直、期待していなかったので、読むのが遅くなってしまった。非常に面白い。なぜ秀吉は朝鮮に出兵したのか? それは、世界征服を狙い、ポルトガルとスペインが東アジアへ進出してきており、それに対抗するためだった。ポルトガルとスペインは当初、南米等と…

現代社会はどこに向かうか

久しぶりに見田宗介の最新刊を読んだ。見田宗介も既に80歳を超えた。さすがに長文の論文ではなく、わずか162ページほどのコンパクトな新書本。内容としては既に広井良典氏などが書いてきた「グローバル定常型社会」を見田氏なりの書きぶりで書いているという…

終わりと始まり 2.0

池澤夏樹が朝日新聞夕刊に連載を続けているコラム「終わりと始まり」の2013年4月から2017年12月までの分を掲載したもの。コラムは2009年にスタートしており、本書に掲載以前のものは、「2.0」のない「終わりと始まり」として既に出版されているとのこと。そ…

劇場

又吉直樹の小説2作目。芥川賞を受賞した「火花」と同様、破滅型の青年を描く。Wikiで又吉の経歴を見ると、舞台の脚本なども書いているようだから、まったくの想像というわけではないだろうが、私自身、演劇の世界にはトンと縁がないので、よくわからない。「…

外来種は本当に悪者か?☆

最近、池を総ざらいして、外来種を退治する類いの番組が流行っている。アメリカザリガミやウシガエルなどお馴染みの生物が外来種として取り出され、退治される。そんな番組を何気なく見ていたら、鯉は外来種だと言って捕獲されていた。ええっ、鯉って外来種…

裸のJリーガー

「フットボール批評」で連載している「Hard After Hard」を書籍化したもの。既に「Hard After Hard かつて絶望を味わったJリーガー」は出版されており、その続編だが、私は前著を読んでいない。本書を読むと、まさに連載時の執筆そのまま。「連載・・・をま…

日本サッカー辛航紀

○死を意識することで初めて見えて来るものがたしかにある。サッカーについて書く本は、もうこれで最期という、それこそ澄み渡った気持ちで自分を奮い立たせてなんとか帰港地にたどり着くことができた。(P357) 樹木希林が亡くなった。さくらももこも翁長知事…

京都で考えた

文字どおり「京都で考えた」ことを綴ったエッセイ。と、短編小説が1編。京都という「街」で「考える」。でも、忘れる。だから「本」を書く。本を読む。『「本」と「街」と「考える」は頭の中でつながっている』(P48)と書いている。 私も、まち歩きが好きだ。…

玉村警部補の巡礼

久しぶりに海堂尊を読んだ。今回は玉村警部補と加納警視正の四国巡礼珍道中を描くもの。もちろん巡礼中に勃発する事件を解決し、さらに遺体すり替え・人生ロンダリングの仕組みも暴いて解決していく。だが、海堂尊のミステリーは、あくまで明るく軽妙なのが…

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

2014年発行なので少し前の本だが、当時はそれなりに話題になったことだろう。昨日の「羽鳥モーニングショー」で日米地位協定を取り上げていたが、今やこうした事実は常識となりつつある。また、「故小林侍従日記」の発見で、今再び、昭和天皇の戦争責任につ…

日本の気配

○ムカつくものにムカつくと言うのを忘れたくない。個人が物申せば社会の輪郭はボヤけない。個人が帳尻を合わせようとすれば、力のある人たちに社会を握られる。今、力のある人たちに、自由気ままに社会を握らせすぎだと思う。この本には、そういう疑念を密封…

ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた☆

これまで高橋源一郎の小説は何冊か読んできたが、それほど面白いとは思わなかった。初めて「これは面白い」という作品に出合った。でもほとんど話題になっていないなあ。「国家とは何か」を子ども目線で描く、というのが、胡散臭い感じがするのかな。でも、…

フットボール批評 issue21

W杯が終わった。もう2ヶ月余りが過ぎ、Jリーグは再開し、欧州リーグも始まってきている。次第にW杯も過去のものとなっていくだろうか。日本代表監督には森保一氏が就任した。アジア大会は別にして、代表世代ではまだ1ゲームをしていない状況では、次を語るこ…

神様のいる街

小さい本である。サイズも小さいが、文章の量も少ない。わずか数十分で読み終えてしまった。でも格別の余韻が残る。いつまでも読んでいたい。それでまた読む。 中ほどに、「ホテル・トロール・メモ」というランダムに言葉が綴られた章が収められている。筆者…

ウィニング・ストーリー

「スカサカ!ライブ」の中の対談コーナーから書き起こしたインタビューと、対談後の筆者によるコメント(エッセイ)を並べた。対談相手は全部で12名。若い順では、昌子・大迫から反町監督まで。現役選手もいれば、監督・コーチもいる。プレー後や練習後、そ…

後醍醐天皇

「陰謀の日本中世史」に続いての「後醍醐天皇」。ただ、筆者の兵藤裕己氏は歴史家ではない。専門は日本文学(と「あとがき」に書かれている)だ。後醍醐天皇を巡る歴史書物としては「太平記」が最もポピュラー。その「太平記」の校注本全6冊を2016年に刊行し…

陰謀の日本中世史

「陰謀の日本中世史」というタイトルからは、陰謀渦巻く日本中世史を紹介しているのかと思ってしまうが、そうではなく、何かと陰謀が囁かれる日本中世史について、歴史学の立場から、現時点での研究成果を紹介していく内容の本である。平安末期の保元の乱・…

E=mc2のからくり☆

アインシュタインの有名な数式「E=mc2」。これまで特殊相対性理論や量子論などの初心者向け説明本は何冊も読んできたが、本書を読んで初めて、「場」についてわかったような気がした。「E=mc2」がそのまま「場」の理論というわけではないが、「E=mc2」が表す…

地球にちりばめられて

多和田葉子にしては非常にわかりやすい。明確な文章。近未来。日本は海の下に消えてしまった。その今はない国を出て、スカンジナビア諸国で暮らすHirukoはパンスカという自分でつくった言葉を話す。彼女に興味を持って近付いてきた言語学者のクヌートはデン…

女王ロアーナ、神秘の炎☆

60歳を過ぎた古書店主ボドーニは、ある事故によりそれまでの記憶を失ってしまった。全部ではない。生活上で必要な意味記憶などは残りつつ、自分自身に関するエピーソード記憶だけが失われてしまった。妻と会い、子供と会い、友人や部下に会って、「あなたは…

PITCH LEVEL

昨年の「サッカー本大賞」の大賞を受賞した作品というので楽しみに本書を手にした。しかし同時にサッカー選手が書いた本というので、ライターが書いた自伝ではないとは知っていたが、なおさらのこと内容には半信半疑な感じ。でも読み始めると、思った以上に…

特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞記念講演の講演録。100ページ足らずの短い本に、見開きで英語と日本語の文章が並んでいる。日本語と英文を交互に読み終えた後に、もう一度、日本語で通読をした。ところで何が言いたかったのだろう。 たぶん、「私にと…

砕かれたハリルホジッチ・プラン☆

30日のガーナ戦は酷かった。選手はこれまで以上に積極的にプレーしていたが、どんな戦術で戦っていこうとしているのか、それが見えなかった。おまえにそんな眼力はないだろ、というのはそのとおり。西野監督が寡黙で何も話してくれないことも理由の一つ。本…

神になりたかった男 徳田虎雄

名古屋徳洲会病院はすぐ近くにあり、7年ほど前には「尿管結石さわぎ」で書いたように、救急車で運ばれたこともある。つい先日も膵嚢胞の検査で診察を受けたばかりだ。一方で数年前、徳洲会事件が大きくマスコミを賑わせていた。猪瀬元都知事が辞任する契機に…

逆さに吊るされた男

田口ランディは少し気になっていた作家。本書がオウム真理教の死刑囚との交流を題材とした小説ということを知って、読んでみた。モデルとなっているYこと、林泰夫との交流はもう途絶えてしまったのだろうか。小説では最後に「20**年 Y 死刑執行」と書かれて…

ルポ 雇用なしで生きる

「21世紀の楕円幻想論」の中で本書が紹介されており、興味を持った。等価交換モデルではない経済システム。それを本書では「もうひとつの経済」と呼ぶ。いや、筆者が感銘を受け、スペインを取材するきっかけとなった本「雇用なしで生きる」の筆者、フリオ・…