とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

街場の天皇論

「日本の覚醒のために」に続いて内田樹を読んだ。昨年の天皇の「象徴としてのお務め」に関するおことば以来、天皇制や現天皇に対する関心が高まった。その後、今年に入って退位特例法が制定され、退位の時期や新元号の制定など、着々と退位に向けた検討が進…

日本の覚醒のために

2011年から15年に行われた6つの講演録を収録したもの。他に付録として短いスピーチが1編。テーマは「資本主義」、「宗教」、「伊丹十三」、「言語」、「白川静」、「憲法」の6つ。どれも面白いが、中でも「伊丹十三」と「言語」が面白い。 「伊丹十三と『戦…

コンプレックス文化論

武田砂鉄の評論は面白い。本書ではコンプレックスを題材に、問題提起し(その1)、インタビューし(その2)、まとめる(その3)。(その1)と(その3)で大きく議論が変わることはないが、実際にそのコンプレックスに悩んできた(いる)人にインタビューをし…

丸腰国家

今、日本は、脅威を続ける北朝鮮に対していかに軍事対応すべきかが大きな問題になっている。先日来日したトランプ大統領も北朝鮮問題にかこつけて、もっぱら戦闘機や防衛システムの売込みに余念がなかった。日本では非武装中立といえば今や過去の議論、非現…

地名の謎を解く

最近、木曜の夜はNHKの「日本人のおなまえっ!」を喜んで視聴している。その流れで、地名もきっと面白いぞと本書を手に取ってみた。確かに面白い。だが、このような軽薄な関心を超えて、地名の森ははるかに深く、何層にもなって容易に辿り着くことができない…

閉じていく帝国と逆説の21世紀経済

2013年に大沢真幸との対談集「資本主義の謎」で水野和夫を知って以来、水野氏の本は読んできたが、どれも基本的な主張点は変わらない。本書でも、「長い21世紀」、「資本主義の終焉」といったおなじみのフレーズが繰り返される。本書ではさらに踏み込んで、…

ウニはすごい バッタもすごい

友人が「今年読んだ理系の本の中で一番面白かった」というので借りて読んでみた。確かにわかりやすい。だが基本、本書は地球上に生息する様々な動物について、網羅的に解説をするもので、とは言っても全部は説明できないので、動物34門のうち、刺胞動物(サ…

死体鑑定医の告白

筆者の上野正彦を知らなかった。TV出演も多い超有名人らしい。そして本書も本当に面白い。内容はほとんどミステリー。車中の女性の遺体は一酸化中毒による自殺か、他殺か。プール横の墜落死は自殺か、事故か。入院患者の墜落死は事故か、自殺か。温泉の遺体…

ネットは基本、クソメディア

「ネットのバカ」は楽しく読んだ。中日新聞に連載されている「ネットで何が・・・」も毎回楽しく読んでいる。本書も、タイトルにはちょっとエッ?と思ったが、期待して購入した。もちろん面白かった。 インターネットの世界はどんどんと変化していく。Window…

ヘンリ・ライクロフトの私記

私と同じく、この3月で定年を迎えた友人が、愛読書として紹介してくれた。彼は定年後、同じ会社に再雇用者として働いているが、責任から解放され、自由な趣味の時間を満喫している、と言う。私の父も退職後は趣味の写真に没頭し、幸せな人生を生きているよう…

アジア辺境論

タイトルに惹かれて思わず買ってしまったが、かつての内田樹の名著「日本辺境論」ほどに独自の内容があるわけではない。内田樹と姜尚中の対談集。日韓が政治・経済・文化など様々な局面で連携することで、新しいパワーが生まれる。さらに台湾や香港も加えた…

カズオ・イシグロ、ノーベル賞受賞!

カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞したという速報を聞いて、まるで自分のことのようにうれしかった。村上春樹を中心に追っていた日本のマスコミは、カズオ・イシグロの名前を聞いて、「予想外」なんて書いていたが、私の中では十分予想されていた。む…

「移行期的混乱」以降

「移行期的混乱」で「問題なのは成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」と指摘した筆者。その続編にあたる本書では、その原因である人口減少の、さらに先の原因としての、家族構造の変化について説明し…

路地裏の民主主義

平川克美がいくつかのメディアで執筆掲載してきたコラムに加筆修正をしたもの。具体にどの記事がどのメディアで何時、といったことは記載されていないから、かなり修正したのだろうか。第1章は民主主義、第2章はメディア論。平川氏らしい、路地裏からの、庶…

安全基準はどのようにできてきたか

建築物の耐震基準も次々に改正を重ね、木造住宅の耐震性も今や平成12年度以前の建物は安全ではないと言われる状況。だが、そもそも安全とは何なのか。毎回のように想定外の災害が言われる昨今、我々は様々な安全基準に対してどこまでの信頼を寄せればいいの…

楽しい縮小社会

「谷根千」の森まゆみが京大名誉教授の松久寛氏を迎えての対談集。松久氏は2008年に縮小社会研究会をつくり、活動を続けている。縮小社会とはその名のとおり、「これからの日本は縮小しなければいけない」という趣旨の下、様々な専門家などが集まって研究活…

騎士団長殺し

図書館に予約しておいた本がようやく届いて、一気に読み終えた。面白かった。 読みながら、これはこれまでのどの小説の系統に属するものだろうかと考えた。最初は意外に現実的に動き始める。「色」が一つ、テーマになっている。白い色の「免色さん」。その点…

敗者の想像力

加藤典洋と言えば「敗戦後論」だろうか。まだ読んでいない。いつか読みたいと思っている。昨年の冬に「村上春樹は、むずかしい」を読んだ。批評の確かさを感じた。それで次は「敗戦後論」と思っていたのだが、いまだ読めていない。その代わりでもないが、5月…

時空のからくり

いや、面白かった。空間と時間が一体不可分で、重力は実は「時空のゆがみ」。そしてなぜそうなのかの答えは「わからない」。アインシュタインの一般相対性理論がそのような答えを導くから。後半はアインシュタインの方程式を説明していく。ごく簡単に。計量…

フットボール批評 issue17

今号の特集は「サッカーの勝敗は戦術で決まる 超一流の『戦術眼』」。ということで、遠藤保仁や乾貴士、風間八宏らへのインタビューが掲載されている。でも遠藤へはインタビュアーの西部が持論の戦術論をぶつけてもそれほど明確に答えが返ってこない。遠藤に…

ブランケット・ブルームの星型乗車券

雑誌「パピルス」は今も発行されているが、本書は2005年から6年まで、創刊号から第8号までに連載されたものを加筆・修正したもの。<ブランケット・シティ>で発行されている<デイリー・ブランケット>紙の専属記者であるブランケット・ブルーム氏の連載コラム…

遠くの街に犬の吠える

久しぶりに吉田篤弘の小説を読んだ。相変わらずのファンタジーな世界。冒頭に伏せ字を表わすバッテンの多く付けられた文章が載っているので、これをテンプレートとして同じ文章が繰り返されるのかと思ったが、それは最初の文章だけ。バッテン以外の部分が重…

鳥肌が

「PHPスペシャル」って雑誌かな? 検索すると「PHPの月刊女性誌」とある。あえて女性誌としなくてもいいと思うけど、そんな男女区別をするところがPHPらしいのかも。僕は嫌いだけど。それはさておき、その雑誌に「鳥肌と涙目」として連載していたエッセイを…

日本の近代とは何であったか

私は筆者の三谷太一郎氏を知らなかったが、日本を代表する政治・歴史学者ということらしい。バジェットの紹介から始まった序章は難解で、これは最後まで行き着けないだろうと覚悟をしたが、第1章から「なぜ日本に政党政治が成立したのか」「なぜ日本に資本主…

野良猫を尊敬した日

穂村弘が講談社エッセイ賞を受賞したというニュースが先日流れた。最もニュースの中心は同時に受賞した小泉今日子の方だったとは思うが。受賞した「鳥肌が」は昨年7月の発行だが、本書は今年の1月発行。穂村弘の最新刊ということになるのかな? 主に北海道新…

赤いゾンビ、青いゾンビ

川上弘美がウェブ平凡に連載している「東京日記」からの単行本化5作目。2013年2月から16年3月まで。「あとがき」に「半分くらいは、つくりごとなのですよね?」という質問に対して、たいがい、ほんとうのことなのです」と書かれている。いや、ホント、たいが…

経済は地理から学べ!

筆者の宮路秀作氏は代々木ゼミナールの地理学のカリスマ講師。地理学に関する豊富な知識が参考書のようなわかりやすいまとめ方で整理されている。 序章で、地理は「自然」「スケール」「資源」「距離」の4つの視点で捉えよと、それぞれの視点を説明する。そ…

世界文学を読みほどく

池澤夏樹が世界文学と日本文学の全集編さんを行なっていることは知っていた。しかし世界文学を大して知っているわけでもない私が読むような本ではないと、これまで敬遠してきた。でも、ひょっとして池澤夏樹なら、わかりやすい文章で世界文学を解説してくれ…

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹と柴田元幸の対談を中心に、前半に村上春樹が翻訳した(ほとんど)全ての本についての翻訳者レビュー、対談の途中には村上春樹が初めて翻訳し雑誌に掲載された文章(ジャズエッセイ)を挟み、最後に都甲幸治氏の寄稿文が入る。二人の対談が面白い。 …

チェ・ゲバラ伝

○人が革命家になるのは決して容易ではないが、必ずしも不可能ではない。しかし、革命家であり続けることは・・・きわめて困難なことであり、さらにいえば革命家として純粋に死ぬことはいっそう困難なことである。エルネスト・チェ・ゲバラの生涯は、このもっ…