とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

京都で考えた

文字どおり「京都で考えた」ことを綴ったエッセイ。と、短編小説が1編。京都という「街」で「考える」。でも、忘れる。だから「本」を書く。本を読む。『「本」と「街」と「考える」は頭の中でつながっている』(P48)と書いている。 私も、まち歩きが好きだ。…

玉村警部補の巡礼

久しぶりに海堂尊を読んだ。今回は玉村警部補と加納警視正の四国巡礼珍道中を描くもの。もちろん巡礼中に勃発する事件を解決し、さらに遺体すり替え・人生ロンダリングの仕組みも暴いて解決していく。だが、海堂尊のミステリーは、あくまで明るく軽妙なのが…

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

2014年発行なので少し前の本だが、当時はそれなりに話題になったことだろう。昨日の「羽鳥モーニングショー」で日米地位協定を取り上げていたが、今やこうした事実は常識となりつつある。また、「故小林侍従日記」の発見で、今再び、昭和天皇の戦争責任につ…

日本の気配

○ムカつくものにムカつくと言うのを忘れたくない。個人が物申せば社会の輪郭はボヤけない。個人が帳尻を合わせようとすれば、力のある人たちに社会を握られる。今、力のある人たちに、自由気ままに社会を握らせすぎだと思う。この本には、そういう疑念を密封…

ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた☆

これまで高橋源一郎の小説は何冊か読んできたが、それほど面白いとは思わなかった。初めて「これは面白い」という作品に出合った。でもほとんど話題になっていないなあ。「国家とは何か」を子ども目線で描く、というのが、胡散臭い感じがするのかな。でも、…

フットボール批評 issue21

W杯が終わった。もう2ヶ月余りが過ぎ、Jリーグは再開し、欧州リーグも始まってきている。次第にW杯も過去のものとなっていくだろうか。日本代表監督には森保一氏が就任した。アジア大会は別にして、代表世代ではまだ1ゲームをしていない状況では、次を語るこ…

神様のいる街

小さい本である。サイズも小さいが、文章の量も少ない。わずか数十分で読み終えてしまった。でも格別の余韻が残る。いつまでも読んでいたい。それでまた読む。 中ほどに、「ホテル・トロール・メモ」というランダムに言葉が綴られた章が収められている。筆者…

ウィニング・ストーリー

「スカサカ!ライブ」の中の対談コーナーから書き起こしたインタビューと、対談後の筆者によるコメント(エッセイ)を並べた。対談相手は全部で12名。若い順では、昌子・大迫から反町監督まで。現役選手もいれば、監督・コーチもいる。プレー後や練習後、そ…

後醍醐天皇

「陰謀の日本中世史」に続いての「後醍醐天皇」。ただ、筆者の兵藤裕己氏は歴史家ではない。専門は日本文学(と「あとがき」に書かれている)だ。後醍醐天皇を巡る歴史書物としては「太平記」が最もポピュラー。その「太平記」の校注本全6冊を2016年に刊行し…

陰謀の日本中世史

「陰謀の日本中世史」というタイトルからは、陰謀渦巻く日本中世史を紹介しているのかと思ってしまうが、そうではなく、何かと陰謀が囁かれる日本中世史について、歴史学の立場から、現時点での研究成果を紹介していく内容の本である。平安末期の保元の乱・…

E=mc2のからくり☆

アインシュタインの有名な数式「E=mc2」。これまで特殊相対性理論や量子論などの初心者向け説明本は何冊も読んできたが、本書を読んで初めて、「場」についてわかったような気がした。「E=mc2」がそのまま「場」の理論というわけではないが、「E=mc2」が表す…

地球にちりばめられて

多和田葉子にしては非常にわかりやすい。明確な文章。近未来。日本は海の下に消えてしまった。その今はない国を出て、スカンジナビア諸国で暮らすHirukoはパンスカという自分でつくった言葉を話す。彼女に興味を持って近付いてきた言語学者のクヌートはデン…

女王ロアーナ、神秘の炎☆

60歳を過ぎた古書店主ボドーニは、ある事故によりそれまでの記憶を失ってしまった。全部ではない。生活上で必要な意味記憶などは残りつつ、自分自身に関するエピーソード記憶だけが失われてしまった。妻と会い、子供と会い、友人や部下に会って、「あなたは…

PITCH LEVEL

昨年の「サッカー本大賞」の大賞を受賞した作品というので楽しみに本書を手にした。しかし同時にサッカー選手が書いた本というので、ライターが書いた自伝ではないとは知っていたが、なおさらのこと内容には半信半疑な感じ。でも読み始めると、思った以上に…

特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞記念講演の講演録。100ページ足らずの短い本に、見開きで英語と日本語の文章が並んでいる。日本語と英文を交互に読み終えた後に、もう一度、日本語で通読をした。ところで何が言いたかったのだろう。 たぶん、「私にと…

砕かれたハリルホジッチ・プラン☆

30日のガーナ戦は酷かった。選手はこれまで以上に積極的にプレーしていたが、どんな戦術で戦っていこうとしているのか、それが見えなかった。おまえにそんな眼力はないだろ、というのはそのとおり。西野監督が寡黙で何も話してくれないことも理由の一つ。本…

神になりたかった男 徳田虎雄

名古屋徳洲会病院はすぐ近くにあり、7年ほど前には「尿管結石さわぎ」で書いたように、救急車で運ばれたこともある。つい先日も膵嚢胞の検査で診察を受けたばかりだ。一方で数年前、徳洲会事件が大きくマスコミを賑わせていた。猪瀬元都知事が辞任する契機に…

逆さに吊るされた男

田口ランディは少し気になっていた作家。本書がオウム真理教の死刑囚との交流を題材とした小説ということを知って、読んでみた。モデルとなっているYこと、林泰夫との交流はもう途絶えてしまったのだろうか。小説では最後に「20**年 Y 死刑執行」と書かれて…

ルポ 雇用なしで生きる

「21世紀の楕円幻想論」の中で本書が紹介されており、興味を持った。等価交換モデルではない経済システム。それを本書では「もうひとつの経済」と呼ぶ。いや、筆者が感銘を受け、スペインを取材するきっかけとなった本「雇用なしで生きる」の筆者、フリオ・…

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直木賞作家・西可奈子を初めて読んだ。本書は昨年の本屋大賞にノミネートされて、紹介されていた。結果的に7位だったけれど、10位までに読んだことのある本は1冊もないので、評価が適切だったかどうかわからない。書評などを読んで、これは読みたいと思った…

世界まちかど地政学☆

「デフレの正体」で一躍有名になった藻谷氏だが、地域活性化に関する地元に根差した提言や講演には定評があるところ。「経済プレミア」を見ると「地域エコノミスト」と肩書がついている。「里山資本主義」も大きな評判になった。その後、「高校生からのマク…

すべての新聞は「偏って」いる

メディアとの付き合い方、メディア・リテラシーの重要性と今後のメディアのあり方、ウェブ言論の将来性などを語る。ただし、あとがきでも書かれているように、一直線にメディア・リテラシーを語るのではなく、アンケートや新聞データベースの分析などにより…

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史

司馬遼太郎の作品を吟味し、歴史的事実と虚構とを腑分けしつつ日本史に迫る本かと思っていたら、全然違った。司馬良太良の代表的な作品、「国盗り物語」「花神」「坂の上の雲」「この国のかたち」などを取り上げて、戦国時代、幕末、明治、戦前の各時代を司…

フットボール批評issue20

突然の、不可解なハリルホジッチ監督の解任。初めてそのニュースを聞いた時の衝撃を「ハリルホジッチ監督解任って、協会は脳梗塞でも起こしたのか!?」で書いたが、大手メディアは突然の報に驚きつつも、新監督の実績を紹介しつつ、W杯への期待を伝えようと…

日本の異界 名古屋☆

井上章一の「京都ぎらい」のヒットで本書も書かれることになったのだろうか。名古屋の異質さや特徴を書いた本はたくさんあるだろうが、より楽しく、より深く、名古屋のことを知るには、この人を置いていない。そう思って読み始めた。しかし読んでいて驚いた…

日本史の内幕

BSプレミアムの「英雄たちの選択」は最近欠かさず見ている。司会の磯田道史の本は初めて読んだが、何と、磯田氏は15歳から古文書を読んできた人だったのか。本書はそうして古文書を読む中で発見した歴史の内幕を綴った歴史エッセイ集。読売新聞他で連載した…

21世紀の楕円幻想論

第1章「生きるための負債」の冒頭に近い部分で、「負債論」(デヴィッド・グレーバー)からの引用として、「エスキモーの本」(ピーター・フロイヘン)の紹介がある。「猟に成功した狩人が肉を持ってきてくれたので礼を言ったら、憤然と抗議された」(P030)と…

日本サッカー「戦記」☆

「季刊サッカー批評」で連載されてきた「日本サッカー戦記」は今も連載が続いているのだろうか。本書には2017年9月19日発行のissue87に掲載された記事までが掲載されているが、ネットで検索すると、issue88が12月に発行された後、issue89は18年5月発行予定の…

戦後入門☆

加藤典洋の「敗者の想像力」を読んで以降、加藤氏の「戦後」に関する一連の論文を読んでみたいと思っていた。この「戦後入門」は2015年発行で、1985年発行の「アメリカの影」、1997年発行の「敗戦後論」を踏まえ、それらを再び批評しつつ、現在の安倍政権を…

月の満ち欠け

昨年の夏、本書の書評を読んだ時には、もっと幻想的な、生と死の間を揺れ動く、どちらかと言えば難しい小説だと思っていた。昨夏に予約をして、ようやく順番が回ってきた。読み始めると、思っていたよりもずっと現実的な話。何不自由ない会社員の家庭で、娘…