とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

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直木賞作家・西可奈子を初めて読んだ。本書は昨年の本屋大賞にノミネートされて、紹介されていた。結果的に7位だったけれど、10位までに読んだことのある本は1冊もないので、評価が適切だったかどうかわからない。書評などを読んで、これは読みたいと思った…

世界まちかど地政学☆

「デフレの正体」で一躍有名になった藻谷氏だが、地域活性化に関する地元に根差した提言や講演には定評があるところ。「経済プレミア」を見ると「地域エコノミスト」と肩書がついている。「里山資本主義」も大きな評判になった。その後、「高校生からのマク…

すべての新聞は「偏って」いる

メディアとの付き合い方、メディア・リテラシーの重要性と今後のメディアのあり方、ウェブ言論の将来性などを語る。ただし、あとがきでも書かれているように、一直線にメディア・リテラシーを語るのではなく、アンケートや新聞データベースの分析などにより…

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

司馬遼太郎の作品を吟味し、歴史的事実と虚構とを腑分けしつつ日本史に迫る本かと思っていたら、全然違った。司馬良太良の代表的な作品、「国盗り物語」「花神」「坂の上の雲」「この国のかたち」などを取り上げて、戦国時代、幕末、明治、戦前の各時代を司…

フットボール批評issue20

突然の、不可解なハリルホジッチ監督の解任。初めてそのニュースを聞いた時の衝撃を「ハリルホジッチ監督解任って、協会は脳梗塞でも起こしたのか!?」で書いたが、大手メディアは突然の報に驚きつつも、新監督の実績を紹介しつつ、W杯への期待を伝えようと…

日本の異界 名古屋☆

井上章一の「京都ぎらい」のヒットで本書も書かれることになったのだろうか。名古屋の異質さや特徴を書いた本はたくさんあるだろうが、より楽しく、より深く、名古屋のことを知るには、この人を置いていない。そう思って読み始めた。しかし読んでいて驚いた…

日本史の内幕

BSプレミアムの「英雄たちの選択」は最近欠かさず見ている。司会の磯田道史の本は初めて読んだが、何と、磯田氏は15歳から古文書を読んできた人だったのか。本書はそうして古文書を読む中で発見した歴史の内幕を綴った歴史エッセイ集。読売新聞他で連載した…

21世紀の楕円幻想論

第1章「生きるための負債」の冒頭に近い部分で、「負債論」(デヴィッド・グレーバー)からの引用として、「エスキモーの本」(ピーター・フロイヘン)の紹介がある。「猟に成功した狩人が肉を持ってきてくれたので礼を言ったら、憤然と抗議された」(P030)と…

日本サッカー「戦記」☆

「季刊サッカー批評」で連載されてきた「日本サッカー戦記」は今も連載が続いているのだろうか。本書には2017年9月19日発行のissue87に掲載された記事までが掲載されているが、ネットで検索すると、issue88が12月に発行された後、issue89は18年5月発行予定の…

戦後入門☆

加藤典洋の「敗者の想像力」を読んで以降、加藤氏の「戦後」に関する一連の論文を読んでみたいと思っていた。この「戦後入門」は2015年発行で、1985年発行の「アメリカの影」、1997年発行の「敗戦後論」を踏まえ、それらを再び批評しつつ、現在の安倍政権を…

月の満ち欠け

昨年の夏、本書の書評を読んだ時には、もっと幻想的な、生と死の間を揺れ動く、どちらかと言えば難しい小説だと思っていた。昨夏に予約をして、ようやく順番が回ってきた。読み始めると、思っていたよりもずっと現実的な話。何不自由ない会社員の家庭で、娘…

ないものがある世界

今福龍太と言えば「フットボールの新世紀」だが、本来は文化人類学者。中南米や群島諸国といったボーダーでディアスポラな民衆社会をベースに現代社会批評をしてきた人、というイメージでいたが、その今福龍太が小説を書いた、というので少し驚いて、本書を…

バースデイ・ガール

村上春樹が過去に書いた短編の一つに、カット・メンシックがイラストを添えたシリーズの4冊目。前作の「図書館奇譚」にも書いたように、個人的にはカット・メンシックのイラストはあまり好きではない。でもまあ、全ページ、赤とピンクとオレンジと白の4色で…

応仁の乱

一昨年、ベストセラーとなった「応仁の乱」をようやく読んだ。「こんな専門書がどうしてこれほどのベストセラーになったのか」と言われ、どんな難しい内容かと心配したし、それがこれまで手が出なかった理由でもあるが、読んでみると、ベストセラーになるだ…

世界で一番のクリスマス

風俗業界における人間の生き様、悲しみを描く。これまで、東日本大震災での釜石市の遺体収容と安置の状況を描いた「遺体」などのノンフィクションを書いてきた石井光太が、「蛍の森」で初めて小説を発表したのが2013年。これはハンセン病患者の住む部落にお…

金曜日の本

ごく薄い本である。125ページ。かつ小判で文字も大きい。だから一気に読んでしまえる。内容も筆者の自伝的エッセイと短編小説が一つ。エッセイは少年時代を振り返るもので、読みやすい。私も同じようなことがあった、同じように感じた、と読みながら自分の少…

口笛の上手な白雪姫

八つの小編が収められた短編集。共通点は、いずれも幼い子供が主人公、かと思ったが、一つだけ、そうではない作品が入っていた。「仮名の作家」。好きな作家に同一化して、妄想の中をさまよう女性を描いた作品。もう一つ、タイトルの「口笛の上手な白雪姫」…

フットボール批評 issue19

いよいよ今季のJリーグが開幕した。今号の特集は「クラブを変革する指揮官の戦略」。「指揮官」には「監督」だけでなく、経営のトップも含んでいる。そして今季J1に昇格したV・ファーレン長崎の高田社長の貢献が巻頭言で挙げられている。 続く内容では、イビ…

9.11後の現代史☆

「9.11後の現代史」とはすなわち「中東の現代史」である。これまでもいくつか中東の現状について解説する類の本を読んだことはあるが、本書が最もわかりやすかった。視座も中立的で、シリアの内紛の構造、イラクの立場、アメリカの外交方針など、現在の中東…

ローカリズム宣言

「TURNS」という雑誌があることすら知らなかったが、そこに連載してきた記事をまとめたもの。でも私の中では、内田樹とUターン・Jターン・Iターンはすぐには結びつかなかった。実際読んでみると、あまり地方移住者には関係ない内容のような気がする。もち…

無冠、されど至強

都立朝鮮人高校で全国高校サッカー選手権に出場し、ベスト4になった1955年1月。チームには金明植がいた。しかしその年の4月。朝鮮人高校は都立でなくなり、高体連の大会への出場ができなくなる。その後、金明植は中央大学に進学し、さらに在日朝鮮蹴球団に加…

君たちはどう生きるか☆

今、話題の本を読んでみた。マンガ版でも、新装版でもなく、岩波文庫版。戦後に一部縮小し、修正した版もあるようだが、これは1937年に発行された初版版。早慶戦の場面や高輪の豪邸など、現在に照らすと若干、時代を感じさせる部分も、ほとんどは現在におい…

世界神話学入門☆

高校時代の友人がfacebookで「夫が執筆した本」ということで紹介してくれた。神話に強い関心があったわけではないが、半分義理の思いもあって購読した。南山大学の人類学博物館には30代の頃、仕事の企画の一環でお邪魔したことがあった。著者は現在、同大学…

競争社会の歩き方

大竹文雄の本はこれまで、「格差と希望」と「競争と公平感」を読んできた。「競争と公平感」が2010年の発行だから、7年ぶり。「あとがき」によればこの間、大学の理事・副学長を務めて大変だった由。加えて、NHK教育の「オイコノミア」も担当して、すっかり…

戦術の教科書☆

著者のジョナサン・ウィルソンはイギリスのスポーツジャーナリスト。田邊雅之はフリーランスのライター。二人で書いた戦術論は、「教科書」というタイトルにはふさわしくない。「サッカーの進化を読み解く思想史」というサブタイトルの方が、まだその内容を…

先生も知らない経済の世界史

タイトルで示す「先生」とはいったい誰だろう? 少なくとも、工学系の私のことではないので、私が知らない経済の世界史のさらに先を行った書物なんだろう。どうやら、経済史の分野で通説となっていることをひっくり返す、というのが本書の趣旨のようだが、通…

世界スタジアム物語☆

新国立競技場の建設を巡っては、社会的に大きな問題となり、迷走した。ちょうど新国立競技場の国際コンペが行われた2012年から、騒動の末、再コンペで隈研吾らの案が採用された2015年までの間、サッカーダイジェストで連載されていた「スタジアムの記憶」を…

地方自治講義☆

「今さら買ってどうするんだろう」と思いつつ、昨年の冬に購入して以来、ほぼ1年、積読状態で放置していた。正月休みにようやく読み始めると、これがけっこう面白い。そもそも自治体は国とは独立した政府であるが、国は事あるごとに自治体に仕事を移譲し、し…

ゲバラ漂流 ポーラースター

「ポーラースター」の続編。友人(ポーラースターではピュートル。実際はグラナドス)との南米旅行から戻ったゲバラは、医師免許を取得し、ペロン政権の徴兵から逃れるように、今度はボリビアからグアテマラまで、南米・中米を北上する旅に出る。ボリビアで…

愛と狂瀾のメリークリスマス

新年も明けてしまったが、昨年秋に発行された本書をようやく読み終えた。日本においてクリスマスとは何なのか。それをさまざまな文献等で調べていく。なかでも明治後半以降は朝日新聞東京版を渉猟することにより、当時の世相がいかにクリスマスに反映したか…