とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

読書

監督の異常な愛情☆

サッカー本大賞2019の読者賞を受賞した。「または私は如何にして心配するのをやめてこの稼業を・愛する・ようになったか」というのは副題なんだろうか。「ひぐらしひなつ」というライターも知らなかったが、本書を読んですっかりファンになった。今月頭には…

ディス・イズ・ザ・デイ☆

今年の「サッカー本大賞2019」の大賞を受賞したというのでさっそく読んでみた。面白かった。津村記久子と言えば確か芥川賞作家。そう「ポトスライムの舟」で芥川賞を受賞しているが、これまで読んだことはなかった。こんな文章を書く人なのか。庶民的ですご…

観光亡国論☆

GWに山陰地方を旅行した。GWだからか、それほど外国人の姿は見かけなかったが、京都などではすごい状況になっているという話はよく聞く。一昨年、下呂に行った時も中国人客が多いなあという印象を持った。幸い、私が行きたいと思う旅行先はマニアックなとこ…

街場の平成論

元号が変わってもう3週間が過ぎようとしている。あまりに「令和」「令和」と連呼するものだから、前の元号が「平成」だったことをもうすっかり忘れそうだ。そもそも「平成」と言われた30年間を切り取って、どんな時代だったかと振り返っても、その区切りにど…

フットボール批評 issue24

今号の特集は「V字回復クラブの強化書」。マリノスとグランパス、そしてトリニータの現在の経営陣、強化部、そして選手へのインタビューで構成する。グランパスからは大森SDだけなのは少し寂しいが、それでも具体的な選手個人名が挙げられ、興味深く読んだ。…

経済の時代の終焉☆

「幸福の増税論」以来、井手英策に注目している。新書も多く出ているが、本書はそのバックボーンとしての現状の経済分析を歴史的に追いかけた専門書である。 「本巻は歴史の書である」(P18)という文章が序章に書かれているが、確かに、第1章では日本や世界各…

神とは何か

「正義とは何か」を読んだ時も、途中でもう読むのはやめようかと思った。本書も同様、あまりに難しい。それでも最後まで読んでしまったのは、筆者が自らの論考をただ推し進めていくだけではなく、常に読者を意識して「こう思われるかもしれない」「こう考え…

億万長者サッカークラブ☆

先月発表された「サッカー本大賞2019」で翻訳サッカー本大賞に選出されている。タイトルだけを見ると、欧州の多くのサッカークラブがオイルマネー等により買収されている実態を描いたものかと思ったが、単に表面をなぞるだけではなく、買収する側、される側…

一神教と戦争☆

キリスト教にせよ、イスラームにせよ、一神教だから戦争が起きる。いや、そんなわかりやすい話ではない。キリスト教に造詣の深い橋爪大三郎氏。自らイスラームとしてカリフ制再興を唱える中田考氏。欧米と中東から始まるイスラーム圏の確執を、それぞれの宗…

対立の世紀

グローバル化の結果、現代が「対立の世紀」になってきているということは誰もが実感し賛同することだろう。資本主義が経済のグローバル化に浸潤される中で、一国の中における格差を拡大し、壁と対立が立ち現れてきている。さらに、AIと自動化というデジタル…

未来の再建

「幸福の増税論」は今年これまでに読んだ中で最も印象に残っている本であり、筆者の井手英策の本であれば何でも読みたいという気持ちのまま、本書を購入してしまった。だがこれは共著。貧困問題・社会福祉が専門の藤田孝典、労働問題の専門家である今野晴貴…

箱の中の天皇

表題の作品と、もう一編「大津波のあと」を収録する。 赤坂真理といえば「東京プリズン」。そして「愛と暴力の戦後とその後」も読んだ。前者は小説。後者は評論。いずれも現在の日本の状況を、戦後をうまく処理してこなかった結果として捉え、問題視している…

スッキリ中国論☆

「スジの日本、量の中国」という副題が付いている。その一言で全ては説明尽くされる。もちろん個人で差はあるが、これこそがそれぞれの社会のクセであり、行動原理である。私には中国へ行った経験も中国人の知り合いもいないから真偽の判断はできないが、筆…

知ってはいけない2

「知ってはいけない」ではもっぱら、現在のアメリカに対する日本の属国状態がなぜ現在まで続いているのか、その法的な経緯や現状が説明されていた。本書ではそうした法的状況に陥った原因として、岸首相が同意した「密約」の存在と、日本では「密約などない…

人口減少社会の未来学

内田樹が呼びかけ、人口減少社会の未来への寄稿を依頼した結果、集まった10の論文。冒頭のこの言葉をどれだけ信じればいいのかわからないが、けっこう多様な立場や思想からの論考が集まっている。筆者は、池田清彦、井上智洋、藻谷浩介、平川克美、ブレイデ…

カセットテープ少年時代

BS12で深夜に放送されていた「ザ・カセットテープ・ミュージック」に気付いたのは、昨年の7月。鈴鹿8耐に因んでの特番を午後8時半から放送しており、その面白さに病みつきになった。それ以降は午前2時からの放送を録画して観ていたが、10月からは午後9時のゴ…

日本史のミカタ

対談本はもともと苦手だ。それでも井上章一の名前に魅かれ、購入してしまった。しかし最初のうち、これをどう読めばいいのか、どう楽しめばいいのか、わからなかった。話題がポンポンと飛ぶ。突拍子もない仮説を語り、「ああ面白い」と二人で楽しんだ直後に…

知ってはいけない

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読んだ後、本書まで読む必要はないと思っていた。それはある意味正しかったと今も思っているが、先日つい「知ってはいけない2」を買ってしまったので、まずは本書から読んでみることにした。本書はこ…

フットボール批評 issue23

特集1は「イノベーションを可能にするチーム作りの新常識」。特集2は「ピッチレベルで読み解く真の戦術論」。そして特集3が「社長をアップデートせよ Jリーグ新時代に求められるリーダー像」。 風間監督へのインタビュー記事「完成図を描かないチームの作り…

常識的で何か問題でも?

「あとがき」の冒頭に「最後の方の『政治の話』があまり面白くなかったといささかご不満だったのではないでしょうか」(P314)と書かれており、思わず首を肯いてしまった。それも偏に、安倍政権が代わらない故である。それは多くの国民が政治に対して徒労感・…

東欧サッカークロニクル☆

筆者の長束恭行氏は「フットボール批評」でも内実に詳しい東欧サッカー事情を寄稿している。長くクロアチアに住み、リトアニアで暮らす中で、東欧だけでなくヨーロッパの中小周辺国のサッカー実情について実に詳しく、わかりやすくレポートしている。 本書で…

はしっこで、馬といる☆

作者の河田さんは、東京で出版関係の仕事をしていて、ある日、与那国島でウマと出会い、カディという名の仔馬と巡り合い、与那国島でカディとともに暮らす生活を始めた。既に5年以上が経過。ウマを屈服させ従わせるのではなく、常に寄り添い、ともに暮らす中…

日本の大問題

日本には問題が山積している。荻上チキが「政治」「経済・福祉」「外交」「メディア」「治安」「教育」の6つにわたって、現代日本社会が抱える問題点を説明し、さらに具体的な改善方策を提案する。提案は全部で22項目挙げられているが、これがすべてでもなけ…

グローバリズム後の世界では何が起こるのか?

筆者は現役の在エディンバラ総領事。外務省入省後、エジプトやイタリア、スウェーデン、イランの大使館や、ニューヨーク、ヒューストンの領事館で勤務し、大使や総領事を務めてきた。現在の外務省の国際認識に最も近い意見と考えていいだろうか。もっとも「…

30センチの冒険

友人に「となり町戦争」を勧められて読んで以来、三崎亜紀は気にはなる作家の一人ではある。その後、「失われた町」を読み、「廃墟建築士」を読んだ。そしてそれ以来、読むのをやめた。正直、SF的な設定は面白いが、それ以上の深みを感じなかった。それでも…

幸福の増税論☆

経済の成長さえ実現すれば、社会は必ずよくなる。政治がそんな成長神話に陥って久しい。一方で、人口減少が現実となった現在、成熟社会への移行を語る研究者は多い。だが、理想論としては理解できても、実現化への道が見えてこない。待つしかないのか。ここ…

穴あきエフの初恋祭り

昨年11月、多和田葉子の「献灯使」が「全米図書賞」を受賞したというニュースが流れていた。福島原発事故を受けて、今後の世界のあり方を描いた「献灯使」は海外での評価は高い。次にノーベル文学賞を受賞するのは多和田葉子ではないか、などと思いつつ、引…

おやすみ、東京

年末から年始にかけて、図書館ではいつもより貸出期間が長くなる。それでついつい数冊の本を借りたが、内容的に難しい本もあって、途中で挫折したもの、まだ悪戦苦闘中のものなどがある。その中にあって、これはきっとやさしく読めるだろうと期待して、後回…

カズオ・イシグロの視線

昨年はカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞して大いに話題となった。本書はそんなカズオ・イシグロの全作品を素材に、イシグロ文学を多面的に研究した論文集である。7つの長編と1つの短編集について、各研究者からそれぞれの視点で分析し研究した論文が…

逆転した日本史

筆者の河合敦氏は日本史の元高校教師。和同開珎よりも古い無文銀銭。推古天皇の脇役に過ぎない聖徳太子。儒教の徳や仁で統治しようとした徳川家綱。幕末になって出版され有名になった「慶安の御触書」などなど、我々60歳を過ぎようとする高齢者を対象に、か…