とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

無冠、されど至強☆☆

都立朝鮮人高校で全国高校サッカー選手権に出場し、ベスト4になった1955年1月。チームには金明植がいた。しかしその年の4月。朝鮮人高校は都立でなくなり、高体連の大会への出場ができなくなる。その後、金明植は中央大学に進学し、さらに在日朝鮮蹴球団に加…

君たちはどう生きるか☆☆☆

今、話題の本を読んでみた。マンガ版でも、新装版でもなく、岩波文庫版。戦後に一部縮小し、修正した版もあるようだが、これは1937年に発行された初版版。早慶戦の場面や高輪の豪邸など、現在に照らすと若干、時代を感じさせる部分も、ほとんどは現在におい…

世界神話学入門☆☆

高校時代の友人がfacebookで「夫が執筆した本」ということで紹介してくれた。神話に強い関心があったわけではないが、半分義理の思いもあって購読した。南山大学の人類学博物館には30代の頃、仕事の企画の一環でお邪魔したことがあった。著者は現在、同大学…

競争社会の歩き方☆☆

大竹文雄の本はこれまで、「格差と希望」と「競争と公平感」を読んできた。「競争と公平感」が2010年の発行だから、7年ぶり。「あとがき」によればこの間、大学の理事・副学長を務めて大変だった由。加えて、NHK教育の「オイコノミア」も担当して、すっかり…

戦術の教科書☆☆☆

著者のジョナサン・ウィルソンはイギリスのスポーツジャーナリスト。田邊雅之はフリーランスのライター。二人で書いた戦術論は、「教科書」というタイトルにはふさわしくない。「サッカーの進化を読み解く思想史」というサブタイトルの方が、まだその内容を…

先生も知らない経済の世界史☆

タイトルで示す「先生」とはいったい誰だろう? 少なくとも、工学系の私のことではないので、私が知らない経済の世界史のさらに先を行った書物なんだろう。どうやら、経済史の分野で通説となっていることをひっくり返す、というのが本書の趣旨のようだが、通…

世界スタジアム物語☆☆☆

新国立競技場の建設を巡っては、社会的に大きな問題となり、迷走した。ちょうど新国立競技場の国際コンペが行われた2012年から、騒動の末、再コンペで隈研吾らの案が採用された2015年までの間、サッカーダイジェストで連載されていた「スタジアムの記憶」を…

地方自治講義☆☆☆

「今さら買ってどうするんだろう」と思いつつ、昨年の冬に購入して以来、ほぼ1年、積読状態で放置していた。正月休みにようやく読み始めると、これがけっこう面白い。そもそも自治体は国とは独立した政府であるが、国は事あるごとに自治体に仕事を移譲し、し…

ゲバラ漂流 ポーラースター☆☆

「ポーラースター」の続編。友人(ポーラースターではピュートル。実際はグラナドス)との南米旅行から戻ったゲバラは、医師免許を取得し、ペロン政権の徴兵から逃れるように、今度はボリビアからグアテマラまで、南米・中米を北上する旅に出る。ボリビアで…

愛と狂瀾のメリークリスマス☆

新年も明けてしまったが、昨年秋に発行された本書をようやく読み終えた。日本においてクリスマスとは何なのか。それをさまざまな文献等で調べていく。なかでも明治後半以降は朝日新聞東京版を渉猟することにより、当時の世相がいかにクリスマスに反映したか…

森へ行きましょう☆☆

留都という知人がいる。この小説の中に出てくるのは、留津とルツ。同じ両親から同じように生まれた留津とルツは、異なる環境の中で、異なる人生を歩んでいく。パラレルワールドな世界。二人の世界に現れる両親も友人も同じ。同性の友人は同じ相手と結婚し、…

2017年、私の読んだ本ベスト10

今年読んだ本は60冊。あれ、去年は70冊だったから、10冊近くも減っている。やはり退職して、電車通勤しなくなったのが大きかったかな。1週間近くの退職旅行と白内障の手術入院もあった。でも、ベスト10を選んでいて、これは!という作品が今年は少なかったと…

愛ゆえの反ハルキスト宣言

○洋の東西を問わず多くの国で翻訳が読まれているということは、普通に考えればそれだけ普遍性があるということだろう。まさにその普遍性が、僕にはなかなか見えてこないのである。・・・村上春樹の作品について、僕にとって問題なのはあくまで、「雑音」があ…

火花

又吉直樹の「火花」は芥川賞を受賞して、大ベストセラーとなった。芸人が書いたものなんて、というバカにした思いがあったわけではない。漫才師のことを書いた小説を読もうという気にはなれなかっただけだ。ベストセラーなんか読んでられるかという気持ちも…

フットボール批評 issue18

11月初めに本書が届いてから、しばらく他の雑誌などに紛れて、読むのを忘れていた。12月初めにはW杯本大会の組合せ抽選も終わり、日本はポーランド、セネガル、コロンビアと戦うことになった。どこも難敵だが、他のグループよりはマシかもしれない。いや、そ…

街場の天皇論

「日本の覚醒のために」に続いて内田樹を読んだ。昨年の天皇の「象徴としてのお務め」に関するおことば以来、天皇制や現天皇に対する関心が高まった。その後、今年に入って退位特例法が制定され、退位の時期や新元号の制定など、着々と退位に向けた検討が進…

日本の覚醒のために

2011年から15年に行われた6つの講演録を収録したもの。他に付録として短いスピーチが1編。テーマは「資本主義」、「宗教」、「伊丹十三」、「言語」、「白川静」、「憲法」の6つ。どれも面白いが、中でも「伊丹十三」と「言語」が面白い。 「伊丹十三と『戦…

コンプレックス文化論

武田砂鉄の評論は面白い。本書ではコンプレックスを題材に、問題提起し(その1)、インタビューし(その2)、まとめる(その3)。(その1)と(その3)で大きく議論が変わることはないが、実際にそのコンプレックスに悩んできた(いる)人にインタビューをし…

丸腰国家

今、日本は、脅威を続ける北朝鮮に対していかに軍事対応すべきかが大きな問題になっている。先日来日したトランプ大統領も北朝鮮問題にかこつけて、もっぱら戦闘機や防衛システムの売込みに余念がなかった。日本では非武装中立といえば今や過去の議論、非現…

地名の謎を解く

最近、木曜の夜はNHKの「日本人のおなまえっ!」を喜んで視聴している。その流れで、地名もきっと面白いぞと本書を手に取ってみた。確かに面白い。だが、このような軽薄な関心を超えて、地名の森ははるかに深く、何層にもなって容易に辿り着くことができない…

閉じていく帝国と逆説の21世紀経済

2013年に大沢真幸との対談集「資本主義の謎」で水野和夫を知って以来、水野氏の本は読んできたが、どれも基本的な主張点は変わらない。本書でも、「長い21世紀」、「資本主義の終焉」といったおなじみのフレーズが繰り返される。本書ではさらに踏み込んで、…

ウニはすごい バッタもすごい

友人が「今年読んだ理系の本の中で一番面白かった」というので借りて読んでみた。確かにわかりやすい。だが基本、本書は地球上に生息する様々な動物について、網羅的に解説をするもので、とは言っても全部は説明できないので、動物34門のうち、刺胞動物(サ…

死体鑑定医の告白

筆者の上野正彦を知らなかった。TV出演も多い超有名人らしい。そして本書も本当に面白い。内容はほとんどミステリー。車中の女性の遺体は一酸化中毒による自殺か、他殺か。プール横の墜落死は自殺か、事故か。入院患者の墜落死は事故か、自殺か。温泉の遺体…

ネットは基本、クソメディア

「ネットのバカ」は楽しく読んだ。中日新聞に連載されている「ネットで何が・・・」も毎回楽しく読んでいる。本書も、タイトルにはちょっとエッ?と思ったが、期待して購入した。もちろん面白かった。 インターネットの世界はどんどんと変化していく。Window…

ヘンリ・ライクロフトの私記

私と同じく、この3月で定年を迎えた友人が、愛読書として紹介してくれた。彼は定年後、同じ会社に再雇用者として働いているが、責任から解放され、自由な趣味の時間を満喫している、と言う。私の父も退職後は趣味の写真に没頭し、幸せな人生を生きているよう…

アジア辺境論

タイトルに惹かれて思わず買ってしまったが、かつての内田樹の名著「日本辺境論」ほどに独自の内容があるわけではない。内田樹と姜尚中の対談集。日韓が政治・経済・文化など様々な局面で連携することで、新しいパワーが生まれる。さらに台湾や香港も加えた…

カズオ・イシグロ、ノーベル賞受賞!

カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞したという速報を聞いて、まるで自分のことのようにうれしかった。村上春樹を中心に追っていた日本のマスコミは、カズオ・イシグロの名前を聞いて、「予想外」なんて書いていたが、私の中では十分予想されていた。む…

「移行期的混乱」以降

「移行期的混乱」で「問題なのは成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」と指摘した筆者。その続編にあたる本書では、その原因である人口減少の、さらに先の原因としての、家族構造の変化について説明し…

路地裏の民主主義

平川克美がいくつかのメディアで執筆掲載してきたコラムに加筆修正をしたもの。具体にどの記事がどのメディアで何時、といったことは記載されていないから、かなり修正したのだろうか。第1章は民主主義、第2章はメディア論。平川氏らしい、路地裏からの、庶…

安全基準はどのようにできてきたか

建築物の耐震基準も次々に改正を重ね、木造住宅の耐震性も今や平成12年度以前の建物は安全ではないと言われる状況。だが、そもそも安全とは何なのか。毎回のように想定外の災害が言われる昨今、我々は様々な安全基準に対してどこまでの信頼を寄せればいいの…